59 / 64
57、魔法騎士団発足
しおりを挟む「おーい、何だよこれ。とんでもないな。」とエドワードがブルックリンの写した映像を見ながら話す。
「うるさいわね!!あんな時に落ち着いて分析なんてできるわけないでしょ??」とブルックリンも負けじといい返す。
あれからガブリエラの魔法陣で帰って来たのだが、アーチャーの机の周りで映像を再生しながら目下全員が沈黙中である。
満を持してアーチャーがボソリと「・・・・まぁ、知ってたとは言えさすがにつえぇな。」と言った。
「しかしこうしていても始まらないわ。アーチャー、騎士団の訓練の強化の件は話してあるんでしょうね?」とガブリエラがアーチャーに話しかける。
「あぁ、まだ公にはしてないが魔法騎士団を編成してもらっている。正式に辞令が発令すれば魔法騎士団は我々の傘下に入る。メンバーはだいたい10名ほどになるだろう。この映像はすでに国王や騎士団長にも送ってある。ガブリエラやエドワードも王宮全体はブルックリンや私の結界が貼ってあるが日常生活は気をつけておいてくれ。」
アーチャーはそう話すと「今日は全員解散!」と言って部屋から出ていった。ブルックリンは寮への帰りにローリーの部屋に寄りお土産の果物を渡しておいた。ローリーは『・・・・ありがとうよ。』と喜んでいたがどうやって食べるのだろう?
自分の目で確認してみたい気もするが今はなんせ疲れている。会話もそこそこに寮へ帰った。
それからしばらくは平穏な日々が続いた。その間にブルックリンは自分の魔法陣を利用して奴らの居場所を探ってみたがさっぱりつかめなかった。
そして先日【魔法騎士団】が発足した。
団長はハンクス騎士団長が兼任し、騎士団から選りすぐりの魔法使いが選ばれたようだ。自分の戦闘スタイルに魔法を組み合わせて戦うようになるので私たち魔法塔の面々は後方支援になりそうだ。でも・・・・
ブルックリンはそれだけでは足りないと感じていた。
ーーーー先日の実戦の時に感じた途方もない魔力。あのとき確かにアーチェント先生をつかんだと思ったのに。
思わず手をぎゅっと握った。
手応えはあった。縄抜けするようにするりと逃げられた。そんな感じだ。これでは戦うなんて到底無理だ。
2~3日後ブルックリンは「アーチャー魔法師団長、少しここにこもっていいですか?」と話した。
「ン?別にいいけど何するんだ?」
「私にちょっと考えがあります。でも時間が欲しいんです。出来れば集中できる部屋を2、3日ほどお借りしたいのですが・・・・」
「なら、僕の部屋の隣が空いてる。そこならどうだ?」
「ええ、それで結構です。では私がいいと言うまで誰も入って来ないでください。」と言ってブルックリンはしばらく篭れるよう荷物をまとめ、アーチャーの執務室の隣の部屋へ入って行った。
アーチャーはその後ろ姿を見ながら、「おい、エドワード。お前今日から魔法騎士団へ出向だ。奴らの魔法を見てやりつつ、ちっとは剣技のひとつでも学んで来い。」
そう話すと今度はガブリエラに向かってしばらくテスタメンターの仕事を変わってやれと命じた。
その頃ブルックリンは机の上にたくさんの紙切れをおき「う~ん・・・・」とうなっていた。
「まぁ、これで少しは戦えると思う。」と呟くともう一度杖を取り出し、呪文を唱えていた。
『ふふっ、もうすぐ迎えに行くわね。さぁ、ブルックリン、私と一緒に高みへ登りましょう。以前のように楽しく過ごしましょう。今度は誰にも邪魔はさせないわ・・・・・』
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
どうして私にこだわるんですか!?
風見ゆうみ
恋愛
「手柄をたてて君に似合う男になって帰ってくる」そう言って旅立って行った婚約者は三年後、伯爵の爵位をいただくのですが、それと同時に旅先で出会った令嬢との結婚が決まったそうです。
それを知った伯爵令嬢である私、リノア・ブルーミングは悲しい気持ちなんて全くわいてきませんでした。だって、そんな事になるだろうなってわかってましたから!
婚約破棄されて捨てられたという噂が広まり、もう結婚は無理かな、と諦めていたら、なんと辺境伯から結婚の申し出が! その方は冷酷、無口で有名な方。おっとりした私なんて、すぐに捨てられてしまう、そう思ったので、うまーくお断りして田舎でゆっくり過ごそうと思ったら、なぜか結婚のお断りを断られてしまう。
え!? そんな事ってあるんですか? しかもなぜか、元婚約者とその彼女が田舎に引っ越した私を追いかけてきて!?
おっとりマイペースなヒロインとヒロインに恋をしている辺境伯とのラブコメです。ざまぁは後半です。
※独自の世界観ですので、設定はゆるめ、ご都合主義です。
【完結】夫は王太子妃の愛人
紅位碧子 kurenaiaoko
恋愛
侯爵家長女であるローゼミリアは、侯爵家を継ぐはずだったのに、女ったらしの幼馴染みの公爵から求婚され、急遽結婚することになった。
しかし、持参金不要、式まで1ヶ月。
これは愛人多数?など訳ありの結婚に違いないと悟る。
案の定、初夜すら屋敷に戻らず、
3ヶ月以上も放置されーー。
そんな時に、驚きの手紙が届いた。
ーー公爵は、王太子妃と毎日ベッドを共にしている、と。
ローゼは、王宮に乗り込むのだがそこで驚きの光景を目撃してしまいーー。
*誤字脱字多数あるかと思います。
*初心者につき表現稚拙ですので温かく見守ってくださいませ
*ゆるふわ設定です
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
夫が浮気をしたので、子供を連れて離婚し、農園を始める事にしました。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
10月29日「小説家になろう」日間異世界恋愛ランキング6位
11月2日「小説家になろう」週間異世界恋愛ランキング17位
11月4日「小説家になろう」月間異世界恋愛ランキング78位
11月4日「カクヨム」日間異世界恋愛ランキング71位
完結詐欺と言われても、このチャンスは生かしたいので、第2章を書きます
【完結】長い眠りのその後で
maruko
恋愛
伯爵令嬢のアディルは王宮魔術師団の副団長サンディル・メイナードと結婚しました。
でも婚約してから婚姻まで一度も会えず、婚姻式でも、新居に向かう馬車の中でも目も合わせない旦那様。
いくら政略結婚でも幸せになりたいって思ってもいいでしょう?
このまま幸せになれるのかしらと思ってたら⋯⋯アレッ?旦那様が2人!!
どうして旦那様はずっと眠ってるの?
唖然としたけど強制的に旦那様の為に動かないと行けないみたい。
しょうがないアディル頑張りまーす!!
複雑な家庭環境で育って、醒めた目で世間を見ているアディルが幸せになるまでの物語です
全50話(2話分は登場人物と時系列の整理含む)
※他サイトでも投稿しております
ご都合主義、誤字脱字、未熟者ですが優しい目線で読んで頂けますと幸いです
私の婚約者は失恋の痛手を抱えています。
荒瀬ヤヒロ
恋愛
幼馴染の少女に失恋したばかりのケインと「学園卒業まで婚約していることは秘密にする」という条件で婚約したリンジー。当初は互いに恋愛感情はなかったが、一年の交際を経て二人の距離は縮まりつつあった。
予定より早いけど婚約を公表しようと言い出したケインに、失恋の傷はすっかり癒えたのだと嬉しくなったリンジーだったが、その矢先、彼の初恋の相手である幼馴染ミーナがケインの前に現れる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる