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マシマシは、罪の呪文
カップリング論争は、犬も食わない
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やたら大声で、女性二人組が言い争っています。書籍の内容を巡って、対立しているようですが。
「あの二人は、なんの話をしているのです?」
「なんでしょう……うわ」
相手の席に向かったウル王女が、秒でこちらに戻ってきました。
どうもあの二人、コンセプトカフェのキャラクターの二次創作をしている模様です。しかも、いかがわしい内容で。
「ドランというマッチョマンの竜人族と、ケンノジョーというサムライが、禁断の恋に落ちるという展開でしたわ」
もちろん元の小説には、そんな展開など微塵も起きません。
「あたしはドラ✕ケンがいいのよ! なにがケン✕ドラよ! マッチョのドランが受けなんて、どうかしているわ!」
ショートヘアの女性は、マッチョなドランがモヤシなケンのジョーを攻め立てる展開がお好きなようです。
「ヘタレなマッチョをモヤシなケンノジョーが包み込む展開が、いいんじゃないの! 意見が一致しないわね! 掛け算は命より重いのよ!」
対するセミロングの女性は、ケンノジョーはモヤシであるからこそ、攻める方がいいと主張しました。
どっちでもいいですね。
「あなたの理論だと、ハッテンになっちゃうわ。ヤオイとハッテンは、需要が違うのよ!」
「そんなあなたこそ、もっとマッチョに寛容になるべきだわ!」
なんかムダに、会話がヒートアップしてきました。ここまでくると、人格否定に近いです。
これは、力で制圧したほうがいいでしょう。
「コホン。コンセプトカフェのキャラで大いに盛り上がることは、結構です。が、ここは公共の場。少々わきまえていただけますか?」
わたしが指摘をすると、二人は立ち上がります。
「なんなの、この方は!?」
「乱入なさるなんて、とんでもない方ですわ!」
「引っ込んでらして」
セミロング女子が、わたしを突き飛ばそうとしました。
「ホワタ!」
わたしは相手の親指あたりを、爪で押してあげます。さすがに殴り飛ばすわけには、参りません。
「いたたた! 痛いわ離して!」
あっという間に、女性は無力化します。
「なにをなさ……あいたたた!」
ショートの女性も、わたしの髪をつかもうとしてきました。
こちらも、ただの握力で無力化させてあげましょう。
「そんな『誰が同性愛だ』『誰がズラだ』『誰が極道だ』なんてお下品な会話は、犬も食いません。そういう論争は、家でひっそりとなさってください」
「わかったわ! わかりました! 行きますわよ!」
二人は代金を置いて、出ていきました。
まったく。口直しと行きましょう。
「ありがとうございました、シスタークリスさん。こちらはお礼の、【小さき存在こそが全てだ】ですわ」
六〇個のベビーカステラを、ウル王女からいただきました。
「あの二人は、なんの話をしているのです?」
「なんでしょう……うわ」
相手の席に向かったウル王女が、秒でこちらに戻ってきました。
どうもあの二人、コンセプトカフェのキャラクターの二次創作をしている模様です。しかも、いかがわしい内容で。
「ドランというマッチョマンの竜人族と、ケンノジョーというサムライが、禁断の恋に落ちるという展開でしたわ」
もちろん元の小説には、そんな展開など微塵も起きません。
「あたしはドラ✕ケンがいいのよ! なにがケン✕ドラよ! マッチョのドランが受けなんて、どうかしているわ!」
ショートヘアの女性は、マッチョなドランがモヤシなケンのジョーを攻め立てる展開がお好きなようです。
「ヘタレなマッチョをモヤシなケンノジョーが包み込む展開が、いいんじゃないの! 意見が一致しないわね! 掛け算は命より重いのよ!」
対するセミロングの女性は、ケンノジョーはモヤシであるからこそ、攻める方がいいと主張しました。
どっちでもいいですね。
「あなたの理論だと、ハッテンになっちゃうわ。ヤオイとハッテンは、需要が違うのよ!」
「そんなあなたこそ、もっとマッチョに寛容になるべきだわ!」
なんかムダに、会話がヒートアップしてきました。ここまでくると、人格否定に近いです。
これは、力で制圧したほうがいいでしょう。
「コホン。コンセプトカフェのキャラで大いに盛り上がることは、結構です。が、ここは公共の場。少々わきまえていただけますか?」
わたしが指摘をすると、二人は立ち上がります。
「なんなの、この方は!?」
「乱入なさるなんて、とんでもない方ですわ!」
「引っ込んでらして」
セミロング女子が、わたしを突き飛ばそうとしました。
「ホワタ!」
わたしは相手の親指あたりを、爪で押してあげます。さすがに殴り飛ばすわけには、参りません。
「いたたた! 痛いわ離して!」
あっという間に、女性は無力化します。
「なにをなさ……あいたたた!」
ショートの女性も、わたしの髪をつかもうとしてきました。
こちらも、ただの握力で無力化させてあげましょう。
「そんな『誰が同性愛だ』『誰がズラだ』『誰が極道だ』なんてお下品な会話は、犬も食いません。そういう論争は、家でひっそりとなさってください」
「わかったわ! わかりました! 行きますわよ!」
二人は代金を置いて、出ていきました。
まったく。口直しと行きましょう。
「ありがとうございました、シスタークリスさん。こちらはお礼の、【小さき存在こそが全てだ】ですわ」
六〇個のベビーカステラを、ウル王女からいただきました。
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