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14、まっ、負けた。

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 久しぶりのクラスは、新しい教室の魔法なのか、皆ざわざわしていた。

 お貴族様のご息女達は、エドワードの席を取り囲み「先日の歌劇はご覧になられました?あの舞台女優の言い回しが素晴らしかったですわ。」とブルックリンには到底理解できない、世間話に明け暮れていた。

(けっ!~~ですわ。って付けないと日常会話が成り立たないのかしら?)と心の中で愚痴っていた。と言うのもその中の1人が座っている席がブルックリンの席だったためだ。

「すいませんが、どいて下さらない?そこは私の席です。」とブルックリンがその子に言うと、「まあ、失礼しましたわ。道理で田舎臭いと思いましたわ。」と馬鹿にした様子で、ブルックリンに向かってそう言った。

 ブルックリンは「田舎かどうとか私には分かりませんが、礼節をわきまえない方が、家名を名乗るのはどうかと思います。」と言い返してやった。

「――――っな、なんですって!!」とその子は、言い返されて腹が立ったのか、ブルックリンの肩をドンっと押して来た。

 よろめきながらブルックリンは、その子を睨み付けて、
「――――場所を借りて助かったのなら一言、助かった、ありがとう。とお礼を言うだけで良かったのです。相手の事を貶める発言は余計なんですよ。」とその子に強く言い返したその時だった。

「ミューシャ、君が悪いよ。今のはブルックリンが正論だ。」とエドワードが冷ややかな視線で、そのミューシャと呼ばれる子を諭した。

「で、でも。エドワード様。」ミューシャは慌ててエドワードの方を見るが、エドワードは黙ってブルックリンを見つめて居た。

「ミューシャ様でした?謝る事が出来ないならそれで結構です。取り合えずこれから授業が始まりますので、そこの席を空けて下さい。」とミューシャに言った。しぶしぶと席を明け渡すミューシャ。教室中の視線がブルックリン達に集まっている。

「あっあ~~、先生が教室に来たのに誰も気が付きませんか??」と教壇の方から声がした。皆んながぎょっとして前方を見ると、ローガン先生が腕を組みながら立っている。

「まぁ、全員揃ってここに居るのはいい事ね。怪我とかしてる人は居ない?」とクラス中を見渡しながら問いかけている。その言葉を皮切りに、休み中の課題の回収が始まった。

 そして、次の日にはお約束の新学期のテストがあった。「これで皆が休み中にどう過ごしていたか分かるわよねえ。」とローガン先生が問題用紙を配りながらニヤリと笑っている。

 
 結果は、3日後の朝に先生がクラスの中で上位5名を張り出した。


――――今回は奴に負けた。チクショウ!!

ブルックリンは席にいたエドワードをビシッと指さし、「今度は絶対に負けないからね。」とクラスの中で負け犬の遠吠えを披露した。

「まあ、2位でもいいんじゃない。先生は立派だと思うけど?」とローガン先生がのほほんとブルックリンに言った。相手のエドワードは呆れ顔で「いや?次も僕がとるよ?」と言い返している。

ローガン先生に「――――先生。1位と2位は全然違います。」と言い放つとブルックリンは足早に自分の席へと戻って行った。


 その夜のブルックリンの部屋では、悔しくてなかなか寝付けないでいるブルックリンが、朝方近くまで勉強している明かりがついていた。
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