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23、ハノイ国
しおりを挟むハノイ国の首都ファイチのとある一軒家。
「何だと、もう一回言ってみろ。」
「はい、リネカー様。我々の商品を載せた船がレンブラント騎士団に拿捕されました。
ただいま国を動かしてレンブラントに抗議をしております。いかが致しましょう?」
「残念だが商品はまた捕まえれば良い。ただあのギフトの娘だけはタイミングを見て返して貰おう。」
「ですが、今回のお供えをどうされますか?」
「一旦、このハノイで見繕うか。まぁでもそろそろオリジナルが欲しい所だな。」
「そうですね。今回のレンブラントの様にほかの国に介入されるのも時間の問題ですからね。」
「あぁ、今回はハノイ国内で見繕いディアッカの奴に仕事をさせろ。わかったな。」
「わかりました。ではその様に致します。そうですね。期間は10日間ほど下さい。」
「もう少し早くはならぬか?」
「良い素材が手に入ったらすぐなんですがね。」
「もう良い。言うな。」
「まぁ、そう言う事で。では失礼します。」
バタンッとドアが締まると、リネカーと呼ばれる男が机の上の葉巻を1本手に取り火を付ける。
ふぅ~と煙を吸い込み体の隅々まで行き渡らせる。
「とりあえず上には少し待っていただくか。」
◇◇◇◇◇◇
「母上、母上。」
「どうしたの?アーロン。」
「僕の大事なおもちゃが壊れてしまいました。大切にしてたのに。」とでっぷりと太った両手で目頭を押さえ泣きまねをした。
「まぁ、それは困ったわね?またリネカーに頼んで持って来て貰いましょう。それで良いわね?アーロン。」
「はい、お母様。次は男の子がいいです。女の子はすぐに壊れてしまうので。」
ハノイ国の王妃エリーゼと王子アーロンの会話を聞いていたハノイ国の王アダムは、顔を顰め「2人とも程々にしておきなさい。」と嗜た。
「何だよ!お父様だって、やってるじゃないか!」と口答えするアーロン王子。
「いずれお前もわかる。王妃を娶らなければならないからな。その前に余計な噂などたたぬ様にしておけ。」
と言い渡すとその部屋から出て行った。
ジメジメとした暗い通路を歩き、階段を降りて地下へと向かう。地下通路にはいくつかの部屋があり、ある1室のドアを開けると、綺麗に着飾った数名の女性が居た。
その内2名は奇怪なことに顔面が溶けて来ていて、既に異臭を放っている。
残り3名は無事だが、なぜか同じ顔をしている。3名とも部屋の隅に固まり酷く怯えている。
「おい、そこにいるな?」と声を出すと、暗闇から1人の男が返事をした。
「ここに控えております。」
「あの2つはもう要らぬ。始末しろ。」
「はっ、了解しました。」
アダム王はその3名の中の1人を引っ張り出すと別の部屋へ連れて行った。
ドアが閉まると同時に「お許しください。お許しください。」と哀願する声が響いて来た。
啜り泣く声も止まらない。
暫くしてから「ギャー!」と叫ぶ声が聞こえたかと思うと時よりバタッ、バタッと音がする。時おり「いゃっ、いやだ、辞めて下さい。お願いします。」と声がする。
物音や声がしなくなり、しばらく経つとその部屋から顔を赤らめ上気させご機嫌なアダム王が出てきた。
「やはり本物が欲しい。何とかならぬか?」と先ほどの男に話しかけている。
「総力を尽くしております。暫くお待ち下さいます様お願い申し上げます。オーロラ王女様はやはりアトランティス王家の方、なかなか難しいのです。そこをご理解下さい。」
「もうしばらくすると最新のバージョンが出来上がって来ます。そちらで楽しまれるのも一興かと。」
「最新物か。まあ良い期待しておるぞ。」と笑顔で部屋を出て行った。
先ほどの部屋の中央には、全裸にされ顔が腫れ上がった血だらけの女性が倒れていた。
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