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第八章 大魔王スルト襲来! オリジナル対レプリカ!
第72話 魔剣の見る夢 その二
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レベッカは、自分が人間の身体になっていることに気づく。キャルの身体がなくても、キャルと同じ肉体を得ていた。
夢だからこそ、なせる業だろう。
レベッカの眼前にいる魔物は、炎の塊だった。炎が、人の形を取ったというか。
自分が立っている場所は、どこかの岩場みたいだ。しかし、一面星空である。
宇宙空間……というべきか。重力も、軽く感じた。
『久しいな、魔剣【レーヴァテイン・レプリカ ECA 六四七二】』
キャラメ・F・ルージュ以外で、自分をこう呼ぶのは、一人しかいない。
『アンタが、魔王スルトかい?』
『いかにも。余はスルトにして、魔剣【レーヴァテイン】なり。この隕石こそ、魔王スルトそのものである』
スルトの本体は、生きた鉱石だという。
『アンタの目的は、なんだい?』
『レーヴァテインの完成形を作ったものに、魔剣レーヴァテインの真打を打ってもらうこと。この鉱石スルトを、完全なるレーヴァテインとすることだ。それで余は、完全体となる』
スルトはこれまで、二〇〇〇〇を超える魔剣を作ってきた。
マルチバース……並行世界を通して、世界中にばらまいたという。
そのうち、形になったものは一〇にも満たないそうだ。
『失敗作を作った星には、余が直々に制裁を下した』
スルト自らが出向き、ダメなレーヴァテインを作った星を破壊し尽くしたのである。
キャルが持っていた「スルトの伝説を描いた絵本」は、その模様を書き記したものなのだろう。
だとしたら、レーヴァテインは完全に世界を滅ぼす力までは持っていないようだ。
最低限、その星の文明を完全破壊するという感じか。
『六四七二番目のレーヴァテイン……今はレベッカと名乗っているそうだな。お主こそ、余の肉体にふさわしい魔剣となりつつある。余にその身を捧げよ。真打なるレーヴァテインとなるため、余の隕石を受け入れよ』
『冗談。あんたの指図は受けないよ!』
レベッカが、スルトに向かって蹴りを放つ。
しかし炎の塊は、レベッカのキックを受けて、あっさり霧散してしまった。
『友垣と、じっくりと話し合うがよい。だが、余に逆らわぬことが身のためだ。余が堕ちてくるまで、せいぜいあがくがよい……』
そこで、レベッカは目覚める。
*
『てなことがあってよぉ……』
レベッカちゃんが、見た夢の話をわたしにしてくれた。
「スルトはなんて?」
「要約すると、こんな感じですわ。『スルトはこの世界で、第二の太陽になろうとしている』と」
クレアさんが言うと、リンタローが「なるほど」と手を打つ。
「レーヴァテインの正体は、太陽ってわけでヤンスね?」
「はい。自分を中心とした世界を作り出す。いかにも魔王らしい同期ではありませんこと?」
太陽を、人間に作らせるなんて。
「そんなこと、可能なのかな?」
「だからこそ、魔剣打ちというのではありませんこと? リンタローさんのように、『丸い魔剣』が存在しているように」
そっか。そういう見方もできるよね。
「スルトの言っていた、『自分の身を捧げよ』って、どういうことだろう?」
「多分、こう」
ヤトが、自分の意見を述べる。
――いい女になったから、抱いてやってもいい。自分の子どもを産む権利を、欲しかったら与えてやる。
「よし、スルト殺そう」
わたしの怒りが、頂点に達した。
夢だからこそ、なせる業だろう。
レベッカの眼前にいる魔物は、炎の塊だった。炎が、人の形を取ったというか。
自分が立っている場所は、どこかの岩場みたいだ。しかし、一面星空である。
宇宙空間……というべきか。重力も、軽く感じた。
『久しいな、魔剣【レーヴァテイン・レプリカ ECA 六四七二】』
キャラメ・F・ルージュ以外で、自分をこう呼ぶのは、一人しかいない。
『アンタが、魔王スルトかい?』
『いかにも。余はスルトにして、魔剣【レーヴァテイン】なり。この隕石こそ、魔王スルトそのものである』
スルトの本体は、生きた鉱石だという。
『アンタの目的は、なんだい?』
『レーヴァテインの完成形を作ったものに、魔剣レーヴァテインの真打を打ってもらうこと。この鉱石スルトを、完全なるレーヴァテインとすることだ。それで余は、完全体となる』
スルトはこれまで、二〇〇〇〇を超える魔剣を作ってきた。
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そのうち、形になったものは一〇にも満たないそうだ。
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スルト自らが出向き、ダメなレーヴァテインを作った星を破壊し尽くしたのである。
キャルが持っていた「スルトの伝説を描いた絵本」は、その模様を書き記したものなのだろう。
だとしたら、レーヴァテインは完全に世界を滅ぼす力までは持っていないようだ。
最低限、その星の文明を完全破壊するという感じか。
『六四七二番目のレーヴァテイン……今はレベッカと名乗っているそうだな。お主こそ、余の肉体にふさわしい魔剣となりつつある。余にその身を捧げよ。真打なるレーヴァテインとなるため、余の隕石を受け入れよ』
『冗談。あんたの指図は受けないよ!』
レベッカが、スルトに向かって蹴りを放つ。
しかし炎の塊は、レベッカのキックを受けて、あっさり霧散してしまった。
『友垣と、じっくりと話し合うがよい。だが、余に逆らわぬことが身のためだ。余が堕ちてくるまで、せいぜいあがくがよい……』
そこで、レベッカは目覚める。
*
『てなことがあってよぉ……』
レベッカちゃんが、見た夢の話をわたしにしてくれた。
「スルトはなんて?」
「要約すると、こんな感じですわ。『スルトはこの世界で、第二の太陽になろうとしている』と」
クレアさんが言うと、リンタローが「なるほど」と手を打つ。
「レーヴァテインの正体は、太陽ってわけでヤンスね?」
「はい。自分を中心とした世界を作り出す。いかにも魔王らしい同期ではありませんこと?」
太陽を、人間に作らせるなんて。
「そんなこと、可能なのかな?」
「だからこそ、魔剣打ちというのではありませんこと? リンタローさんのように、『丸い魔剣』が存在しているように」
そっか。そういう見方もできるよね。
「スルトの言っていた、『自分の身を捧げよ』って、どういうことだろう?」
「多分、こう」
ヤトが、自分の意見を述べる。
――いい女になったから、抱いてやってもいい。自分の子どもを産む権利を、欲しかったら与えてやる。
「よし、スルト殺そう」
わたしの怒りが、頂点に達した。
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