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38、再びアトランティスへ

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エミリアの所から帰った次の日、アニエスはオーロラ王太子妃を訪ねていた。

アニエスの目の前のオーロラ王太子妃は、
ますます美しさに磨きがかかり、もう直視出来無くなるレベル?まであと少しだ。

ソファに腰掛け優雅に「アニエス、まあお掛けなさいな。ハノイの件ではご苦労様でした。」と開口一番労って下さいました。

お茶を。と周りのメイドに伝えて

「アルフォンスからひと通り報告を聞かせて貰いました。ふふっ、私の姿で大暴れしたみたいですね。アダム王の股間の件は本当にスキっとしました。ありがとう。」と笑顔で御礼を述べられました。

ガーン!王太子妃が股間って言った。王太子妃が股間って言った。股間、股間、コカン・・・

はっ、私しっかりせねば。

「ははっ、オーロラ王太子妃の姿だったので、もう2度とオーロラ王太子妃に対して変な気は起こさないでしょうね。」と気を取り直し笑って答えた。


アニエスはすっと表情を元に戻し、辺りを伺いながら「所で王太子妃、ディアッカの件はお聞きですか?」と尋ねてみた。

「はい、あの様な事になってしまい非常に残念でなりません。勤務態度は非常にまじめでしたので。」と俯きながらおっしゃってました。

「難病の妹さんがいた事もご存じでした?」

「ええ、本人から直接聞いてました。原因が不明なので難病認定されていると。」と憂いを帯びた表情で答えられた。

「王太子妃、その妹さんに罪はありません、もし治療が可能ならレンブラントに入国させて治療を受けさせたいと思っています。王太子妃はどのようにお考えになりますか?」

「私の一存では決められませんが、もし妹さんの生命が助かるのなら助けて上げて欲しいと思います。アニエスに考えがあるのですね?
一度私の口からマークへ話してみます。」と約束して下さいました。


すぐにマーク殿下へ話されたみたいで、マーク殿下とオーロラ王太子妃からアニエスに直接アトランティスへ向かうように指示が出ました。

オーロラ王太子妃がアトランティス国に書状を送って下さったみたいです。

レンブラント王国からは、ディアッカのお母様、妹さんはレンブラントに病気療養の為ならしばらく滞在を許可するとアニエスに通達がありました。

あと騎士団にはマーク殿下が話を通しておくとの事でした。
とりあえず一旦アトランティスに戻る形になってしまったな。とアニエスは思った。


数日後

もう一度アトランティスへ出国する日、港のカウンターで船の搭乗手続きをしていると、
「ア・ニ・エ・ス、私達もご一緒してもよろしいかしら?」と後ろから声がかかった。

驚いて振り返ってみると何とタチアナが立っていた。そしてその後ろに何だか気まずそうにアルフォンスが立っていた。


もちろん2人とも団服だ。当たり前だが2人並ぶと威力?魅力?が3倍増しだ。
尊い美形兄妹の降臨だ。

「えっ、聞いてないよぉ。」と○○○○倶楽部も裸足で逃げ出すノリで驚いた。

「プッ」と笑いだすアルフォンス。


「一体なんで?どうしたの?」とタチアナに聞いてみた。

「オーロラ王太子妃からの直々のご依頼よ。
1人もまぁなんだから、付いて行って上げてって。ましてや今回は病気の子供が絡むんでしょ?」女手多い方が良くない?と言いたそうだ。

「本当は私1人の予定だったんだけどコブが着いて来ちゃった。」とテヘペロした。

思わずアルフォンスを見ると目線が泳いでいた。

あかん、タチアナ。美人がテヘペロなんて事したら。

・・・・周りに犠牲者が出るだろう。

3人で船に乗り込むとディアッカの妹をギフト能力に詳しい自分の知り合いに見せようと思っている事を告げた。

問題は船旅に耐える本人の体力があるかどうかだ。レンブラントからアトランティスまで2~3日はかかる。最悪、エミリアさんをアトランティスへ呼び寄せるか?

船から海を眺めながら、とにかく一度本人と会って確認してみないとわからない。と考えていた。

アニエスはあのディアッカが最後の時に良心を取り戻した事が頭から離れなかった。
確かに彼も悪いとは言え、病気の妹さんの為にやった事なのだからと。

船旅の突然の仲間の登場に、少しホッとしたアニエスだった。
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