62 / 80
第七章 青い炎のドラゴン! レベッカ究極進化
第62話 冥界竜 アラレイム
しおりを挟む
『見えるぞ。岩越しからでも、スルトの残滓が。魔剣の使い手よ、我が元にまいれ』
やはり、岩戸の向こうから声がする。
ズズズ、とひとりでに岩が横へゆっくりとスライドした。
「入っていいみたいだね、クレアさん」
「歓迎されているのかはわからないですが、参りましょう。キャルさん。ゼゼリィさんは、ワタクシたちの後ろに下がっていらして」
わたしとクリスさんで、ゼゼリィを守りながら進む。
青い炎をまとったドラゴンが、ふううと息を吐きながらこちらを見ている。
大きい。なにより、スケールがデカかった。本来はそこまでの大きさではないのだろう。しかし、大きいと思わせるオーラをまとっていた。
巨大化の幻を、見せられている。
青い炎の影響か? いや……。
「まさか、炎の方が、本体?」
発言したのは、ゼゼリィである。
わたしたち全員が、同じ答えにたどり着くとは。
さっきまで退屈そうにしていたドラゴンが、クククとノドをふるわせた。
『我の正体に気づくとは! あっぱれなり!』
やはり、ドラゴンの周りを取り囲む青い炎のほうが、冥界竜の正体だったようだ。
ドラゴンの体中を這い回っていた炎が、ドラゴンから離れていく。
『この肉体は、我がこの地にとどまれるようにするための依代なり。本体は、お主の想像通り炎よ』
ドラゴンの目から、生気が抜けていった。
青い炎が、ドラゴンの形を取る。
『俺の名はアラレイム。もう威厳ぶった話し方は、しなくてもいいよな』
アラレイムが、急に砕けた話し方になった。
『はーあ。ようやく、俺に見合う才能の持ち主に出会ったな』
「ガイコツのお友達が、いますから」
わたしは、フルーレンツさんを召喚する。
『いいねえ。コーラッセン出身の者と、ゾンビながら出会えるとはね。懐かしいぜ』
アラレイムが、愉快そうに笑う。
『俺の正体に気づけたのは、昔だったらコーラッセンの奴らくらいだろうな。あいつらにも道具を貸してやったっけな。返ってきてないってことは、滅びたんだろうなって思っていたけど』
少しさみしそうに、アラレイムが天井を見上げた。
「あの、魔剣の道具を取ってこいって言われてきたんですが」
『いいぜ。好きなだけ持っていけ』
ドドド、と、魔剣のために使う道具が大量にドラゴンの口から吐き出される。
「ありがとう、ございます」
『ただ、俺に勝てたらの話だがな』
やはり、こういう展開になるよね?
『やっぱりな。久々に暴れてえんだよ。この辺りのモンスターじゃ、張り合いがなくってな。かといって、持ち場を離れるわけにもいかん』
「なにをなさってるので?」
『スルトがこの地に現れるかどうか、見張ってるんだよ』
アラレイムがいうには、魔剣レーヴァテインの主であるスルトが、もうすぐこの地に現れるのでは、とのことだ。
『なにやら不穏な流れがあちこちで起きているらしいが、それはそっちの魔剣のせいじゃねえ。スルトが目覚める兆候なんだよなぁ』
うんざりしたような声で、アラレイムがつぶやく。
『かといって、じゃあよろしくお願いしますって工具だけ渡しても、扱えるかどうかわからん。テメエらの力量を見極めて、魔剣の真なる力を引き出せるかどうか試させてもらわねえとよ』
『とかいって、実際は暴れたいだけなんだろうね』
レベッカちゃんが、横槍を入れた。
『よくわかってんじゃねえか。お嬢ちゃんよぉ』
アラレイムは、レベッカちゃんをお嬢ちゃん呼ばわりする。
レベッカちゃんが、青筋を立てているのが、背中から伝わってきた。
『ケンカしたいなら、相手になってやろうじゃないか!』
『吠えるなよ。美人が台無しだぜ、お嬢ちゃん』
『ぶっ飛ばしてやんよ。そんでもって、アンタもアタシ様の一部になりな!』
わたしの意見も聞かず、レベッカちゃんがわたしの身体を乗っ取る。
魔剣を抜き、戦闘態勢に。
やはり、岩戸の向こうから声がする。
ズズズ、とひとりでに岩が横へゆっくりとスライドした。
「入っていいみたいだね、クレアさん」
「歓迎されているのかはわからないですが、参りましょう。キャルさん。ゼゼリィさんは、ワタクシたちの後ろに下がっていらして」
わたしとクリスさんで、ゼゼリィを守りながら進む。
青い炎をまとったドラゴンが、ふううと息を吐きながらこちらを見ている。
大きい。なにより、スケールがデカかった。本来はそこまでの大きさではないのだろう。しかし、大きいと思わせるオーラをまとっていた。
巨大化の幻を、見せられている。
青い炎の影響か? いや……。
「まさか、炎の方が、本体?」
発言したのは、ゼゼリィである。
わたしたち全員が、同じ答えにたどり着くとは。
さっきまで退屈そうにしていたドラゴンが、クククとノドをふるわせた。
『我の正体に気づくとは! あっぱれなり!』
やはり、ドラゴンの周りを取り囲む青い炎のほうが、冥界竜の正体だったようだ。
ドラゴンの体中を這い回っていた炎が、ドラゴンから離れていく。
『この肉体は、我がこの地にとどまれるようにするための依代なり。本体は、お主の想像通り炎よ』
ドラゴンの目から、生気が抜けていった。
青い炎が、ドラゴンの形を取る。
『俺の名はアラレイム。もう威厳ぶった話し方は、しなくてもいいよな』
アラレイムが、急に砕けた話し方になった。
『はーあ。ようやく、俺に見合う才能の持ち主に出会ったな』
「ガイコツのお友達が、いますから」
わたしは、フルーレンツさんを召喚する。
『いいねえ。コーラッセン出身の者と、ゾンビながら出会えるとはね。懐かしいぜ』
アラレイムが、愉快そうに笑う。
『俺の正体に気づけたのは、昔だったらコーラッセンの奴らくらいだろうな。あいつらにも道具を貸してやったっけな。返ってきてないってことは、滅びたんだろうなって思っていたけど』
少しさみしそうに、アラレイムが天井を見上げた。
「あの、魔剣の道具を取ってこいって言われてきたんですが」
『いいぜ。好きなだけ持っていけ』
ドドド、と、魔剣のために使う道具が大量にドラゴンの口から吐き出される。
「ありがとう、ございます」
『ただ、俺に勝てたらの話だがな』
やはり、こういう展開になるよね?
『やっぱりな。久々に暴れてえんだよ。この辺りのモンスターじゃ、張り合いがなくってな。かといって、持ち場を離れるわけにもいかん』
「なにをなさってるので?」
『スルトがこの地に現れるかどうか、見張ってるんだよ』
アラレイムがいうには、魔剣レーヴァテインの主であるスルトが、もうすぐこの地に現れるのでは、とのことだ。
『なにやら不穏な流れがあちこちで起きているらしいが、それはそっちの魔剣のせいじゃねえ。スルトが目覚める兆候なんだよなぁ』
うんざりしたような声で、アラレイムがつぶやく。
『かといって、じゃあよろしくお願いしますって工具だけ渡しても、扱えるかどうかわからん。テメエらの力量を見極めて、魔剣の真なる力を引き出せるかどうか試させてもらわねえとよ』
『とかいって、実際は暴れたいだけなんだろうね』
レベッカちゃんが、横槍を入れた。
『よくわかってんじゃねえか。お嬢ちゃんよぉ』
アラレイムは、レベッカちゃんをお嬢ちゃん呼ばわりする。
レベッカちゃんが、青筋を立てているのが、背中から伝わってきた。
『ケンカしたいなら、相手になってやろうじゃないか!』
『吠えるなよ。美人が台無しだぜ、お嬢ちゃん』
『ぶっ飛ばしてやんよ。そんでもって、アンタもアタシ様の一部になりな!』
わたしの意見も聞かず、レベッカちゃんがわたしの身体を乗っ取る。
魔剣を抜き、戦闘態勢に。
61
お気に入りに追加
427
あなたにおすすめの小説

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした
高鉢 健太
ファンタジー
ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。
ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。
もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。
とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います
しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる