246 / 286
秋編 ネクロマンサーと、罪なハロウィン
死の代表 対 生の代表
しおりを挟む
扉の向こうには、巨大なガイコツがいました。エントランスを埋め尽くすほどの、大きなスケルトンですね。スケルトンと言うには、あまりにも大きすぎます。モンスターや巨人の死体というわけでは、なさそうですが。
「ありゃあ、【ガシャドクロ】だ! アンデッドの中でも大物だぜ! 注意しなクリス!」
ソナエさんが、前に出てきました。
「大丈夫です。ここはわたしが。王女とソナエさんは万が一のために、人々を安全な場所へ」
「お一人で、相手になさるおつもりですか?」
「ええ。十分すぎます」
片腕でもいいかもしれません。
「そんな減らず口をたたけなくしてあげるわ!」
片手の上に乗りながら、ネクロマンサーさんがスケルトンに指示を送ります。
「裏拳で薙ぎ払って!」
「ガアー」
エントランスの踊り場に少女を投げ、ガイコツが裏拳を放ってきました。
「ホワタ!」
ドロップキックで、弾き返します。
「なんですって!? アイアンゴーレムさえも粉砕するガシャドクロの拳を、生身で受け止めるなんて!」
ネクロマンサーさんが、驚愕しました。
「アイアンゴーレムなんかと同格と、思わないでください」
「くっ! 冷たい息よ! 凍らせなさい!」
まだ、ネクロマンサーさんはあきらめません。
ガシャドクロが、大きく口を開けました。死を吹雪に変えたような、冷たいブレスを吐き出します。
「ホオオオオワタァ!」
わたしは腕を、風車のように回します。わたしにだって、炎属性の魔法くらい使えます。手のひらに炎魔法を展開し、腕を高速で振り回すことでブレスを拡散します。
「矢でも鉄砲でも、ブリザードでも持ってらっしゃいな」
「そんな! ガシャドクロの攻撃が効かないなんて!?」
こっちは、太古の邪神とも戦ったことがあるのです。ちょっと大きめのスケルトンくらい、造作もありません。極秘事項なので、いいませんけどね。
「あきらめてくださいな。こちらは人々を驚かせるのを止めたいだけです。おとなしく退去なさってくれたら、なにもしません」
「イヤよ! ここはあたしの家なの! 壊させないわ!」
なるほど。
「ではあなたが、例の時計で稼いでいた貴族様の」
「そうよ! あたしはジターニャ・ヤムキン。ヤムキン家の血を引く者よ。ネクロマンサーの力も、ヤムキン家のものだったんだから!」
「一家離散したのでは?」
「ヤムキン家は破産したけど、血筋は続いていたのよ! あとは家を買い戻すだけだったのに!」
厄介なことになりましたね。
取り壊し予定の家に、所有権を主張する人が現れました。
コレばかりは、力業で解決というわけにはいきません。
「ありゃあ、【ガシャドクロ】だ! アンデッドの中でも大物だぜ! 注意しなクリス!」
ソナエさんが、前に出てきました。
「大丈夫です。ここはわたしが。王女とソナエさんは万が一のために、人々を安全な場所へ」
「お一人で、相手になさるおつもりですか?」
「ええ。十分すぎます」
片腕でもいいかもしれません。
「そんな減らず口をたたけなくしてあげるわ!」
片手の上に乗りながら、ネクロマンサーさんがスケルトンに指示を送ります。
「裏拳で薙ぎ払って!」
「ガアー」
エントランスの踊り場に少女を投げ、ガイコツが裏拳を放ってきました。
「ホワタ!」
ドロップキックで、弾き返します。
「なんですって!? アイアンゴーレムさえも粉砕するガシャドクロの拳を、生身で受け止めるなんて!」
ネクロマンサーさんが、驚愕しました。
「アイアンゴーレムなんかと同格と、思わないでください」
「くっ! 冷たい息よ! 凍らせなさい!」
まだ、ネクロマンサーさんはあきらめません。
ガシャドクロが、大きく口を開けました。死を吹雪に変えたような、冷たいブレスを吐き出します。
「ホオオオオワタァ!」
わたしは腕を、風車のように回します。わたしにだって、炎属性の魔法くらい使えます。手のひらに炎魔法を展開し、腕を高速で振り回すことでブレスを拡散します。
「矢でも鉄砲でも、ブリザードでも持ってらっしゃいな」
「そんな! ガシャドクロの攻撃が効かないなんて!?」
こっちは、太古の邪神とも戦ったことがあるのです。ちょっと大きめのスケルトンくらい、造作もありません。極秘事項なので、いいませんけどね。
「あきらめてくださいな。こちらは人々を驚かせるのを止めたいだけです。おとなしく退去なさってくれたら、なにもしません」
「イヤよ! ここはあたしの家なの! 壊させないわ!」
なるほど。
「ではあなたが、例の時計で稼いでいた貴族様の」
「そうよ! あたしはジターニャ・ヤムキン。ヤムキン家の血を引く者よ。ネクロマンサーの力も、ヤムキン家のものだったんだから!」
「一家離散したのでは?」
「ヤムキン家は破産したけど、血筋は続いていたのよ! あとは家を買い戻すだけだったのに!」
厄介なことになりましたね。
取り壊し予定の家に、所有権を主張する人が現れました。
コレばかりは、力業で解決というわけにはいきません。
0
お気に入りに追加
39
あなたにおすすめの小説

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!
七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?

前世を思い出しました。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。
棚から現ナマ
恋愛
前世を思い出したフィオナは、今までの自分の所業に、恥ずかしすぎて身もだえてしまう。自分は痛い女だったのだ。いままでの黒歴史から目を背けたい。黒歴史を思い出したくない。黒歴史関係の人々と接触したくない。
これからは、まっとうに地味に生きていきたいの。
それなのに、王子様や公爵令嬢、王子の側近と今まで迷惑をかけてきた人たちが向こうからやって来る。何でぇ?ほっといて下さい。お願いします。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。

貴方のために
豆狸
ファンタジー
悔やんでいても仕方がありません。新米商人に失敗はつきものです。
後はどれだけ損をせずに、不良債権を切り捨てられるかなのです。
※子どもに関するセンシティブな内容があります。

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判
七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。
「では開廷いたします」
家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。

[完結長編連載]蔑ろにされた王妃様〜25歳の王妃は王と決別し、幸せになる〜
コマメコノカ・更新報告はXにて。
恋愛
王妃として国のトップに君臨している元侯爵令嬢であるユーミア王妃(25)は夫で王であるバルコニー王(25)が、愛人のミセス(21)に入り浸り、王としての仕事を放置し遊んでいることに辟易していた。
そして、ある日ユーミアは、彼と決別することを決意する。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる