上 下
210 / 281
フードテーマパークは、罪にあふれている ~フードテーマパークで食ざんまい~

タコパは、罪な祭り

しおりを挟む
 タコ焼きパーティの始まりですわ。

「本当に食べてしまってもよろしくて?」

 わたしのご先祖様と因縁のある怨霊が取り憑いていました。そんなものを食べていいものやら。

「ワタシが保証するよ。じゃんじゃん食っていい」

 では、遠慮なく。

「うん。罪深うまい!」

 皮がふわっとしていて、とろけた中身がじゅわっと口に広がっていきます。タコの弾力も、また素晴らしい。

 あの短時間で、どうしてこうもいいダシが出たのやら。タコの味が口内に充満していますよ。噛むことによって、うま味がさらに引き立ちました。これは、罪を詰め込んだ食べ物ですよ。

「すっげえ。我ながらすげえ! これは厄払ヤバい。もう一個」

 熱い食べ物が平気なのか、ソナエさんはバクバクと食べていますね。とんでもない消化量です。お酒も進む進む。

「ささ、もう一杯飲みましょ」
「おお、サンキュ」

 エマと仲良く、ソナエさんがお酒を交わしていました。あの二人、いつのまにあんなに仲良くなったのでしょう? 爆乳コミュニティでもあるのでしょうか?

「ホント。おいしいですわ」

 チョビっとずつ、ウル王女は召し上がっています。その横ではフレンがふーふーと、タコ焼きを冷ましてあげていました。これはほほえまですね。

 ちょっと罪を堪能しすぎました。他の具材で落ち着きましょう。

「くりすせんせ。これたべて」

 園児たちが、わたしにお皿を用意してくださいました。タコ以外の具材を入れたタコ焼きが乗っていますね。

「みなさん、ありがとうございます。いただきますね」

 わたしは、手作りタコ焼きをかじりました。

「あっふ! ほわあ罪深うまい」

 爪楊枝で引っ張れば、にょ~んと伸びていきます。これは罪深さ満載ですね。チーズですよ。このとろけるチーズが、なんとも罪を重ねているではありませんか。罪深いというか、楽しいです。

「お次はと。これもまた罪深うまい」

 中身は、コンニャクでした。

 わたし、コンニャクは罪を浄化するために入れたはずなんです。

 なのにこのお味と来たら、タコと引けを取りません。さっぱりしていてむしろタコをさらに要求したくなってきます。

「もう一ついただきますね。んまああ、これもまたなんとも」

 最後の一個は、エビでした。プリップリのエビが、シッポをこちらに突き出しているではありませんか。こんなものが、マズイわけがありません。

 はい罪深うまい。
 もう、わかっていました。
 全力で「わたしはおいしいですよ」とアピールしているんですもの。
 どちらかというと、お酒のアテに近い味わいになっていますね。

 ほら。国王が冷えたエールを片手に、エビたこ焼きにかぶりついています。

 こんなの楽しすぎですね。罪をみんなで重ねるって、最高ですよ。

「クリス姐さん、オイラのも食べてみてもらっていいすか?」
「はい。ハシオさん。いただきますね……っ!?」

 こ、これは……。これまでで一番、味が濃厚です。具材に味が染み込んでいました。

 どこかで食べた記憶があるのですが、思い出せません。

「何が入っているのです? 神がかって罪深うまいじゃありませんか!」

 なんだかハシオさん、とんでもないものを開発しましたよ。

「インスタントラーメンっす」

 はあああああ!? そんな変わり種で。なんと罪作りな。

 罪深さの中に茶色とうとさまで入り混じって。もう、感情が追いつきません。

 いやあ。みなさん、アイデア上手ですね。わたしはシンプルなタコ焼きでも十分に美味しさを感じられるので、あまり一工夫とか考えつきません。どこへ行けば、こんな豊富な思考が働くのでしょう。

「フレンまで、どうしました?」
「ちょっと、もうひと工夫を加えてみようと思いまして」
「なんでしょう? 甘い香りがしますね」


 ていうか、これ、マシュマロではありませんか。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。

はぁ?とりあえず寝てていい?

夕凪
ファンタジー
嫌いな両親と同級生から逃げて、アメリカ留学をした帰り道。帰国中の飛行機が事故を起こし、日本の女子高生だった私は墜落死した。特に未練もなかったが、強いて言えば、大好きなもふもふと一緒に暮らしたかった。しかし何故か、剣と魔法の異世界で、貴族の子として転生していた。しかも男の子で。今世の両親はとてもやさしくいい人たちで、さらには前世にはいなかった兄弟がいた。せっかくだから思いっきり、もふもふと戯れたい!惰眠を貪りたい!のんびり自由に生きたい!そう思っていたが、5歳の時に行われる判定の儀という、魔法属性を調べた日を境に、幸せな日常が崩れ去っていった・・・。その後、名を変え別の人物として、相棒のもふもふと共に旅に出る。相棒のもふもふであるズィーリオスの為の旅が、次第に自分自身の未来に深く関わっていき、仲間と共に逃れられない運命の荒波に飲み込まれていく。 ※第二章は全体的に説明回が多いです。 <<<小説家になろうにて先行投稿しています>>>

記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。

せいめ
恋愛
 メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。  頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。   ご都合主義です。誤字脱字お許しください。

【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?

つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。 平民の我が家でいいのですか? 疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。 義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。 学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。 必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。 勉強嫌いの義妹。 この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。 両親に駄々をこねているようです。 私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。 しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。 なろう、カクヨム、にも公開中。

性転換マッサージ2

廣瀬純一
ファンタジー
性転換マッサージに通う夫婦の話

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

処理中です...