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23、初めてのお泊まり。
しおりを挟む「チクショーあいつら家に帰ったらタダじゃおかない。嵌められた!」と大きな独り言を繰り返しているレオン様。
「あの、レオン様。。。。」
「何だエリス。」
「私、貴方を愛しては居ませんが?」
「えっ!はっ!はぁ~そうか。」と気の抜けたお返事されました。
お葬式雰囲気Part2です。
「でも、嫌いじゃ無いんですよ。」と彼の顔を覗き込みながら伝えた。
彼はただいま絶賛落ち込み中だ。
「レオン様、ちょっと良いですか?」
「あぁ、何だ。」レオン様の顔が死にそうです。美形が台無しです。そんなにショックだったのでしょうか?
「あと1年、私は学園の授業が有ります。今のところは留年の予定もないのでこのまま行ければ無事に卒業します。」
「そして卒業まではボヌール公爵家にお世話になりたいと思っています。まずその1年でお互いを良く知る所から始めませんか?」と提案してみた。
「はじめに伝えて置きたいんですが、私は仕事を続けたいのですよ。それはOKですか?」
「もちろん問題無い。」「良かった。」
「そして、レオン様か私のどちらかがこの婚約生活の続行が不可能になった時は後腐れなく婚約は解消しましょう。それもOKですか?」
「うっ、そんな事にならない様にする。が、わかったよ。」
「良かったです。今日はもう遅いです。泊まっていかれますよね?」
「あぁ、済まない。世話になる。」
「じゃあ、今日は私が夕食作りますね。お口に合うかわかりませんが。」
「えっ、エリス作れるのか?」
「はい、ある程度は作れますよ。」と笑って答えた。
「わかった。楽しみにしている。」彼は少し浮上した様だ。良かった。
「ではお部屋を用意して来ます。待ってて下さいね。」と部屋を出た。
「トーマス爺、ちょっと。」トーマス爺を見つけて声をかけた。
「御用ですか?エリス様。」
「今日はレオン様こちらへお泊まりになります。お部屋の用意をお願いします。」
「わかりました。少しお時間下さい。ご用意致します。」
そして厨房へ
「料理長、ちょっと良いですか?」
「何でしょう、お嬢様。」
「今日の夕食はこれから私が作ります。厨房を使いたいのとお手伝いをお願いします。」
「わかりました。大いに楽しみにしていますね。」
「もう~そんな事言わないで料理長。あんまり期待しないでくださいよ。それより今日のメニューはどうしましょう?」
「今日はちょうどトマトが旬で業者からたくさん入荷しましたよ。これを使われては?」
「そうねぇ、トマトを使った煮込みをメインにしましょう。あとはサラダととうもろこしの冷たいスープ、デザートは熱々のスフレでどう?スフレは難しいので料理長お任せしてもいい?」
「もちろんです。野菜や肉類の処理が済んだらスフレにかかりましょう。」
「では私はパンやチーズやワインの在庫を見てくるわね。」
料理長と一緒なので思ったよりも早く夕食が完成して来たので、声をかけるためにリビングに行った。
リビングではトーマス爺がしっかりと食前酒や軽めのおつまみを出してもてなしてくれていた。お父様もレオン様もちょうどほろ酔いって所ね。
「そろそろお夕食ですよ。食堂へ来て下さいね。」とお父様やレオン様、トーマス爺に声をかけた。3人で顔を見合わせ大きくうなづき、ゾロゾロと食堂へ移って来た。
料理長と配膳を済ませて私も着席すると、
「今日はたくさんトマトが入荷していたのでシチューにしました。良いとうもろこしもあったので冷製スープにして付けてます。デザートは料理長お手製のスフレです。楽しみにしてて下さいね。」
「エリス、スフレなんて久しぶりだ。」と早速お父様が反応しているわ。割とお父様は甘いものお好きなのよ。
「じゃあ冷めないうちに頂くか。」とお父様の呼び掛けで皆が食べ始めた。
「エリス、旨いなぁ。本当に旨い。」とレオンが目を見開いて私を見ていた。
「おかわり有りますよ。お気軽に言ってくださいね。」
「ああ、ありがとう。後で頂くよ。」
皆がしっかりと食べ終わったのを確認して、料理長と共にコーヒーを先に出した。
「お嬢様、そろそろスフレが行けます。」と厨房から料理長の指示があったので、料理長と手分けして皆さんの前へ置いた。
スフレは焼き立てでふわふわを呈するのが信条。
すぐに「熱いうちにどうぞ。」と声をかける。
「これも旨いなぁ~~。今度ボヌールの料理人にも作って貰おう。」とレオン様が溶けている。
良かった元気が出たみたいで。うん、食べるって大切ね。
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