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第四部 シスタークリスと夏    流しそうめんは罪の味

【悲報】そうめんが流れない

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 竹を組み立て終えて、お水を流す手順になりました。これで水と一緒に、そうめんも一緒に流すそうですね。

 まずは。井戸から汲み上げた水だけを流しました。

 水が、竹の筒を伝っていきます。

「ふわああ」
 サジーナさんが、拍手しました。

「うん。順調だな」
「ですね」

 ひと仕事終えて、わたしも水着になります。冷たい井戸水もかぶらせてもらいましょうかね。

「ホワ!」

 桶で汲んだ水を、頭から被ります。ああ、気持ちいいですね。

 ソナエさんも、ビキニになっています。白地に赤いラインという、大胆なヒモビキニですよ。バツグンのプロポーションも相まって、刺激的ですね。

「ほんじゃ、そうめん流すぞ」

 そうめんの入ったザルを抱えて、ソナエさんが合図をしました。

 サジーナさんを先頭に、ハシオさん、わたしの順で待機します。

「お願いします」
「それー」

 竹の水に合わせて、そうめんが流れました。

「ホワチャ!?」

 しかし、勢いが出ません。

 そうめんが、途中で止まってしまいました。

「アチャー。角度が悪かったか」

 一旦そうめんを回収し、ソナエさんが竹筒の角度を調節します。

「おそうめん、流れない」

 サジーナさんが、足踏みしながらそうめんを待っていました。

「まあまあ、じっとするっス」

 じれているサジーナさんを、ハシオさんがなだめます。

「よし、今度こそ」

 再度、ソナエさんはそうめんを流しました。

「ホワチャ!?」

 ですが、今度はわたしだけがそうめんを回収してしまいます。サジーナさんの分まで行き渡りません。哀れ、サジーナさんはお箸を空振りしてしまったのでした。


 恐ろしく早いそうめんです。
 わたしでなければ見逃してしまいますね。


「すまん。今度は早すぎたみたいだ。もうちょっと調節が必要だな」
「手伝うっス」

 二人は再度、竹を組み直しに行きました。

「いりますか?」

 箸ですくったそうめんを、わたしはサジーナさんにゆずります。

「いいよ、シスターが食べて」

 サジーナさんは、流しそうめんを楽しみにしているようでした。

 そう、今日のおそうめんは、流して食べるのです。

 流さないでたべるそうめんも、たしかに同じものでしょう。ですが、流すことによって涼しさと風流を味わえます。

 サジーナさんは、その風流を食べに来ていたのでした。

 ならば、わたしもサジーナさんにお付き合いするのが道理。

 すくいとったそうめんを、わたしはソナエさんに返します。

「いいのか?」
「風流ですから」

 これで、罪が洗い流されるなんて思ってはいません。

 とはいえ、罪を風流とともに味わう。

 これもまた、オツなものです。
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