上 下
43 / 53

42、トラフォードでの再会

しおりを挟む


「すいません、チキンの煮込みに合うワイン下さい。」とリカーショップで店員さんに声をかけた。

「ええ、いいわよ。トマトで煮込むのよね?軽めの赤なんてどうかしら?ほら、これなんてフレッシュで飲み口が軽いわよ。あと時間が経ってからの香りも良いのよ。」とまだ若いだろうと思われる女性スタッフの方が親切に教えてくれた。

 お値段も手頃だしラベルデザインも可愛い。これにしよう。「すいませんこれ下さい。」とお薦めのワインを包んで貰った。さぁ、料理の材料も買ったしワインも手に入れた。帰ろーっと。

 合鍵でアパートへ入ると荷物をテーブルの上に乗せた。調理器具やスパイス類も確認した。
お母様に教えて貰ったんだけど上手く行くかしら?家で作った時は成功していた。

 作り始めて1時間半ほど経った時に「ただいま」ってクロードの声がしてドアが開いた。「お帰りなさいクロード!!」と答えると玄関まで出てクロードに抱き着いた。

「どうした?ジョゼフィーヌ。珍しいね。君から来てくれるなんて。」と言いながら頬にキスを落として来た。

「へへっ、そうですね。何だか私らしく無いですよね。」と照れ笑いした。

「良い香りだ。チキン?」

「ええ、煮込みにしたの。あとワインも。とりあえず着替えてクロード。」とクロードから離れるとキッチンへ戻った。あっ、少しだけ煮詰まってしまった。焦げなくて良かった。

 何とかテーブルに食事を並べたら8時を超えてしまった。まぁこれは仕方ないわ。初めてにしたら上出来よ。そんなタイミングでクロードが着替えを終えてテーブルまで来た。そしてテーブルの上をチェックすると、

「うわぁ~美味そうだ。早く食べたいよ。僕がワインを開けるよ。」と買ってきたワインを手に取りオープナーで器用に開けてくれた。そして私のグラスに注ぐと自分のグラスに注いだ。

「では再会を祝して乾杯。」とクロードの音頭で乾杯するとそれぞれの食事に口を付けた。

 クロードの話から食事が始まった。
今日から赴任して来たから今日は制服を用意して貰ったんだけど、事務員の方に過剰に触られるのだがこの国の女性は皆そうなのか?と聞かれた。

 思わず「違います!!」と力説してしまった。

 ジョゼフィーヌも学生時代の生徒会の仲間とたまに食事をする話をした。やはり気持ちが学生時代に戻るわね。クロードもやっぱりそう?と聞いてみた。

「多分僕でもそうなるだろうね。友人は面白い奴が多かったし一緒にバカやって怒られたりもしたし。」と懐かしんでいる目になった。

「そうですね。私たちはまだまだ思い出って無いですもの。これからですねクロード。」

「あぁ、ジョゼフィーヌ。今度2人で何処か行こうか?せっかくここに居るから、独身の間にちょっと遠出もしたいしね。」

「そうですね。トラフォードにとても由緒ある神殿が有るんですよ?また見に行って見ませんか?」

「神殿か。良いね。僕が好きな分野だよ。トラフォードだったらカリスト神殿なんかが有名だったね。」

「よくご存知ですね。内壁に特徴があるんですよね?」とそんな感じで時間も忘れて話し込んだ。食後のコーヒーはクロードが淹れてくれた。

「あっ、そろそろ帰らないと。」と言いながらジョゼフィーヌが立ち上がるとクロードが「もうそんな時間なんだね。」と言いながらジョゼフィーヌの隣へ来た。

 そして抱きしめながら「早く同じ場所に帰るようになりたい。」と熱意っぽく話すとジョゼフィーヌに口付けをした。

「さぁ、家まで送ってくよ。これ以上は僕が止まれなくなるからね。」とジョゼフィーヌに言った。ジョゼフィーヌは顔を赤らめて下を向いてしまった。

 2人で手を繋ぎながらゆっくりと道を歩いた。この夜は星空がとても綺麗で星を指差しながら歩いた。

 ジョゼフィーヌの家に入る前に一緒に見た流星が大きくて凄く綺麗だった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました

悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。 クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。 婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。 そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。 そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯ 王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。 シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯

慰み者の姫は新皇帝に溺愛される

苺野 あん
恋愛
小国の王女フォセットは、貢物として帝国の皇帝に差し出された。 皇帝は齢六十の老人で、十八歳になったばかりのフォセットは慰み者として弄ばれるはずだった。 ところが呼ばれた寝室にいたのは若き新皇帝で、フォセットは花嫁として迎えられることになる。 早速、二人の初夜が始まった。

【完結】冤罪で殺された王太子の婚約者は100年後に生まれ変わりました。今世では愛し愛される相手を見つけたいと思っています。

金峯蓮華
恋愛
どうやら私は階段から突き落とされ落下する間に前世の記憶を思い出していたらしい。 前世は冤罪を着せられて殺害されたのだった。それにしても酷い。その後あの国はどうなったのだろう? 私の願い通り滅びたのだろうか? 前世で冤罪を着せられ殺害された王太子の婚約者だった令嬢が生まれ変わった今世で愛し愛される相手とめぐりあい幸せになるお話。 緩い世界観の緩いお話しです。 ご都合主義です。 *タイトル変更しました。すみません。

【R-18】逃げた転生ヒロインは辺境伯に溺愛される

吉川一巳
恋愛
気が付いたら男性向けエロゲ『王宮淫虐物語~鬼畜王子の後宮ハーレム~』のヒロインに転生していた。このままでは山賊に輪姦された後に、主人公のハーレム皇太子の寵姫にされてしまう。自分に散々な未来が待っていることを知った男爵令嬢レスリーは、どうにかシナリオから逃げ出すことに成功する。しかし、逃げ出した先で次期辺境伯のお兄さんに捕まってしまい……、というお話。ヒーローは白い結婚ですがお話の中で一度別の女性と結婚しますのでご注意下さい。

【完結】傷物令嬢は近衛騎士団長に同情されて……溺愛されすぎです。

早稲 アカ
恋愛
王太子殿下との婚約から洩れてしまった伯爵令嬢のセーリーヌ。 宮廷の大広間で突然現れた賊に襲われた彼女は、殿下をかばって大けがを負ってしまう。 彼女に同情した近衛騎士団長のアドニス侯爵は熱心にお見舞いをしてくれるのだが、その熱意がセーリーヌの折れそうな心まで癒していく。 加えて、セーリーヌを振ったはずの王太子殿下が、親密な二人に絡んできて、ややこしい展開になり……。 果たして、セーリーヌとアドニス侯爵の関係はどうなるのでしょう?

大嫌いな次期騎士団長に嫁いだら、激しすぎる初夜が待っていました

扇 レンナ
恋愛
旧題:宿敵だと思っていた男に溺愛されて、毎日のように求められているんですが!? *こちらは【明石 唯加】名義のアカウントで掲載していたものです。書籍化にあたり、こちらに転載しております。また、こちらのアカウントに転載することに関しては担当編集さまから許可をいただいておりますので、問題ありません。 ―― ウィテカー王国の西の辺境を守る二つの伯爵家、コナハン家とフォレスター家は長年に渡りいがみ合ってきた。 そんな現状に焦りを抱いた王家は、二つの伯爵家に和解を求め、王命での結婚を命じる。 その結果、フォレスター伯爵家の長女メアリーはコナハン伯爵家に嫁入りすることが決まった。 結婚相手はコナハン家の長男シリル。クールに見える外見と辺境騎士団の次期団長という肩書きから女性人気がとても高い男性。 が、メアリーはそんなシリルが実は大嫌い。 彼はクールなのではなく、大層傲慢なだけ。それを知っているからだ。 しかし、王命には逆らえない。そのため、メアリーは渋々シリルの元に嫁ぐことに。 どうせ愛し愛されるような素敵な関係にはなれるわけがない。 そう考えるメアリーを他所に、シリルは初夜からメアリーを強く求めてくる。 ――もしかして、これは嫌がらせ? メアリーはシリルの態度をそう受け取り、頑なに彼を拒絶しようとするが――……。 「誰がお前に嫌がらせなんかするかよ」 どうやら、彼には全く別の思惑があるらしく……? *WEB版表紙イラストはみどりのバクさまに有償にて描いていただいたものです。転載等は禁止です。

番が見つけられなかったので諦めて婚約したら、番を見つけてしまった。←今ここ。

三谷朱花
恋愛
息が止まる。 フィオーレがその表現を理解したのは、今日が初めてだった。

処理中です...