195 / 285
BBQは、罪の味 ~王女邸宅の庭で、バーベキュー~
ファミレスで喜ぶ系女子
しおりを挟む
食後、ウル王女が経営する銭湯で、匂いを消すことにしました。
「あなたが決めますのね、クリスさん?」
「ハシオさんは、男性が喜ぶデートコースを知らないそうでして」
「普通、逆では!?」
ウル王女が驚きます。
どうなんでしょう?
ハシオさん的には、「お見合いを頼んでいるのはこちらなので、こちらから誘うのが礼儀」とのお考えだとか。
「戦士ミュラーさんや魔術師のヘルトさんに、モーリッツさんの人となりを聞いてみるのは? あなたも含めて、元お仲間でしょう?」
「それは、済ませました」
デートの話は伏せて、二人にはそれとなく聞いてみました。
現在、モーリッツさんは女性を求めている感じではないそうです。
「そういう男性が相手なら、こちらから仕掛けるのは筋が通っています。てっきり、男性がエスコートするのが普通だと思っていましたので」
「わたしもそう思っていて、モーリッツさん本人に聞いてみることも考えたのです」
ハシオさんは「もてなしたい」と。
「相手がそこまで言うなら、お任せしてみるのがいいですわね」
「ええ。とはいえ、わたしも食べるスポットくらいしか思いつかず」
「あなたらしいですわ。あなたから食を奪ったら、ただのシスターですからね」
それは、わたしも自覚しています。
「わたくしは経営者と言っても、そこまでお料理に詳しいわけではありません」
「お食事どころといっても、わたしは庶民的な場所を好みます」
お高いスポットなんて、オタカフェくらいですね。しかし、あの二人にそういった趣味はなく。
「難しいですわね。アウェーに連れて行っても仕方ありませんし」
「そこで、リッチな場所を知っていそうなあなたに相談をしてみたのですが」
「たしかに、高級料理店に連れて行くのは、特別感があっていいですわ。とはいえ、ハシオさんってそういう人でしたっけ?」
「どちらかというと、ファミレスで喜ぶ系女子ですね」
騎士団の打ち上げも、ラーメン屋さんだそうですし。
「では、庶民派で通すってのはどうでしょう?」
「ありのままを見せろ、と?」
「普段の自分を披露して、相手が引いたら脈なしですわ」
「それは、お互いをよく知ってからのほうがいいのでは?」
知り合って間もない方が相手だと、賭けですね。
「高級料理店一択でしょうかねえ?」
「そうなんでしょうけど、ただひとつ問題が」
「なんですの?」
「あの二人、飲むんですよ」
「あー」
お酒の美味しいお店なんて、下戸な我々ではわかりません。
「で、あたしのところに来たと?」
「はい」
お昼から出来上がっていたソナエさんに、相談を持ちかけます。
ソナエさんが飲んでいるのは、大吟醸ですね。以前お見合いで揉めたお家から、送られてきたものです。
「話が広まって、騒動にならないと思ったのかい?」
今のところ、身内にしか伝わっていません。
「相談に乗ってもらう体なので、そこまで広めてはいません」
「おせっかいなんて、あたしの柄じゃないんだけどな。まあいいや」
ソナエさんが腕を組みます。
「メシがうまくて、飲める場所だろ? そんでもってデートに使うってありゃあ、個室付きだろうな」
「いいですね」
「その女史は、酔うと暴れるのかい?」
「まったく。どちらかというと、成人男性を介抱する側です」
主に、国王を。
「めちゃ酒に強い、と。強い酒を出してくれるところがいいな。だったら、あそこなんてどうだ?」
以前わたしと王女が入った、お寿司屋さんなどはどうか、となりました。
「ほう。お魚が大丈夫ならいけるかも!」
その手がありましたね。
「あたしと前に入った定食屋もいいが、あそこは安いからな。寿司屋のほうが、雰囲気出るだろ。話してみな」
「ありがとうございます。助かりました」
翌日、ハシオさんに聞いてみました。
「すいません。生魚はダメっす。昔アタったことがあって」
あーっ……。
そういえば、ハシオさんが生魚を食べる場面なんて、見たことありません。
「あなたが決めますのね、クリスさん?」
「ハシオさんは、男性が喜ぶデートコースを知らないそうでして」
「普通、逆では!?」
ウル王女が驚きます。
どうなんでしょう?
ハシオさん的には、「お見合いを頼んでいるのはこちらなので、こちらから誘うのが礼儀」とのお考えだとか。
「戦士ミュラーさんや魔術師のヘルトさんに、モーリッツさんの人となりを聞いてみるのは? あなたも含めて、元お仲間でしょう?」
「それは、済ませました」
デートの話は伏せて、二人にはそれとなく聞いてみました。
現在、モーリッツさんは女性を求めている感じではないそうです。
「そういう男性が相手なら、こちらから仕掛けるのは筋が通っています。てっきり、男性がエスコートするのが普通だと思っていましたので」
「わたしもそう思っていて、モーリッツさん本人に聞いてみることも考えたのです」
ハシオさんは「もてなしたい」と。
「相手がそこまで言うなら、お任せしてみるのがいいですわね」
「ええ。とはいえ、わたしも食べるスポットくらいしか思いつかず」
「あなたらしいですわ。あなたから食を奪ったら、ただのシスターですからね」
それは、わたしも自覚しています。
「わたくしは経営者と言っても、そこまでお料理に詳しいわけではありません」
「お食事どころといっても、わたしは庶民的な場所を好みます」
お高いスポットなんて、オタカフェくらいですね。しかし、あの二人にそういった趣味はなく。
「難しいですわね。アウェーに連れて行っても仕方ありませんし」
「そこで、リッチな場所を知っていそうなあなたに相談をしてみたのですが」
「たしかに、高級料理店に連れて行くのは、特別感があっていいですわ。とはいえ、ハシオさんってそういう人でしたっけ?」
「どちらかというと、ファミレスで喜ぶ系女子ですね」
騎士団の打ち上げも、ラーメン屋さんだそうですし。
「では、庶民派で通すってのはどうでしょう?」
「ありのままを見せろ、と?」
「普段の自分を披露して、相手が引いたら脈なしですわ」
「それは、お互いをよく知ってからのほうがいいのでは?」
知り合って間もない方が相手だと、賭けですね。
「高級料理店一択でしょうかねえ?」
「そうなんでしょうけど、ただひとつ問題が」
「なんですの?」
「あの二人、飲むんですよ」
「あー」
お酒の美味しいお店なんて、下戸な我々ではわかりません。
「で、あたしのところに来たと?」
「はい」
お昼から出来上がっていたソナエさんに、相談を持ちかけます。
ソナエさんが飲んでいるのは、大吟醸ですね。以前お見合いで揉めたお家から、送られてきたものです。
「話が広まって、騒動にならないと思ったのかい?」
今のところ、身内にしか伝わっていません。
「相談に乗ってもらう体なので、そこまで広めてはいません」
「おせっかいなんて、あたしの柄じゃないんだけどな。まあいいや」
ソナエさんが腕を組みます。
「メシがうまくて、飲める場所だろ? そんでもってデートに使うってありゃあ、個室付きだろうな」
「いいですね」
「その女史は、酔うと暴れるのかい?」
「まったく。どちらかというと、成人男性を介抱する側です」
主に、国王を。
「めちゃ酒に強い、と。強い酒を出してくれるところがいいな。だったら、あそこなんてどうだ?」
以前わたしと王女が入った、お寿司屋さんなどはどうか、となりました。
「ほう。お魚が大丈夫ならいけるかも!」
その手がありましたね。
「あたしと前に入った定食屋もいいが、あそこは安いからな。寿司屋のほうが、雰囲気出るだろ。話してみな」
「ありがとうございます。助かりました」
翌日、ハシオさんに聞いてみました。
「すいません。生魚はダメっす。昔アタったことがあって」
あーっ……。
そういえば、ハシオさんが生魚を食べる場面なんて、見たことありません。
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。

前世を思い出しました。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。
棚から現ナマ
恋愛
前世を思い出したフィオナは、今までの自分の所業に、恥ずかしすぎて身もだえてしまう。自分は痛い女だったのだ。いままでの黒歴史から目を背けたい。黒歴史を思い出したくない。黒歴史関係の人々と接触したくない。
これからは、まっとうに地味に生きていきたいの。
それなのに、王子様や公爵令嬢、王子の側近と今まで迷惑をかけてきた人たちが向こうからやって来る。何でぇ?ほっといて下さい。お願いします。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる