ポンコツ錬金術師、魔剣のレプリカを拾って魔改造したら最強に

椎名 富比路

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第七章 青い炎のドラゴン! レベッカ究極進化

第58話 サイクロプス プリンちゃんからの課題

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「キャルちゃん、アンタには、レーヴァテイン……レベッカの素材を取ってきてもらう」

「はい」

「いい? 気を落とさないでちょうだいね。キャルちゃん。たしかにレベッカは、半分魔物みたいなもの。だけど、剣としてこの子を扱えるのは、あなただけなのよ。他の人が触ったら、たちまちモンスター化するでしょうね」

 レベッカちゃんが化け物の姿を取るのは、一種の防衛反応らしい。ムリをして奪い取ろうとすると、ああいう姿になるという。

「ただ、レベッカを扱えるってだけだから。レベッカが手加減しているのは、本当なのよ。素材がある程度集まって錬成すれば、放出できる魔力も増大するから」

「はい」

「じゃあ、素材のリストはゼゼリィに渡しておくわ。彼女が、道案内をしてくれる」

  プリンテスさんが、素材リストをゼゼリィに渡した。

 わたしも、見せてもらう。

 冒頭には、『プリンちゃんメモ』と書かれていた。
 プリンちゃんって……。
 
『冥界竜アラレイム遺跡の魔工具』
『邪竜カトブレパスの瞳』
『低級ドラゴンゾンビの骨一式』

 どれも、ドラゴン関連の素材ばかりだ。 

「カトブレパスは、近くの森に住んでいるわ。岩場に隠れているから、すぐにわかるわよ」

 遺跡へ向かう道程で、ドラゴンゾンビがいるらしい。

「アラレイム遺跡が、一番最後よ。冥界の流って書いてあるけど、ゾンビの上位版って思ってくれたらいいわ。本当に冥界へ続いているわけじゃないから」

「わかりました」

「頼んだわよ」

 ウキウキで語るプリンテスさんとは対照的に、ゼゼリィは怯えていた。
 
「どうしたの? ドラゴンが怖いのね?」

「だって、あの山はドラゴンの巣窟じゃないですか、親方!」

「だからいいんじゃないの。低級のドラゴンくらい倒せないで、魔剣の鍛冶師は名乗れないって、以前から言っているじゃないの」

「でも、オイラは戦闘が苦手で」

 あのデカい身体をして、戦闘が得意ではないと?
 ただ腕を振り回しているだけで、敵が昏倒しそうなんだが?

「じゃあ、それがレベッカの素材だから。よろしくね」

「はい」

 だが、リンタローたちは立とうとしない。

「ソレガシたちは、お先に魔剣を作ってもらうでヤンス」

「魔剣ができるまでの過程、しっかりと見せてもらう」
 
  ヤトとリンタローは、この場に残るという。
 
「この妖刀は、実験にちょうどいいわ。ワタシも、異国の剣には興味があったから。キャルちゃん。戻ったら、ワタシが直接指導してあげるわ。素材を集めて、待っててね」

「ありがとうございます。行ってきます」

 わたしたちは、遺跡に向けて移動を開始する。


 山道へ続く森を、クレアさんとゼゼリィといっしょに向かう。

 モンスターも、そこまで強くはない。

「でもさ、いいのかな? だってゼゼリィが弟子なわけじゃん。一番弟子を差し置いて、わたしが指導を受けるなんて」

「オイラはいつでも、指導を受けられる。でもキャルは、短期間でマスターする必要があるからね」

 旅人であるわたしたちは、そこまで魔剣の指導を受けられない。

「キャルなら立派な魔剣錬成師になれ……ぎゃあああ!」

 森に入ると、突然ゼゼリィがビビり声を上げた。

「どうしたの!?」

「モンスター!」

 トカゲ型のモンスターが、舌を出しながらこちらに向かってくる。

「レベッカちゃん!」

『任せな! ファイアスラッシュ』

 炎を圧縮した剣戟で、トカゲモンスターを両断した。
 トカゲの硬い皮膚だろうと、レベッカちゃんの炎で軽く切断できる。

「よくあんなに動けるね。人間でも、あそこまでドラゴン相手に戦えないよ」

 あれって、ドラゴンだったのか。

「今のは【ドラゴンパピー】だよ。あれでも、普通の冒険者なら集団でないとまともに戦闘できないんだから」

 足がすくんだ状態で、ゼゼリィがビビり倒す。

 仔犬パピーサイズのドラゴンって意味だから、特に恐れることはない。

「あなたたちが、いかに強いモンスターと戦ってきたのかわかるよ」
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