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⑩到着ピオニー村。しかし何も無い所だった!

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「そうですね。このピオニー村には宿は1軒しか有りません。さて空いてるかどうか?今から村の地図をお渡しします。」そう言って役場の観光課の年配の女性がカウンターからバックへ向かった。


手に1枚のピオニー村の地図を手に持ってカウンターに戻って来た。

「あぁ、見て下さいここです。この村唯一の宿屋です。」と地図に×印を付けた。

「宿の名前は【湖畔亭】です。湖で取れる水鳥の料理が名物です。あと地元の特産品を使った郷土料理ですね!」

「たぶん空いてると思いますがもしダメならもう一度ここへ来てみて下さい。私が何とかしてみます。」と役場の女性が笑っていた。




その結果は・・・・。

「すいません、【湖畔亭】さん満室でした。女将さんがこんな事は滅多に無いとおっしゃっていました。」とフランキーが眼鏡の位置を直しながら役場の女性に話した。

「まぁ、それは困りましたね。あちらに休憩コーナーがあって自由にお茶を飲む事が出来ます。」そう言って少し離れた所を指差し長椅子が3つほど、テーブルが1つ置いてあるコーナーを教えてくれた。



「私はこれから心当たりを当たってきます。皆さんは荷物もあってお疲れ様でしょう?休憩コーナーで休んでて下さい。」笑ってそう話すと他の職員に「すいません少し席を外しますね。」ひと言断り役場を出ていった。



それから30分ほど経った頃だろうか?

役場の女性が帰ってきた。

「皆さんを泊めてくれる場所が見つかりました。まず宿では有りませんがよろしいですか?」

「まぁ、状況が状況です。私たちは泊めてもらえるだけでもありがたい。」と一歩進んでオズワルドが答えた。

「そうですか。ではその場所にこれからご案内します。そんなには遠く無いですよ。また詳しい事は現地でお尋ね下さい。」そう話すと玄関へ向かって歩き出した。




「・・・・ここか??本当にここなのか?」とオズワルドが開口一番そう呟いた。

残る2人も口を開けてポカンと見ている。

役場の女性に案内された場所とは・・・・



「皆さんを預かって下さるのはここです。サンアルピナ修道院です!」と役場の女性が声を大にして言った。


「この修道院は我が村の誇りです。なぜなら我が国の愛と叡智の光と呼び声高いクロエ・リーデン修道院長がいらっしゃるのです。」と役場の女性は胸を張った。

「さぁ、中へ入ります。既に話を通してあるので修道院長を始めシスター達がお待ちです。」と言ってさっさと歩き出した。

「クロエ修道院長、私です。ミーシャです。先ほどの話の方々をお連れしました。」と言ってドアを叩いた。









「えっ、クロエ修道院長、むさ苦しい男どもをここへ泊めるって正気ですか!!」

ーーーー話は遡っている。



そう言ってクロエ修道院長に詰め寄るのはキャリーである。かなりのご立腹だ、目が三角になっている。

「えぇそうよ。キャリー困った時はお互い様です。そんな色目で見ないであげて?」と優しくキャリーを諭していた。

ちょうど今から約30分ほど前に役場の女性、ミーシャがここにやって来たのだ。




「クロエ修道院長お久しぶりです。」

「まぁ、ミーシャ。貴女は元気なの?食事は出来てるの?もし食べるのに事欠くようならもう一度ここへ帰ってきなさい。」とクロエ修道院長はミーシャを抱きしめながら話していた。

実はこのミーシャもクロエ修道院長が育てたのだ。ミーシャは両親が夜逃げをして家に残されていた子らしい。

だからこうしてたまにやってくる。しかし今回は・・・・。



「クロエ修道院長、お願いが有ります。実は珍しく旅の方々が3名ほど来られていますが【湖畔亭】に空きが無いのです。そこでその旅の方々をここに置いてもらう訳には行きませんか?ここなら3人ぐらいなら寝泊まり出来るかと・・・。」

そう話した。

「年齢はだいたい20代の後半ぐらいの方々です。皆さんアルカディア十字軍に所属されているとの事です。」

「まぁ、そうなの?それはこの教会にとっても大切な方々ね。それに頼もしいわ。実は最近、物取りの侵入が多くて困っていた所よ?キャリーやスクナ達が力を合わせて追い払ってくれてるけどやはり怖いわ。」と話しながらクロエ修道院長はミーシャの手を取った。



「・・・・それはなんて恐ろしい。ここは村の大切な宝です。鉄条網の工事をしているにも関わらずそんな事が起こっているのですね。」


暫くミーシャは考えていた。

「どうですか?クロエ修道院長。一度これからお連れする彼らに相談されては?」

「まぁ、それは良いアイデアだわ。ありがとうミーシャ。ではさっそくだけどその方達をここへ頼みますよ?」

「わかりました。では私は一度役場へ戻りますね?後のこと宜しくお願いします。」そう話すとお辞儀をして出て行った。
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