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4、いざ決勝トーナメント
しおりを挟む第3会場の勝利者を集められ、次の決勝トーナメントへ進む者が発表された。
第3会場からは2名。
アニエスは2番目に呼ばれた。
自信があったがやはりホッとした。注目していたもう1人の女性も選ばれていた。
審判に決勝トーナメント参加者はすぐに本部前まで行くように伝えられた。
本部前に行くと既に他の会場の参加者が集まっていた。
アルフォンスが決勝トーナメントの説明を始めた。
会場は第1会場を使用する。
決勝トーナメントは負けたら終わりの勝ち抜き戦。
ここまで来たら合格だが、本人の適性を見たいのでこの決勝トーナメントは必ず参加の事。配属先は適性をみて判断する。
戦いのルールは予選と同じ。
今から30分後に決勝トーナメントを始めるので各自用意をしておく事。
と話すアルフォンスの後ろで決勝トーナメントの組み合わせが貼られていた。
「一旦解散。」との号令があり各々が決勝トーナメントの組み合わせ表を見に行った。
何と次の対戦相手はピエールだった。
どんな小狡い手を使ったのか?あの男がそんなに強いハズは無かったと記憶している。
んっ、一つ考えが思い付いた。
まぁ、やってみようか。
とりあえず自分の番の前の試合のコールまでは、会場の外れでゆっくりと精神統一をする事にした。ここまで来たら騒ぐ愚か者はほとんどいないので助かった。
しばらくすると前の試合のコールがかかったのでそれに合わせて会場を移動する。
今の試合は、あの第3会場で一緒だった女性だ。知らない人だが心の中でエールを送る。なかなか良い試合を展開していた。
きっと頭も悪くないのだろう。だが悪く言えば硬い。長試合の末、女性は負けてしまった。
相手選手と硬い握手を結んでいた。バラバラとだが拍手が起こっていた。アニエスも拍手に参加した。
ふと視線を感じる。
気がつくとピエールがアニエスを睨みつけていた。
それを一切無視し、審判員に入場を促され位置に着いた。
先ほどと同じ様に審判に本人確認された。
その時にすいませんが。と前置きした上で「試合中に剣が折れたりしたら、その場で勝敗が決まってしまうのですか?」と聞いてみた。
審判は突然の質問に最初は驚いていたが、「いえ、そんな事はありません。本人に試合の続行が可能かどうか伺った上で勝敗は決まります。あくまで試合が続ける意思が有ればそのまま続行されます。」という話をしてくれた。
「他に質問は?」と両名に聞いた上で、
2人とも無いと分かると、「では位置について下さい。」と言われピエールと共に位置に着いた。
「ふん、お前になどに負けるか。」とアニエスを睨みつけピエールが言っている。「それはどうかしら?やってみない事には分からないわ。」とすぐさま言い返した。そんな両名を見ながら審判は、
「それでは始め!」と大声で叫ぶと、勢い良く旗を下ろした。
ピエールは思った通り上段の構えで押してきた。アニエスも右、左と構えながら避けて行く。
それがぶっ通しで続くと流石に10分後には、ピエールはヨロヨロだった。
「卑怯だぞ、避けてばかりいやがって。勝負しろ!」と叫んだのをきっかけにアニエスは剣を手放した。
「試合続行で良いですね?」と審判が直ぐに確認してきた。たぶん今までの様子を見て、アニエスが何をやろうとしているのか、分かっている様だ。
審判の目を見て頷くと「始め!」と再び号令がかかった。
「っ!剣を手放しただと!!舐めやがってー!」とピエールが怒りに任せ、勢い良く襲いかかってきた。
アニエスはそれを避けたあと、ブンッと腰をかがめ「ポンッと」脚払いを決めた。
それまでの試合でも既に脚が弱っていたピエール。
フラフラと後ずさると、あっけなく後ろへ倒れ込んだ。
すかさず駆け寄り袈裟固めを決め、戦闘続行不可能になったのを確認して審判員の判定を待った。
「勝者アニエス!」とコールがあると固唾を飲んで見守っていた他の選手から拍手が起こった。
会場にタンカが入り、気を失っているピエールが運び出されて行く。
審判員がアニエスに寄ってきた。
彼は「お見事です。」と笑っていた。
アニエスも笑って「ありがとうございました。」と答えた。
決勝トーナメントは後2試合で決まる。
次の対戦相手は、、、、
へぇ、騎士団長の息子さんか。
本気で罹らないとだめね。
まぁ、全力を尽くすのみ。
◇◇◇
本部にて
「今年は面白い人材が居ますね。アルフォンス。」と笑ってアルフォンスに話しかける女性がいた。
「そうですね。恐らくまだあれで5~6割と言った所じゃないですか?次はあっ、団長の所の息子さんか。相手に不足は無さそうですね。」
「ええ、見てみたいわね。楽しみ。」
(これで本気を見させてもらうよ。アニエス。)
次の試合まで間がある。
先ほどの場所で精神統一をする。
静かだ。
ここには誰も居ない。
次の対戦相手がどんな男かは知らないが弱くは無いのだけはわかっている。
大切なのは相手より自分。
自分に負けない事。
アニエスは大人しくその時を待った。
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