上 下
30 / 67

29、作戦プラン

しおりを挟む



「アルフォンス、並びにアニエス、両名にアトランティス騎士団からご指名でサポートの要請が来ているぞ。」と大声でウィリアム総団長が話した。

思わずアルフォンスの表情を見た。彼は真っすぐに私を見ていた。

「もちろんアニエスの意見を尊重したいと思っている。ただマーク殿下のお妃、いやこの国の未来の皇后になられる方の一大事の話だ。アトランティスだけでなくこのレンブラントにも関わって来る話だから受けてくれると助かる。」とウイリアム総団長が言っている。本当なら丸っと断りたいが、これは断れないやつだ。仕方ない。

「了解いたしました。近日中にアルフォンス団長と共にアトランティス騎士団のサポート業務に付きます。具体的にいつからでしょうか?」

「アトランティス側も情報を集めてはいる。2~3日中にでもアルフォンスと共にアトランティスへ向かって出国してくれ。細かいことは追って指示を出す。本日はこれで解散。」

席から立ち上がり、わかりました。と答えて一礼して部屋を出た。上手く言えないが妙な胸騒ぎがする。今回の業務は心してかからないと、とんでもない結果になる。


結果、3日後に出国する事になった。マーク殿下のアトランティス訪問関連の業務の都合で、先にアルフォンスがアトランティス入りしたらしい。





◇◇◇◇◇



しばらくレンブラントを留守にする事になりそうなので、ギルドのエクスター師匠を訪ねた。
今日は受付嬢もすんなり面会させてくれた。

「おお、アニエス今日はどうした?」

「師匠、先日はありがとうございました。おかげで色々解決できました。」

「それはよかった。しかしギフト能力者には十分気を付けるんじゃよ。」

「はい、それはもちろんです。今日こちらに伺ったのはしばらく業務でレンブラントを留守にする事になりそうです。」

「ほう、一体それはどうしてなんじゃ?そなたが駆り出されるとはろくじゃあないのう。」

「ええ、それは。。。。」とかいつまんで今回の話を師匠には話した。

「ハノイ国の連中か。確かにアトランティス国も念には念を入れたくなるじゃろうなあ。今のハノイのアダム王は、近年稀に見る残虐王だからなあ。」

「残虐王ですか。。。。それは穏やかではいられませんね。」

「我々ギルドにも情報が入って来ておるよ。残虐だけならまだしも、好色王とも言われ評判だからな。」残虐王と好色王、なんていう2つ呼び名だろう。ある意味凄いわ。

「余り言えないがハノイ国の神殿には近寄るなよ。」

「えっ、神殿ですか?」

「ああ、わしもこれ以上は言えぬ。」

「分かりました、肝に銘じます。」




◇◇◇◇◇◇



ここハノイ国でリネカーは苛立っていた。


各国に情報が出周り誘拐が出来なくなって来たからだ。

その上アダム王を始め、その息子であるアーロン王子も五月蝿くなって来たからだ。それに加えてあの王妃も散財には目がないと来てる。

アダム王は元々切れ者の王だが好色王であり残虐王でもある。我々神殿もお陰で甘い蜜を吸わせてもらっている。

特に子供の売買は好評だ。ここの王子のおもちゃにも使え、またいつの時代もペドフィリア(小児愛者)は結構いるからだ。

身寄りのない子供の保護という名目でいくらでも客が寄って来る。特にここは神殿だからな、イメージが良い。

そちらの方面でも需要が供給に追いつかなくなって来ている。


「ふん、クソ家族。」と毒吐いている。


暗闇からリネカー様と呼ぶ声が聞こえて来た。

いつもの影だ。こいつが1番仕事をしてくれているかも知れない。

「いよいよ騎士団の方でディアッカの奴が勘付かれたみたいです。」と報告している。

「状況に寄っては構わん始末しろ。そろそろ潮時だ。」と影に向かって命令を下した。
「分かりました。では失礼します。」と影が居なくなると、

「そろそろ私も手を引くか。あの親子と心中する気はサラサラ無い。」と、呟いた。


いつもの様に机の上の葉巻を1本取り、火をつけると、ゆっくりと香りを惜しむ様に吸い始めた。

ふぅ、これからどうするかだな。そろそろ潮目か。








しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。

克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。

いつかの空を見る日まで

たつみ
恋愛
皇命により皇太子の婚約者となったカサンドラ。皇太子は彼女に無関心だったが、彼女も皇太子には無関心。婚姻する気なんてさらさらなく、逃げることだけ考えている。忠実な従僕と逃げる準備を進めていたのだが、不用意にも、皇太子の彼女に対する好感度を上げてしまい、執着されるはめに。複雑な事情がある彼女に、逃亡中止は有り得ない。生きるも死ぬもどうでもいいが、皇宮にだけはいたくないと、従僕と2人、ついに逃亡を決行するのだが。 ------------ 復讐、逆転ものではありませんので、それをご期待のかたはご注意ください。 悲しい内容が苦手というかたは、特にご注意ください。 中世・近世の欧風な雰囲気ですが、それっぽいだけです。 どんな展開でも、どんと来いなかた向けかもしれません。 (うわあ…ぇう~…がはっ…ぇえぇ~…となるところもあります) 他サイトでも掲載しています。

さあ 離婚しましょう、はじめましょう

美希みなみ
恋愛
約束の日、私は大好きな人と離婚した。 そして始まった新しい関係。 離婚……しましたよね? なのに、どうしてそんなに私を気にかけてくれるの? 会社の同僚四人の恋物語です。

王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました

さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。 王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ 頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。 ゆるい設定です

ハズレ嫁は最強の天才公爵様と再婚しました。

光子
恋愛
ーーー両親の愛情は、全て、可愛い妹の物だった。 昔から、私のモノは、妹が欲しがれば、全て妹のモノになった。お菓子も、玩具も、友人も、恋人も、何もかも。 逆らえば、頬を叩かれ、食事を取り上げられ、何日も部屋に閉じ込められる。 でも、私は不幸じゃなかった。 私には、幼馴染である、カインがいたから。同じ伯爵爵位を持つ、私の大好きな幼馴染、《カイン=マルクス》。彼だけは、いつも私の傍にいてくれた。 彼からのプロポーズを受けた時は、本当に嬉しかった。私を、あの家から救い出してくれたと思った。 私は貴方と結婚出来て、本当に幸せだったーーー 例え、私に子供が出来ず、義母からハズレ嫁と罵られようとも、義父から、マルクス伯爵家の事業全般を丸投げされようとも、私は、貴方さえいてくれれば、それで幸せだったのにーーー。 「《ルエル》お姉様、ごめんなさぁい。私、カイン様との子供を授かったんです」 「すまない、ルエル。君の事は愛しているんだ……でも、僕はマルクス伯爵家の跡取りとして、どうしても世継ぎが必要なんだ!だから、君と離婚し、僕の子供を宿してくれた《エレノア》と、再婚する!」 夫と妹から告げられたのは、地獄に叩き落とされるような、残酷な言葉だった。 カインも結局、私を裏切るのね。 エレノアは、結局、私から全てを奪うのね。 それなら、もういいわ。全部、要らない。 絶対に許さないわ。 私が味わった苦しみを、悲しみを、怒りを、全部返さないと気がすまないーー! 覚悟していてね? 私は、絶対に貴方達を許さないから。 「私、貴方と離婚出来て、幸せよ。 私、あんな男の子供を産まなくて、幸せよ。 ざまぁみろ」 不定期更新。 この世界は私の考えた世界の話です。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。

光の王太子殿下は愛したい

葵川真衣
恋愛
王太子アドレーには、婚約者がいる。公爵令嬢のクリスティンだ。 わがままな婚約者に、アドレーは元々関心をもっていなかった。 だが、彼女はあるときを境に変わる。 アドレーはそんなクリスティンに惹かれていくのだった。しかし彼女は変わりはじめたときから、よそよそしい。 どうやら、他の少女にアドレーが惹かれると思い込んでいるようである。 目移りなどしないのに。 果たしてアドレーは、乙女ゲームの悪役令嬢に転生している婚約者を、振り向かせることができるのか……!? ラブラブを望む王太子と、未来を恐れる悪役令嬢の攻防のラブ(?)コメディ。 ☆完結しました。ありがとうございました。番外編等、不定期更新です。

雪解けの白い結婚 〜触れることもないし触れないでほしい……からの純愛!?〜

川奈あさ
恋愛
セレンは前世で夫と友人から酷い裏切りを受けたレスられ・不倫サレ妻だった。 前世の深い傷は、転生先の心にも残ったまま。 恋人も友人も一人もいないけれど、大好きな魔法具の開発をしながらそれなりに楽しい仕事人生を送っていたセレンは、祖父のために結婚相手を探すことになる。 だけど凍り付いた表情は、舞踏会で恐れられるだけで……。 そんな時に出会った壁の花仲間かつ高嶺の花でもあるレインに契約結婚を持ちかけられる。 「私は貴女に触れることもないし、私にも触れないでほしい」 レインの条件はひとつ、触らないこと、触ることを求めないこと。 実はレインは女性に触れられると、身体にひどいアレルギー症状が出てしまうのだった。 女性アレルギーのスノープリンス侯爵 × 誰かを愛することが怖いブリザード令嬢。 過去に深い傷を抱えて、人を愛することが怖い。 二人がゆっくり夫婦になっていくお話です。

処理中です...