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3、選抜試験

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とうとう当日の朝になった。

早朝からアニエスは体作りをしてから素振りをしていた。
流れる汗が心地良い。でもまあ、と考えそこそこで朝練を終えた。
この朝練はお父様に許可を得て転生後から始めていた物だ。

軽めの朝食を取り、昨日から執事に頼んで置いた馬車に乗り込む。
ロビンが側まで見送ってくれていた。
「お姉様、ケガしない様頑張って下さいね。」と心配そうにアニエスを見ている。

「わかったわ。ロビン。気をつけて行くわね。受かるように祈っててね。」と返事をしておいた。



しばらく馬車が走り騎士団の練習場へ着いた。周りを見まわすと結構な人数だ。

練習場の会場近くに寄ってみると、今日の内容が貼り出されていた。
女性騎士団も男性同様に選抜試験が行われる。

出願者、多かったんだ。。。。
ってそれよりも驚いたのが、選抜試験は男女混合だった。
へぇ、役に立たない女性は要らないってはっきり言うのね。などと考えていたら

「久しぶりだな。アニエス。」
と元婚約者のピエールに話しかけられた。

「久しぶりですね。ピエール様。今日はどうしてこちらに?侯爵家を継がれるのでは無かったのですか?」

「あぁ、お前と婚約破棄した後親父に詰められてな。騎士団で3年間務め無いと爵位は譲らないと言い渡されたよ。」
へぇ、おじ様も愚かでは無かったか。
息子は残念な男だが。 
「まぁ、お前の親父にごっそり慰謝料をとられ、フランには逃げられるし最悪だよ。」とこちらを睨みながら愚痴っている。でもそれって自業自得じゃない?

「お前も今日こちらへきたという事は入団希望か?まぁ、お前みたいな鈍臭い女受かるとは思えんがな。」と悪態をつく。

「そうですね。受けてみようと思って来ました。」大人な対応で淀みなく話した。

「まぁ、お互い頑張りましょう。」とその場を後にした。


結局、参加者は男性が約50名、女性は30名
合計約80名

思ったより女性が多い。

騎士団練習場のグランドに集められ、アルフォンスが説明を始めた。

初の女性騎士団であるという事、今回は男性と共に選抜試験をする事。女性の団員は特に人数は決まりがなく若干名という事

選抜方法はグループ予選をしてから、各2名ずつグループの審判員から選出された後、休憩を挟み男女混合トーナメントへ移行。

勝敗は戦闘続行が不可能と判断された場合と降参した場合のみ有効。
模擬剣以外の武器の使用は認めず。

30分後から試合開始するのでそれぞれが各会場を確認しておく事。と指示を皆に与えて説明は終わった。

会場は4つ
各会場に女性が7人ほど入るのか。審判は2名。

あそこが今回の本部ね。アルフォンスの野郎がいるわ。気に食わないけど。と思いながら本部を見ていたらアルフォンスと目があった。

目を逸らすのも何だか嫌だったので睨みつけてやった。
なぜかニヤリとこちらを向いて笑ったのだ。ムカついたので無視してやった。

それからアニエスは自分の会場を確認してから、試合開始を佇んで待っていた。

アニエスは第3会場だった。
女性が自分を入れて7名。自分の初戦の相手は、男性だった。各会場上位2名、合計8名が決勝トーナメントへ行ける。

私の試合は、、、、この会場最後か。
ぎりぎり申し込んだからかなぁ?と考えていた。

審判の合図と共に試合は進んでいた。
途中の試合で1名の女性が目についた。動きが良いし中々の太刀筋、かなりやってるなと思わせた。私と同じ歳ぐらいか?

私の番が来た。
相手はかなりの大男だ。
体は大きいけど動きはどうだろう?

「おい、女。降参するなら今のうちだ。
ったく女は家で刺繍でもやってりゃいいんだよ!」って言い放った。
その言葉で周りの男共が沸いた。
ちょっと何あれムカつくわね。

会場の中央へ進む。
審判が「アニエス=レーニンで間違い無いか?」と確認して来たので、「はい。」と答える。同様に相手も、確認されていた。

「双方とも本人であると確認した。両名ともこちらへ。」と審判の前へ進み出る。

「ボディーチェックをさせて貰う。」「アニエス嬢はあちらで。」と目線を向けた先にちょっと目上の騎士団の制服を着た女性がいた。

「チェックお願いします。」と声をかけると「良いわよ。」とにっこりと笑い、他に武器が隠されてないかをチェックした。
「頑張ってね。」と声をかけて貰い相手の待っている中央へと戻る。
「両名握手。」と審判が言ったので握手をしたがぐっと握られた。
思わず顔を顰めると「悪いな、ねぇちゃん。」と悪びれもせず謝罪をした。

「両名構え!」と号令がかかり振り上げられた旗が振り下ろされた。試合開始の合図だ。

力自慢の大男は隙だらけだった。

「勝負、アニエス!」と判定が下った。

「卑怯だぞ。」と言いがかりを付ける大男に対して担当の審判員が「今、なぜ自分が負けたのか分からないような人間では騎士団は務まらないよ。」とフォローを入れてくれた。
なのでそれ以上には大事にはならず、大男はすごすごと会場を後にしていた。

この第3会場の勝利者の中で、誰が決勝トーナメントへ行くかを審判が決めるのを静かに待った。
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