ポンコツ錬金術師、魔剣のレプリカを拾って魔改造したら最強に

椎名 富比路

文字の大きさ
上 下
69 / 80
第八章 大魔王スルト襲来! オリジナル対レプリカ!

第69話 魔球の魔剣【TORAHUGU《トラフグ》】

しおりを挟む
「いいの、リンタロー? 手加減できないかもしれないのに」

「全力でどうぞ、キャル殿。足の一本くらい斬られないと、レベッカ殿の実力がわからないでヤンス」

 どこまでも体験主義な、天狗イースト・エルフだ。

「バカな天狗で、ごめんなさい。キャル。こいつは、頭が好奇心でいっぱいで」

「いいよいいよ。ヤト」

 魔剣を試したいのは、こちらも同じである。

「それに、この魔球【TORAHUGUトラフグ】の試し切りもまだでヤンスので」

「その魔剣、【魔球 TORAHUGU】って名前なんだ」
 
「ソレガシが付けたでヤンス。プリンテス師匠は失敗作とおっしゃっていたでヤンスが、使い手がいなかっただけでヤンスね。ソレガシなら、三〇〇%のポテンシャルを……」

 リンタローが、鉄球型魔剣をカカト蹴りで浮かべた。

「出せるでヤンス、よ!」

 見えないケリで、リンタローが魔球を打ち込んでくる。

「うわっと!」

 すかさず、レベッカちゃんで防御した。

 やはり鉄球型の魔剣も、感触が生々しい。

「まだまだ!」

 スピードが落ちきっていない魔球を、リンタローがさらに蹴り込む。

「うおおう!」

「ここからでヤンスよ!」

 リンタローが、身体をのけぞらせながら跳躍した。右手を魔球に叩きつける。

「【アロー・スパイク】!」

 丸かった魔球が、三日月状の刃となって降下してきた。

『なるほど、球状のものを刃に変形させて斬るんだね!』

「ボールと言うより、丸いブーメランだね!」

『アハハ! 言えてるよ! そら!』

 アッパー気味の打ち上げによって、リンタローの魔球を弾き返す。

「あっちゃー……よっと」

 虚空を飛んでいった魔球は、リンタローの手にポスッと収まった。

「すべてをかけた、必殺技だったでヤンスよ。それを、あっさりと打ち返されたでヤンス」

 リンタローが、白旗を上げる。

「これまでの戦闘経験を分析して、かつてのキャル殿には一〇〇%勝てる見込みだったでヤンスが。ホントに強くなったでヤンスよ」

『やるねえ。このアタシ様相手に、勝てると思っていたとはね』

「こう見えてソレガシは、いつだって全力全開なんでヤンスよ。そうでないと、楽しくないでヤンスよ」
 
 リンタローがいうと、ジョークに聞こえないから不思議だ。
 おそらく、本気でカツつもりだったんだろうなあ。

 でも、当時のわたしでリンタローに勝てたかな。
 
「レベッカちゃんの調整に、クレアさんの魔剣。おまけに、自分の防具まで作るわけだから、時間があるかなぁ」

「キャル殿の防具でヤンスが、助っ人を呼んだでヤンスよ」

 リンタローの知り合いだよね。まさか、とは思うけど。
  
 ズシンズシンと、聞き慣れた音が。
 
「おーい」

 魔王の城を思わせる移動要塞型ゴーレムが、ノッシノッシとダクフィの街に現れた。

 操るのはもちろん、獣人族の巨乳お姉さんである。
 
「フワルーさん!」

「先輩! シューくんも!」
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。 平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか…… ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

処理中です...