242 / 281
秋編 ネクロマンサーと、罪なハロウィン
魔王ウルリーカ再び
しおりを挟む
「ハッピーハロウィンですわ!」
またやってきましたね、ウル王女が。
「はいはい。どうぞどうぞ」
ごきげんな魔王に、わたしは教会で配っているクッキーを差し出しました。
「ありがとうございますわ、シスター・クリス。もぐもぐ……」
ウル王女が、いちごジャムを乗せたクッキーを口へ運びます。すぐに表情が、明るくなりました。
「相変わらず、フレンのクッキーは麗しいですわね。隠し味にお酒が利いていますわ」
ちなみに、フレンはエマとともに、街にお菓子を配りに行っています。
「すっかり、魔王ウルリーカが板についていますね」
「こなれているとか、それは褒めていますの?」
「まあまあ」
わたしは去年と同じく、魔王ウル王女に黒いコートを着せました。
「これですわ。これ。この密着感がすばらしいのですわ」
そうそう、とウル王女が脇へどきます。
「今日は、ゲストもいますのよ。どうぞ」
「邪魔するよ」
三角巾を頭に結んだ白装束のモンスターが、教会に入ってきました。
本格的な仮装に、教会にいた子どもたちがびっくりしています。
「ソナエさん、驚かさないでください。子どもたちが怯えています」
「あたしはタッパがあるからな。迫力が違うんだろう」
ソナエさんにも、クッキーをあげました。
「厄払イな、このクッキー。あたしの故郷には、こんなサクサクで甘いせんべいはないからな」
「そのカッコウも、東洋のモンスターですか?」
「ああ。こっちでいうゴーストだな」
西洋の魔王が、東洋の幽霊を引き連れています。もはや、なんでもアリですね。
「で、シスター・クリス、なぜ我々がここに来たか、もうおわかりですわね?」
「ええ。いつものデビルクリスになれとおっしゃるのでしょう?」
「それもあるのですが、今回はちょっとワケアリなのです」
ウル王女が、ちょっとマジメな顔になりました。
「先に着替えましょうか。お話は、それからということで」
「はいはい」
わたしは、修道服を上に持ち上げます。
「ちょちょっと、クリス! 子供の前で着替えとか!」
「大丈夫です、ソナエさん。下にもう一枚、服を着ていますから」
呼ばれるとわかっていたので、準備完了なのでした。
「これがデビルクリスか」
わたしの衣装は、ミニスカートの修道服です。
インナーの上は、黒い網タイツにしてみました。防寒の魔法もバッチリですよ。
「お腹が空きましたね。では、お菓子をもらいに街へ参りましょう」
「その前に、事情を話しておきますわ」
「……?」
「我々はこれより、本物のお化け退治に向かうのです」
またやってきましたね、ウル王女が。
「はいはい。どうぞどうぞ」
ごきげんな魔王に、わたしは教会で配っているクッキーを差し出しました。
「ありがとうございますわ、シスター・クリス。もぐもぐ……」
ウル王女が、いちごジャムを乗せたクッキーを口へ運びます。すぐに表情が、明るくなりました。
「相変わらず、フレンのクッキーは麗しいですわね。隠し味にお酒が利いていますわ」
ちなみに、フレンはエマとともに、街にお菓子を配りに行っています。
「すっかり、魔王ウルリーカが板についていますね」
「こなれているとか、それは褒めていますの?」
「まあまあ」
わたしは去年と同じく、魔王ウル王女に黒いコートを着せました。
「これですわ。これ。この密着感がすばらしいのですわ」
そうそう、とウル王女が脇へどきます。
「今日は、ゲストもいますのよ。どうぞ」
「邪魔するよ」
三角巾を頭に結んだ白装束のモンスターが、教会に入ってきました。
本格的な仮装に、教会にいた子どもたちがびっくりしています。
「ソナエさん、驚かさないでください。子どもたちが怯えています」
「あたしはタッパがあるからな。迫力が違うんだろう」
ソナエさんにも、クッキーをあげました。
「厄払イな、このクッキー。あたしの故郷には、こんなサクサクで甘いせんべいはないからな」
「そのカッコウも、東洋のモンスターですか?」
「ああ。こっちでいうゴーストだな」
西洋の魔王が、東洋の幽霊を引き連れています。もはや、なんでもアリですね。
「で、シスター・クリス、なぜ我々がここに来たか、もうおわかりですわね?」
「ええ。いつものデビルクリスになれとおっしゃるのでしょう?」
「それもあるのですが、今回はちょっとワケアリなのです」
ウル王女が、ちょっとマジメな顔になりました。
「先に着替えましょうか。お話は、それからということで」
「はいはい」
わたしは、修道服を上に持ち上げます。
「ちょちょっと、クリス! 子供の前で着替えとか!」
「大丈夫です、ソナエさん。下にもう一枚、服を着ていますから」
呼ばれるとわかっていたので、準備完了なのでした。
「これがデビルクリスか」
わたしの衣装は、ミニスカートの修道服です。
インナーの上は、黒い網タイツにしてみました。防寒の魔法もバッチリですよ。
「お腹が空きましたね。では、お菓子をもらいに街へ参りましょう」
「その前に、事情を話しておきますわ」
「……?」
「我々はこれより、本物のお化け退治に向かうのです」
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
はぁ?とりあえず寝てていい?
夕凪
ファンタジー
嫌いな両親と同級生から逃げて、アメリカ留学をした帰り道。帰国中の飛行機が事故を起こし、日本の女子高生だった私は墜落死した。特に未練もなかったが、強いて言えば、大好きなもふもふと一緒に暮らしたかった。しかし何故か、剣と魔法の異世界で、貴族の子として転生していた。しかも男の子で。今世の両親はとてもやさしくいい人たちで、さらには前世にはいなかった兄弟がいた。せっかくだから思いっきり、もふもふと戯れたい!惰眠を貪りたい!のんびり自由に生きたい!そう思っていたが、5歳の時に行われる判定の儀という、魔法属性を調べた日を境に、幸せな日常が崩れ去っていった・・・。その後、名を変え別の人物として、相棒のもふもふと共に旅に出る。相棒のもふもふであるズィーリオスの為の旅が、次第に自分自身の未来に深く関わっていき、仲間と共に逃れられない運命の荒波に飲み込まれていく。
※第二章は全体的に説明回が多いです。
<<<小説家になろうにて先行投稿しています>>>
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる