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激辛カレーライスは、罪の味ィィィィィ! ~オタカフェの激辛カレーライス~
撮影再び
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「はいクリスちゃん、目線こっちよ」
カメラマンさんのカレーラス子爵が、カメラを構えてストロボを炊きます。
「最高! やっぱり評判よ、あなた。ワタシの目に狂いはなかったわ!」
実際、オタカフェは看板のおかげで売上がうなぎ登りだそうで。
「ヘルト、あなたも素敵よ」
「ええ。これなら……」
わたしたちが身につけているのは、東南地域の衣装「サリー」です。
私がオレンジの、ヘルトさんが紫の長い布を肩にかけています。
「独特の衣装ですね」
一枚の布を、ペチコートに巻きつけるとは。
「まあ、あんたたちしか似合う人はいなかったからね。肩が出ていないと、ヘルトの場合はお胸が辛いから」
ヘルトさんは大胆に肩を出していますね。
わたしはシースルーで、背中がぱっくりを開いてます。
「師匠にしては、ナイスなチョイスかもね」
「随分ね。まるでわたしのセンスがないみたいな言い方ね」
「ないわよっ。あたしにフリフリ着せようって段階で!」
「フリフリも似合うわよ。ねえ、クリスちゃん?」
わたしは、苦笑いで逃げます。
「ああいうのは、もっとおとなしめの子が着るものよ。あたしが着たら完全にショーガールだわ」
「そうかしら? 華やかになるしプロポーションもごまかせるからいいと思うけれど?」
「あたしはスタイルには自身があるから、偽装する必要はないのよ。フリルはむしろ、視線を奪っちゃうのよ」
なるほど。人によって感性が違うのですね。
わたしなんてルックスに自信がないから、フリルはありがたいですけれど。
「それよりも、よ。この衣装はカレーライスにも関係しているの」
「スパイスの王国、イドゥンよね?」
「ええ。東洋の薬草を研究していたら、この未知なる料理を発見したの」
「覚えているわ。あたしも小さい頃、あちこち連れ回されたのよ。修行だって言われて」
中でも、イドゥンは特に印象に残っていないとか。
「紅茶が美味しかったこと以外は、退屈だったわ」
「何を言っているの!? 神様に最も近い国って言われているのよ! このバチ当たり!」
カレーラス子爵は、「カレー」という料理を東南の大陸イドゥンで見つけたといいます。
それを広めるため、このオタカフェで出したそうで。
「本当はパンにつけてもおいしいんだけれど、ライスが最高に合ったのよ!」
それから、カレーライスという料理が定着したらしいですね。発見者である子爵の名前を、もじったのかも知れません。
「ところで師匠、カレーはまだなの? もうお腹ペコペコなんだけど?」
「もう少し待っていなさいよ。空腹も、大切な調味料よ」
「限界よ!」
わたしは、「あのー」と、ヘルトさんに挙手します。
「シスター、どうしたの?」
「どうしてヘルトさんは、ずっとタメ語なんです? カレーラス子爵は、師匠なんですよね?」
「親戚だからよ」
なんでも、お母様の弟さんだとか。
「当時からボッチキャラで、手を焼いたわね」
生まれつきスタイルが良く、男子に言い寄られて女子からは煙たがられていたそうです。結果的に、一人でいることが増えたとか。
「腕はよかったでしょ?」
「才能はあったわね。幼い頃から見ているから、上達も早かったの。ただ、なんでもできちゃいすぎてつまんないけれど」
「オールラウンダーって言ってよね。師匠」
ヘルトさんも、反論します。
「器用貧乏すぎるのよ。おかげで決め手にかけてるじゃない。万能キャラなんて今どき流行んないわよ」
「万能がいるから、特化型が際立つんでしょうが」
「そういっていられるのも、今のうちよ。火力不足になったらいつでも鍛え直してあげるわ」
「大きなお世話よ」
二人のやりとりを見て、わたしは思わず吹き出してしまいました。
「ごめんなさい。仲がよさそうだったので」
「どうかしら? いいのか悪いのか」
カメラマンさんのカレーラス子爵が、カメラを構えてストロボを炊きます。
「最高! やっぱり評判よ、あなた。ワタシの目に狂いはなかったわ!」
実際、オタカフェは看板のおかげで売上がうなぎ登りだそうで。
「ヘルト、あなたも素敵よ」
「ええ。これなら……」
わたしたちが身につけているのは、東南地域の衣装「サリー」です。
私がオレンジの、ヘルトさんが紫の長い布を肩にかけています。
「独特の衣装ですね」
一枚の布を、ペチコートに巻きつけるとは。
「まあ、あんたたちしか似合う人はいなかったからね。肩が出ていないと、ヘルトの場合はお胸が辛いから」
ヘルトさんは大胆に肩を出していますね。
わたしはシースルーで、背中がぱっくりを開いてます。
「師匠にしては、ナイスなチョイスかもね」
「随分ね。まるでわたしのセンスがないみたいな言い方ね」
「ないわよっ。あたしにフリフリ着せようって段階で!」
「フリフリも似合うわよ。ねえ、クリスちゃん?」
わたしは、苦笑いで逃げます。
「ああいうのは、もっとおとなしめの子が着るものよ。あたしが着たら完全にショーガールだわ」
「そうかしら? 華やかになるしプロポーションもごまかせるからいいと思うけれど?」
「あたしはスタイルには自身があるから、偽装する必要はないのよ。フリルはむしろ、視線を奪っちゃうのよ」
なるほど。人によって感性が違うのですね。
わたしなんてルックスに自信がないから、フリルはありがたいですけれど。
「それよりも、よ。この衣装はカレーライスにも関係しているの」
「スパイスの王国、イドゥンよね?」
「ええ。東洋の薬草を研究していたら、この未知なる料理を発見したの」
「覚えているわ。あたしも小さい頃、あちこち連れ回されたのよ。修行だって言われて」
中でも、イドゥンは特に印象に残っていないとか。
「紅茶が美味しかったこと以外は、退屈だったわ」
「何を言っているの!? 神様に最も近い国って言われているのよ! このバチ当たり!」
カレーラス子爵は、「カレー」という料理を東南の大陸イドゥンで見つけたといいます。
それを広めるため、このオタカフェで出したそうで。
「本当はパンにつけてもおいしいんだけれど、ライスが最高に合ったのよ!」
それから、カレーライスという料理が定着したらしいですね。発見者である子爵の名前を、もじったのかも知れません。
「ところで師匠、カレーはまだなの? もうお腹ペコペコなんだけど?」
「もう少し待っていなさいよ。空腹も、大切な調味料よ」
「限界よ!」
わたしは、「あのー」と、ヘルトさんに挙手します。
「シスター、どうしたの?」
「どうしてヘルトさんは、ずっとタメ語なんです? カレーラス子爵は、師匠なんですよね?」
「親戚だからよ」
なんでも、お母様の弟さんだとか。
「当時からボッチキャラで、手を焼いたわね」
生まれつきスタイルが良く、男子に言い寄られて女子からは煙たがられていたそうです。結果的に、一人でいることが増えたとか。
「腕はよかったでしょ?」
「才能はあったわね。幼い頃から見ているから、上達も早かったの。ただ、なんでもできちゃいすぎてつまんないけれど」
「オールラウンダーって言ってよね。師匠」
ヘルトさんも、反論します。
「器用貧乏すぎるのよ。おかげで決め手にかけてるじゃない。万能キャラなんて今どき流行んないわよ」
「万能がいるから、特化型が際立つんでしょうが」
「そういっていられるのも、今のうちよ。火力不足になったらいつでも鍛え直してあげるわ」
「大きなお世話よ」
二人のやりとりを見て、わたしは思わず吹き出してしまいました。
「ごめんなさい。仲がよさそうだったので」
「どうかしら? いいのか悪いのか」
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