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激辛カレーライスは、罪の味ィィィィィ! ~オタカフェの激辛カレーライス~

じっとガマンの子

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「どうしたの、シスター・クリス」
「食べないのですか?」

 わたしの目の前で、同室のシスターエマと、エマさんの後輩ちゃんがポテチをシェアしています。傍らには、ピザまであります。

「お気遣いなく。今のわたしは、じっとガマンの子なのです」

 正座をしながら、わたしは食欲に耐えるのです。ホントは食べたいんですけどね。

「だって今日はチートデイよ。ぜいたくするのはむしろ義務よ」

 エマさんの言う通り、本日はシスターたちの「チートデイ」です。二週間に一度、我々シスターは何を食べてもいいことになっていました。

「チートデイ」とは本来、体を鍛えている人が脳を騙す行為です。

 減量を続けると、脳が飢餓状態になります。すると脳は省エネ状態に対処するため、基礎代謝を減らしてしまいます。そのため、肉体が成長しなくなるのだとか。

 実はシスターにも、同じことが言えるのです。
 シスターというか、魔法使いといっていいでしょう。厳しい節制を繰り返すと、やはりシスターたちの脳も飢餓状態になるのです。脳が省エネを重視し、魔法の習得や効果に悪い影響が出るのです。

 よって、チートデイを設けて「なんでも食べる」習慣ができました。

「食べないと、体に毒ですよ?」

 後輩ちゃんからの言葉がありがたいですね。ちゃんとポテチも分けてくれていました。

「わたしは後からいただきます。どうぞみなさんで召し上がってください」

 ウソです。

 本当は、シスターエンシェントからお達しなのです。

 ほぼ毎日がチートデイなわたしに、エンシェントは試練を課しました。シスターたちへの食事代を出せと。

 結構な支払いでしたが、わたしの稼ぎで払えない額ではありません。

 せめて食費を浮かすため、わたしの方は節制しようと思います。断食には慣れていますからね。

 節約しすぎる必要は、特にありません。
 蓄えは十分です。

 しかし、貯められるうちに貯めておきたいかなと。
 財産を没収される可能性もありますからね。

「あなたがそこまで言うなら、いただくわね」


 言いながら、エマさんはチーズたっぷりにピザにかぶりつきました。

 クリスピー状の生地から、トロトロのチーズがうにょーんと伸びます。

 チーズの流れを。わたしは目で追います。

「うーん。このチーズがたまらないのよ」

 エマさんは、チートデイになると決まってピザを頼みました。普段は薄いお粥で過ごしています。それも、ピザとワインを存分に楽しむためなんだとか。

「あ~。やっぱりピザにはワインよね」
「そうですよね、先輩」

 一方、後輩ちゃんが飲んでいるのは冷えたエールです。こちらもおいしそうに飲み干しました。部屋の隅には空の樽が転がっています。どれくらい飲みましたかねえ?

 ぜいたくなエマさんの食事シーンなんて、貴重です。

「本当に、いらないの?」
「我々だけぜいたくをしては、気になってしまいます」

 二人の優しさが、うれしいですね。それだけに、痛いです。

 わたしも、お腹が空いてきました。


 干しアンズでも食べていましょうかね。ポーションにもなるというスグレモノです。

……うーん。物足りません。
 
 やはり、こういうときはガッツリしたものが欲しいです。
 生卵を使って、TKGなんかもよかったですかね。

 あっ! そういえば、「インスタントラーメン」があったんでした!

 ドワーフの料理人さんが開発した携帯食で、飯盒で食べるタイプの乾燥ラーメンです。

 試作品をもらっていたんでした。まさか、失念するとは。わたしとしたことが。

 そんな風に思っているとき、わたしに来客だとか。

 食堂にお客さんがいるというので、エマと一緒に伺います。

「あら! ヘルトさんじゃないの」
「こんにちは。シスター・エマ、シスタークリス」

 わたしを尋ねてきた人は、巨乳の魔法使いヘルトさんでした。
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