神が愛した、罪の味 ―腹ペコシスター、変装してこっそりと外食する―

椎名 富比路

文字の大きさ
上 下
48 / 285
激辛カレーライスは、罪の味ィィィィィ! ~オタカフェの激辛カレーライス~

じっとガマンの子

しおりを挟む
 「ん・・・?」
背中を生暖かい手で撫で上げられたような気がした。
―――なにをやっている・・・?―――
奈々実が魔力を使っていることは、繋留者であるセヴランに伝わる。離れた場所にいてもすぐにわかる。しかし、いつものようにチョーカーでコントロールしながら細く絞って圧縮している様子とは、全然違うことに戸惑う。最初、生暖かい程度だった感触が、すぐに耐えがたいほどの熱さになり、汗が噴き出てくる。頭がくらくらする。溜まった書類をやっつけるために執務室にいたことが幸いだった。兵馬の訓練や港湾設備の現場の見まわりをしている時だったら、対処に困っただろう。
「セヴラン様?」
斜め前方の机で書類の整理をしていたカミーユが、怪訝な顔で見ている。
「なんでもない、ちょっと根を詰め過ぎたかもしれん。休憩させてくれ」
 デスクワークは頭が痛くなるんだ、と誤魔化して、セヴランは久しく使っていなかった仮眠室に逃げ込んだ。鍵をかけ、汗を乱雑に拭い、思春期のように膨れ上がって制御できない自分の下半身を握る。
―――何をやっているんだ!? ナナミッ・・・!―――
奈々実が全力で魔力を使っているのがわかる。それがなぜ、自分の下半身に異変をもたらすのかはわからない。屈辱的だが痛いほど熱く、硬く勃ちあがった下半身を扱き始めると、止めようにも止められなくなった。少し前に、奈々実にたどたどしく擦り上げられたあのむず痒いようなじれったい快感とは完全に種類の違う、目が眩むような強烈な性の衝動に、腰が砕けそうになる。絶対に認めたくなかったが、未成年の奈々実が泣き叫ぶのを無視して押し倒し、荒々しく引き裂いて無理矢理に突き刺し、野獣のようにめちゃくちゃに犯しているかのような、危険な熱さだった。奈々実の泣き顔が脳裏に浮かび、痛々しいのに、可哀想なのに、こんなことをしてはいけない、絶対にしないと誓ったはずなのに、突き上げて突き上げて突き上げて、止めることができない。その罪悪感に横っ面を張り倒されるような、それでも止められない獰猛な性衝動に背筋が凍った。自分が男なのだ、オスなのだということが厭わしくなるほどに、原始的、野性的な衝動が出口を求めて下半身へと押し寄せてくる。唾棄したくなるくらいに本能に忠実で、恥ずかしくて、それなのに下半身を扱く手を止められない。もしも奈々実が目の前にいたら、獣欲のままにむさぼり喰らうのは確実だと思う。
「く・・・、うっ・・・!」
五分とたたずに放出する。しかし下半身の滾りはおさまらず、木石のように硬くなったまま、身体中の血が溶岩のように熱くなったまま、奈々実を求める衝動はおさまらないままで、セヴランは自分の手を止めることができない。右手が疲れてしまって、左手で扱く。右利きなので左手では少し、力の入れ方や握り方、動かし方の加減が違って、じれったくて右手にもどす。奈々実の肌、奈々実の身体がそこにあるかのように、奈々実の吐息や泣き声が耳元に聞こえるかのように、五感のすべてが奈々実に飲み込まれて、包み込まれている。ぷにぷにムチムチした雲のような身体に溺れ、窒息しそうになる。仮眠室の簡易寝台に辿り着くこともできず、セヴランは床に崩れ込んだ。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

生活魔法は万能です

浜柔
ファンタジー
 生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。  それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。  ――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。

女神様、もっと早く祝福が欲しかった。

しゃーりん
ファンタジー
アルーサル王国には、女神様からの祝福を授かる者がいる。…ごくたまに。 今回、授かったのは6歳の王女であり、血縁の判定ができる魔力だった。 女神様は国に役立つ魔力を授けてくれる。ということは、血縁が乱れてるってことか? 一人の倫理観が異常な男によって、国中の貴族が混乱するお話です。ご注意下さい。

[完結長編連載]蔑ろにされた王妃様〜25歳の王妃は王と決別し、幸せになる〜

コマメコノカ・更新報告はTwitterで
恋愛
 王妃として国のトップに君臨している元侯爵令嬢であるユーミア王妃(25)は夫で王であるバルコニー王(25)が、愛人のミセス(21)に入り浸り、王としての仕事を放置し遊んでいることに辟易していた。 そして、ある日ユーミアは、彼と決別することを決意する。

子持ちの私は、夫に駆け落ちされました

月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。

向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。 それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない! しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。 ……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。 魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。 木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

処理中です...