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第七章 青い炎のドラゴン! レベッカ究極進化
第67話 第七章 完 最終決戦準備
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「ただいまー」
わたしは、ダクフィの街に帰ってきた。
「おかえりでヤンス」
「あなたたちが強くなっている間、こちらも変化があった」
ヤトとリンタローは、プリンテス氏の元で、修行をしていたらしい。
「まずはリンタローだけど、球体状の魔剣があったでしょ?」
「あったね」
「あれを使いこなせるようになった」
「あれって、ちゃんと魔剣として機能するの!?」
「使い方が、リンタロー向けだったみたい」
見ればわかるということで、リンタローの実力を見せてもらうことに。
外に出て、リンタローは、球体状の魔剣を蹴鞠のようにポンポンと足で打ち上げる。時々頭や肩に乗せて、またポンポンと打ち上げた。
「いい感じね。リンちゃん」
プリンテス氏が、リンタローをそう呼ぶ。結構、打ち解けたみたいだな。
「ソレガシの場合、魔剣使いというより【魔拳使い】でヤンスから」
「じゃあリンちゃん。この魔剣の使い方を、あの子たちに見せてやりなさい」
「でヤンス。シュッ!」
岩状のカカシに向かって、リンタローが魔剣を蹴り上げる。
カカシが、粉々に砕けた。またすぐに、もとに戻る。
「ヤトの方も、いい感じになったのよね」
「でヤンス。シュ!」
なんとリンタローが、ヤトに向けてボールを蹴り放つ。
ヤトはまったく驚きもせず、自身の妖刀で撃ち落とした。
魔剣を跳ね返される度に、リンタローが強く打ち返す。
「耐久値が、めちゃ上がってる?」
「妖刀の練度が上がって、重い攻撃にも耐えられるようになった」
氷魔法には、限界がある。あれ以上は、強くならないと思っていたが。
『水氷で攻撃を滑らせて、ダメージを散らしているのかね?』
「さすが、魔剣レーヴァテインね。御名答よ」
レベッカちゃんの推理に、プリンテス氏が拍手を送る。
ヤトの妖刀【怪滅竿】の釣り糸には、水氷という「曲がる氷」が用いられている。ヤトの魔力で作り上げた水氷は、わずかに水を帯びているため、攻撃を逸らすのに適していた。
それでも、強度は上がっている。あそこまで重い一発を、真正面から受けても砕けないなんて。
「こちらでの修行で、二人の戦闘術も高まっているってわけだね」
「死ぬほどのスパーリングだった、でヤンス」
ボール型魔剣を手に掴んで、リンタローがガックリとうなだれる。
「あのまま、死ぬかと思った」
「それくらいやらないと、スルトとの戦いには耐えられないでヤンスよ」
二人も、事情は把握しているみたいだ。
「冥界竜から、事情は聞いていたわ。あんたたちのような冒険者が来たら、自分の元に誘えと」
プリンテス氏は始めから、なにもかも準備できていたみたいである。
「でも、キャルちゃん。あんたに対して、あたしは手を出さないわ。自分のできる範囲でやってみなさい。お友だち用の魔剣の作り方は、ゼゼリィに習うといいわ。あたしはクレアちゃんと、あんた用の装備を作っておくわね」
「わかりました。ありがとうございます」
「いいって。でも、魔剣の整備は大変よ。下手をすると、魔剣に斬り捨てられてしまう。それだけ、魔剣を作るのは危険なの」
「望むところです」
こんなところで、怖気づいていられるか。
いよいよクレアさんのために、ちゃんとした魔剣を用意できる。
(第七章 完)
わたしは、ダクフィの街に帰ってきた。
「おかえりでヤンス」
「あなたたちが強くなっている間、こちらも変化があった」
ヤトとリンタローは、プリンテス氏の元で、修行をしていたらしい。
「まずはリンタローだけど、球体状の魔剣があったでしょ?」
「あったね」
「あれを使いこなせるようになった」
「あれって、ちゃんと魔剣として機能するの!?」
「使い方が、リンタロー向けだったみたい」
見ればわかるということで、リンタローの実力を見せてもらうことに。
外に出て、リンタローは、球体状の魔剣を蹴鞠のようにポンポンと足で打ち上げる。時々頭や肩に乗せて、またポンポンと打ち上げた。
「いい感じね。リンちゃん」
プリンテス氏が、リンタローをそう呼ぶ。結構、打ち解けたみたいだな。
「ソレガシの場合、魔剣使いというより【魔拳使い】でヤンスから」
「じゃあリンちゃん。この魔剣の使い方を、あの子たちに見せてやりなさい」
「でヤンス。シュッ!」
岩状のカカシに向かって、リンタローが魔剣を蹴り上げる。
カカシが、粉々に砕けた。またすぐに、もとに戻る。
「ヤトの方も、いい感じになったのよね」
「でヤンス。シュ!」
なんとリンタローが、ヤトに向けてボールを蹴り放つ。
ヤトはまったく驚きもせず、自身の妖刀で撃ち落とした。
魔剣を跳ね返される度に、リンタローが強く打ち返す。
「耐久値が、めちゃ上がってる?」
「妖刀の練度が上がって、重い攻撃にも耐えられるようになった」
氷魔法には、限界がある。あれ以上は、強くならないと思っていたが。
『水氷で攻撃を滑らせて、ダメージを散らしているのかね?』
「さすが、魔剣レーヴァテインね。御名答よ」
レベッカちゃんの推理に、プリンテス氏が拍手を送る。
ヤトの妖刀【怪滅竿】の釣り糸には、水氷という「曲がる氷」が用いられている。ヤトの魔力で作り上げた水氷は、わずかに水を帯びているため、攻撃を逸らすのに適していた。
それでも、強度は上がっている。あそこまで重い一発を、真正面から受けても砕けないなんて。
「こちらでの修行で、二人の戦闘術も高まっているってわけだね」
「死ぬほどのスパーリングだった、でヤンス」
ボール型魔剣を手に掴んで、リンタローがガックリとうなだれる。
「あのまま、死ぬかと思った」
「それくらいやらないと、スルトとの戦いには耐えられないでヤンスよ」
二人も、事情は把握しているみたいだ。
「冥界竜から、事情は聞いていたわ。あんたたちのような冒険者が来たら、自分の元に誘えと」
プリンテス氏は始めから、なにもかも準備できていたみたいである。
「でも、キャルちゃん。あんたに対して、あたしは手を出さないわ。自分のできる範囲でやってみなさい。お友だち用の魔剣の作り方は、ゼゼリィに習うといいわ。あたしはクレアちゃんと、あんた用の装備を作っておくわね」
「わかりました。ありがとうございます」
「いいって。でも、魔剣の整備は大変よ。下手をすると、魔剣に斬り捨てられてしまう。それだけ、魔剣を作るのは危険なの」
「望むところです」
こんなところで、怖気づいていられるか。
いよいよクレアさんのために、ちゃんとした魔剣を用意できる。
(第七章 完)
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