23 / 53
22、クロード様の特別
しおりを挟む「ジョゼフィーヌ様、シャディ様こちらへどうぞ。」とクロード様が中庭へ案内して下さいました。
シャディ伯爵令嬢はようやく落ち着いて来たのか自分のペースで歩き出しました。
人気の無い池のそばにベンチを見つけるとシャディ伯爵令嬢をゆっくりと座らせました。
「初対面ながら失礼しました。私はトラフォード国から来ましたジョゼフィーヌと言う者です。シャディ様、喉など乾いてませんか?」と話すとシャディ様が小さな声で
「はい、恥ずかしながら実は乾いております。」と言いました。「今、何か持って来ますね。クロード様見てて下さいますか?」とクロード様に言うと「いや、私が持って来ますね。ジョゼフィーヌ様はここへいてあげて下さい。」と言うと会場へ戻り始めた。
「あっ、あの、ありがとうございました。」とシャディ様がこちらを見て話し出しました。
「いえ、あの場所はどうかと私が思ったので僭越ながら口を出させて頂きました。」と返すと
「以前は私たちとても仲が良かったんです。
小さな頃から兄妹のように遊んでいました。まさかこんな事になるなんて。」と俯いて手を握っています。
「そうだったんですね。それはお辛いですね。」と相槌を打った。
「どうしてこんな事になってしまったのか。
私はあの方を虐めたりなんてして居ないのに。」とポロポロと涙が出てきました。
ジョゼフィーヌはハンカチを取り出してシャディ様に渡しました。
「お2人とも飲み物を持ってきましたよ。」とクロード様が戻って来られました。シャディ様は涙を拭くと飲み物を受け取り、ゆっくりと飲み始めました。
「とりあえず今日は馬車を手配して来ました。シャディ様を送っていきましょう。」とクロード様が言いました。
「ジョゼフィーヌ様もご一緒にお乗り下さい。」
それから王宮の馬車乗り場まで移動してシャディ様お屋敷へ向かいました。割とお屋敷は近かったのですぐに降りる事になりました。
「ジョゼフィーヌ様、私はシャディ様のご両親に先ほどの件を説明して来ます。少しお時間かかると思いますがこの馬車でお待ち下さい。」とジョゼフィーヌに断るとシャディ様を連れて屋敷へと入って行きました。
それから1時間近くは待ったと思います。
「お待たせしました。ジョゼフィーヌ様本日は寮の方へ戻りましょう。お疲れでしょう。」と御者に場所を伝え学園の方へ戻って行った。
「シャディ様のご両親はどうでしたか?」と聞くとクロード様は少し笑いながら
「ええ、かなりご立腹でしたよ。あれは王家とこの先揉めるでしょうね。」と話した。
馬車が寮の前に着くとクロード様が
「ジョゼフィーヌ様、今日は貴女の勇気に感服しました。これからの留学生活がより良い物になりますよう祈願します。」とじっとジョゼフィーヌの目を見つめながら話しました。
「あと本来はこんな事はしないのですが、この件で何か有りましたからここへ連絡を入れて下さい。対処しますので。」と1枚の紙をくれた。
寮へ戻ると一目散に自分の部屋へ入りドレスを脱いだ。髪飾りも外し着替えるとベッドへダイブした。「はぁ~。何あれ?あれがこの国の王子なの?あれで務まるの?」と独り言が出た。「シャディ様の心が1日も早く癒されます様に。」と呟いた。
この日は胸がいっぱいで夕食を食べる気が起こらずカリナさんにその事を伝えて夕食を辞退した。
シャワーを浴びて明日からの学校生活に備えると早々に就寝した。
0
お気に入りに追加
372
あなたにおすすめの小説
宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました
悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。
クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。
婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。
そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。
そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯
王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。
シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯
慰み者の姫は新皇帝に溺愛される
苺野 あん
恋愛
小国の王女フォセットは、貢物として帝国の皇帝に差し出された。
皇帝は齢六十の老人で、十八歳になったばかりのフォセットは慰み者として弄ばれるはずだった。
ところが呼ばれた寝室にいたのは若き新皇帝で、フォセットは花嫁として迎えられることになる。
早速、二人の初夜が始まった。
【R-18】逃げた転生ヒロインは辺境伯に溺愛される
吉川一巳
恋愛
気が付いたら男性向けエロゲ『王宮淫虐物語~鬼畜王子の後宮ハーレム~』のヒロインに転生していた。このままでは山賊に輪姦された後に、主人公のハーレム皇太子の寵姫にされてしまう。自分に散々な未来が待っていることを知った男爵令嬢レスリーは、どうにかシナリオから逃げ出すことに成功する。しかし、逃げ出した先で次期辺境伯のお兄さんに捕まってしまい……、というお話。ヒーローは白い結婚ですがお話の中で一度別の女性と結婚しますのでご注意下さい。
【完結】傷物令嬢は近衛騎士団長に同情されて……溺愛されすぎです。
早稲 アカ
恋愛
王太子殿下との婚約から洩れてしまった伯爵令嬢のセーリーヌ。
宮廷の大広間で突然現れた賊に襲われた彼女は、殿下をかばって大けがを負ってしまう。
彼女に同情した近衛騎士団長のアドニス侯爵は熱心にお見舞いをしてくれるのだが、その熱意がセーリーヌの折れそうな心まで癒していく。
加えて、セーリーヌを振ったはずの王太子殿下が、親密な二人に絡んできて、ややこしい展開になり……。
果たして、セーリーヌとアドニス侯爵の関係はどうなるのでしょう?
大嫌いな次期騎士団長に嫁いだら、激しすぎる初夜が待っていました
扇 レンナ
恋愛
旧題:宿敵だと思っていた男に溺愛されて、毎日のように求められているんですが!?
*こちらは【明石 唯加】名義のアカウントで掲載していたものです。書籍化にあたり、こちらに転載しております。また、こちらのアカウントに転載することに関しては担当編集さまから許可をいただいておりますので、問題ありません。
――
ウィテカー王国の西の辺境を守る二つの伯爵家、コナハン家とフォレスター家は長年に渡りいがみ合ってきた。
そんな現状に焦りを抱いた王家は、二つの伯爵家に和解を求め、王命での結婚を命じる。
その結果、フォレスター伯爵家の長女メアリーはコナハン伯爵家に嫁入りすることが決まった。
結婚相手はコナハン家の長男シリル。クールに見える外見と辺境騎士団の次期団長という肩書きから女性人気がとても高い男性。
が、メアリーはそんなシリルが実は大嫌い。
彼はクールなのではなく、大層傲慢なだけ。それを知っているからだ。
しかし、王命には逆らえない。そのため、メアリーは渋々シリルの元に嫁ぐことに。
どうせ愛し愛されるような素敵な関係にはなれるわけがない。
そう考えるメアリーを他所に、シリルは初夜からメアリーを強く求めてくる。
――もしかして、これは嫌がらせ?
メアリーはシリルの態度をそう受け取り、頑なに彼を拒絶しようとするが――……。
「誰がお前に嫌がらせなんかするかよ」
どうやら、彼には全く別の思惑があるらしく……?
*WEB版表紙イラストはみどりのバクさまに有償にて描いていただいたものです。転載等は禁止です。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
妻のち愛人。
ひろか
恋愛
五つ下のエンリは、幼馴染から夫になった。
「ねーねー、ロナぁー」
甘えん坊なエンリは子供の頃から私の後をついてまわり、結婚してからも後をついてまわり、無いはずの尻尾をブンブン振るワンコのような夫。
そんな結婚生活が四ヶ月たった私の誕生日、目の前に突きつけられたのは離縁書だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる