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41、出発、エミリアさんの所へ

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「そのアトランティス側のギフト能力研究者ってどんな方なんですか?」とタチアナが聞いている。

「私もオスカー殿から聞いただけだから詳しく分からない。ただ40代女性としか聞いてない。」と思案顔だ。

「とりあえず同行は許可されたんですか?」と聞くと「ああ、オスカー団長からのたっての頼みだからな。」
無視するわけにもいくまい。と言いたげだ。

「明日の朝、こちらを全員9時過ぎに出るつもりだ。そこから港へ移動しそこでその研究者と合流予定にしてある。まあ警備対象者が増える訳だが2人とも注意して欲しい。」

タチアナと目を合わせアルフォンスに向かって「分かりました。」と答えた。


次の日の朝は朝食からカノンちゃんたちと一緒だった。「カノンちゃん、お母様、おはようございます。」

「アニエスお姉ちゃん、タチアナお姉ちゃん
おはようございますっ!」とちゃんとご挨拶できてます。可愛い~カノンちゃん。今回で治るといいなあ。もし治らなくても、せめて何か手がかりが欲しい。

「カノンちゃん体の調子はいかがですか?」と聞くと「うん、いつもよりもご飯が美味しいの。」とカノンちゃんが言ったときに「カノン~お母さんのご飯が美味しくないって~??」と笑いながら突っ込んでました。


「そんなことないよ、美味しいよ?」とお母さんの顔色見るのね。そういう所はさすが女の子って所?

和やかな雰囲気で朝食が済み、いよいよ出発する事になった。
アルフォンスがまとめてチェックアウトを済ませ、いよいよ港に向かって歩き出す。

カノンちゃんを見ると今の所は大丈夫そう。
もしいよいよカノンちゃん歩けなくなったらアルフォンスの奴におんぶさせよう。うん、そうしよう。


5分ほど歩くと港に着いた。
アルフォンスが港のカウンターで乗船手続きをしているとオスカー団長が例の女性を連れてやって来た。

それまでおとなしかったカノンちゃんが「あっ、ミリアン先生だ!」と言い始めた。

オスカー団長は近くまで来ると「おはよう諸君、昨晩は良く休めたかい?」と笑いながら挨拶している。

すかさずタチアナが「はい、おかげさまで。」と挨拶を返している。
そのタイミングでアルフォンスが戻って来た。

アルフォンスはオスカーに挨拶しながら会釈した。

そしてオスカー団長は
「皆さんに紹介しておこう。こちらがアトランティスのギフト研究者のミリアン・バークレー殿だ。」

「皆さんこんにちは。今紹介していただいたミリアンよ。道中はよろしくお願いしますね。」と言うと優雅に一礼をした。一言で言うととても艶やかな女性だ。長い髪をひとつに束ねスクエアタイプの眼鏡がそれに知的さを添えていた。

「レンブラント騎士団、団長のアルフォンスだ。こちらこそよろしく頼む。」と握手を交わしていた。

「まあ、こちらの団長様も男前ね。うちの団長さんはどちらかというと美形だけど。」と笑ってました。

まあ、うちのギフト研究者の事はあまり知らないけれど、ギフト避けのエミリアさんとは対照的ね。

「それよりオスカー、筋肉強化のギフト能力者を紹介して。」

「まあまあ、焦るな。こちらがタチアナ殿、こちらがアニエス殿だ。」

「タチアナです。」とミリアン先生に握手をした。それに続いて「アニエスです。よろしくお願いします。」とアニエスも握手した。

「エミリア先生、アニエス殿がそうだ。」とアニエスが能力者だと明かすと、「まあ、あなたがそうなの?いろいろお聞きしたいわ。後で時間取ってくださる?」と熱心な様子だ。
「はい、良いですよ。わかりました。」と答えた。


全員が揃ったところでいざ乗船となったが、さも当然とばかりに、なぜかオスカー団長が一緒に来るのだ。開いた口が塞がらないレンブラント騎士団一行。

もう誰も突っ込む気力が無かった。と言うか慣れた。

タチアナの目が死んでいる。そして船に乗り込んだオスカー団長が真っ先にアニエスの隣へ向かったのだが、タッチの差でミリアン先生に取られていた。

オスカー団長にニヤリと笑うミリアン先生。「ぐぬぬ~。」とほんの小さくだがオスカー団長の口から声が漏れていた。
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