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激辛カレーライスは、罪の味ィィィィィ! ~オタカフェの激辛カレーライス~

トッピングで、罪の上乗せ

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「何があるのでしょう?」
「トンカツ、から揚げ、生卵を選べます」

 夢のラインナップですね。

 しかし、おごってもらった身で贅沢に走るのは、気が引けます。

「好きなのを頼んでちょうだいね。あたしも好みのトッピングを選ぶわ」

 ヘルトさんは、遠慮しなくていいと言ってくださいました。 

「ではですね……トンカツをください」
「いいチョイスだわ。カツカレーは、定番よね」

 子爵とヘルトさんは、どちらも生卵をオーダー。

「そちらもいいですね」

 数分後、ミニのローストンカツがわたしのカレーに乗っかります。

 トンカツの上に、カレーをかけました。いただきます。

 これは、罪深うまい……。

 サクサク! 肉厚なロースなので、もっと固めのカツを連想したのですが。これは柔かいです。

 ライスとの相性が最強だったポークカレーとはまた違って、こちらはライスを身体が欲しますね。こんな発見があるとは。

「そちらは、生卵ですね」

 ヘルトさんと子爵が、小鉢に卵を割って落とします。
 殻が入っていないかチェックをして、カレーライスへインしました。

「辛味がマイルドになるのよ」

 子爵は、カレーと卵をかき混ぜて食べます。

「う~ん、辛味を抑えつつ、たまに辛さがガツンと来るのがいいわね!」

 スプーンを握りしめながら、子爵がうなりました。

 下品にカチャカチャと食器を鳴らしながら食べるのが、またおいしそうですね。

「それなら、わたしにも食べられそうですね」
「なら、食べてみる?」
「ぜひぜひ」

 トンカツをお二人に分けて、わたしは再度激辛カレーに挑みます。

 別のスプーンを頂いて、ほんの一口分だけ。

「うん、これはおいし……うえええええ! やっぱり辛ええええっ!」

 頭に星がまたたきました。舌がただれそうです。

「これは、脳を破壊しますね」

 まろやかになったのは確かなのですが、辛いところを食べると余計に刺激が強くなっていました。

「アークデーモンが卒倒するくらいの辛味成分が入っているわよ」

 看板に、偽りはありません。

 カツカレーで、舌を潤します。ああ、脂を食べると癒やされますね。

 夢のようなひとときは、あっという間に過ぎました。

「もう三〇手前なのよ、ヘルト。アンタもいい加減オトコを作りなさいよ」
「師匠に言われたくないわよ!」

 食後のコーヒーとデザートのチョコケーキをいただきながら、ガールズトークに花を咲かせます。いわゆる女子会です。男性も混じっていますが。

「クリスちゃんは、教会で男性関係の話とかはしないの? 師匠みたいな性別不詳な人は別として」
「まったく。でも女性同士でお話は、しますね」

 教会でのチートデイも、本来は女子会のように語り合うことも目的の一つなのです。
 神に仕えるものは修行を突き詰めると、どうしても神との対話メインになります。結果、孤立してしまいますからね。 

「ごちそさまでした」

 はあああ。しあわせでした。
 辛いものを頂いたときは、どうなることかと思いましたが。

「また来てちょうだい。今度はアタシがごちそうするから」

 子爵に見送られ、オタカフェを後にします。


 教会までヘルトさんに馬車で送ってもらいました。

「おかえりなさい。ちょっといいクリス?」

 帰ってきて早々に、エマさんに手を引かれます。

「何事ですか?」
「実は、ピザがワンセット余ってしまったのよ。みんな、お腹いっぱいだって言うのよ」

 どうやら、わたしの帰り待ちだったようでした。

「ちゃんと温め直しましたよ、クリス先輩」

 たしかに、ピザからはホカホカの湯気が立っています。

「ヘルトさんは?」

 後ろにいるヘルトさんに尋ねました。

「まだまだ入るわ。シスター・エマ、あたしもいただいていいかしら?」
「もちろんよ、ヘルト! ぜひ食べて! お酒なら付き合うわ!」

 エマさんがヘルトさんを歓迎し、ワインまで用意します。

「いただきまーす……ぐえええ辛えなクソッタレええええええ!」

 タバスコがかかってやがった!


      (激辛カレーライス編 完)
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