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第八章 おひとりさまYouTuber、登録者一万超え!?
第51話 楽しい夕飯にあこがれて
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モミジが誘ってくれた寿司屋に、お邪魔する。
おお、回っていない寿司だ。しかも、寿司屋で個室である。間仕切りとかってレベルではない。遮っているのがフスマだけなのに、完全防音だ。
料理が出てくる。
「うおお。刺身に、艶があるな」
「キラキラしてる」
まるで子どものように、オレたちはうめいた。
「快斗も夢希も、超ウケるね。こんな楽しいリアクションしてくれると、連れてきた甲斐があるよ。ささ」
口に入れた途端、中身がなくなっていく。なのに味がずっと残っているという、不思議な触感がした。
「うっとりしてんじゃん! ウケる!」
モミジが、ゲラゲラと笑った。
「二人はさ、回転寿司だと何が好き?」
「オレは、肉の握りとか」
マグロやサーモンも好きだが、オレは回転寿司と言えば変わり種を頼むようにしている。あのジャンク感がいいのだ。
「わかる。夢希は?」
「ラーメン」
「たしかに!」
モミジが、手を叩く。
「邪道だけど、回転寿司のラーメンって、めちゃうまいよね。いかにもジャンク! って感じで。回転寿司に本格的なのは求めてない感じ?」
「そうそう。必要最低限清潔であれば、料理は正直、雑でいい。あの雑味こそ、回転寿司って感じ」
「回らない寿司はそれでよさがあるけど、回る寿司ならではのよさってあるよねー」
回転しない寿司で、回転寿司の話題で盛り上がった。
「どう? 回転寿司のジャンク感も好きだけど、今日は急な仕事だったから、ムリを言っちゃった」
カメラマンに、代金を出させたという。
「うまい。なあ、夢希?」
「うん。こんなにおいしいんだ」
まるで、初めて寿司を食べたかのような感想だ。
「あれ? ムギって社長令嬢だったよね? こういうのって食べ慣れてないの?」
「全然。えらいさんに囲まれて緊張しちゃって。毎回、何を食べてるかわからない」
「あー。食べる相手が、あまり印象の良くない人なんだ」
「正直に言うと、そんな感じ」
だから、モミジと一緒に食べる夕飯は、すごく美味しく感じるという。
「食べることじゃなくて、商談とか話し合いばっかりで、ゴハンをおいしく食べるために集まってない人たちばっかりで。シビアなお金の話ばっかりしているの」
「うんうん。ガキにはつまんないよね?」
「その通り。このお吸い物おいしいよねとか伝えてもさ、会話が弾まなくて。同年代の友だちもいないから、ずっと黙々と胃に入れてた。お手洗い行くために廊下に出て、他のテーブルが見えた。みんな楽しそうで」
ハマチの握りを飲み込んだ後、夢希は熱いお茶をぐいっと飲み干す。
「わたしは! ごはんが食べたかった! 親とっ! ずっとどうでもいい会話が、ずっとしたかったの!」
今にも泣き出しそうな顔で、夢希はうつむいた。
「夢希、オレたちは、お前とそんな話がしたい」
「快斗……ありがと」
夢希が、鼻をすする。
「そうだよ……今日は、たくさん話そ。でさ、大人になってから『あんときのアレ、おいしかったよねー』って、話をしよ」
モミジが、夢希の肩を抱く。
おお、回っていない寿司だ。しかも、寿司屋で個室である。間仕切りとかってレベルではない。遮っているのがフスマだけなのに、完全防音だ。
料理が出てくる。
「うおお。刺身に、艶があるな」
「キラキラしてる」
まるで子どものように、オレたちはうめいた。
「快斗も夢希も、超ウケるね。こんな楽しいリアクションしてくれると、連れてきた甲斐があるよ。ささ」
口に入れた途端、中身がなくなっていく。なのに味がずっと残っているという、不思議な触感がした。
「うっとりしてんじゃん! ウケる!」
モミジが、ゲラゲラと笑った。
「二人はさ、回転寿司だと何が好き?」
「オレは、肉の握りとか」
マグロやサーモンも好きだが、オレは回転寿司と言えば変わり種を頼むようにしている。あのジャンク感がいいのだ。
「わかる。夢希は?」
「ラーメン」
「たしかに!」
モミジが、手を叩く。
「邪道だけど、回転寿司のラーメンって、めちゃうまいよね。いかにもジャンク! って感じで。回転寿司に本格的なのは求めてない感じ?」
「そうそう。必要最低限清潔であれば、料理は正直、雑でいい。あの雑味こそ、回転寿司って感じ」
「回らない寿司はそれでよさがあるけど、回る寿司ならではのよさってあるよねー」
回転しない寿司で、回転寿司の話題で盛り上がった。
「どう? 回転寿司のジャンク感も好きだけど、今日は急な仕事だったから、ムリを言っちゃった」
カメラマンに、代金を出させたという。
「うまい。なあ、夢希?」
「うん。こんなにおいしいんだ」
まるで、初めて寿司を食べたかのような感想だ。
「あれ? ムギって社長令嬢だったよね? こういうのって食べ慣れてないの?」
「全然。えらいさんに囲まれて緊張しちゃって。毎回、何を食べてるかわからない」
「あー。食べる相手が、あまり印象の良くない人なんだ」
「正直に言うと、そんな感じ」
だから、モミジと一緒に食べる夕飯は、すごく美味しく感じるという。
「食べることじゃなくて、商談とか話し合いばっかりで、ゴハンをおいしく食べるために集まってない人たちばっかりで。シビアなお金の話ばっかりしているの」
「うんうん。ガキにはつまんないよね?」
「その通り。このお吸い物おいしいよねとか伝えてもさ、会話が弾まなくて。同年代の友だちもいないから、ずっと黙々と胃に入れてた。お手洗い行くために廊下に出て、他のテーブルが見えた。みんな楽しそうで」
ハマチの握りを飲み込んだ後、夢希は熱いお茶をぐいっと飲み干す。
「わたしは! ごはんが食べたかった! 親とっ! ずっとどうでもいい会話が、ずっとしたかったの!」
今にも泣き出しそうな顔で、夢希はうつむいた。
「夢希、オレたちは、お前とそんな話がしたい」
「快斗……ありがと」
夢希が、鼻をすする。
「そうだよ……今日は、たくさん話そ。でさ、大人になってから『あんときのアレ、おいしかったよねー』って、話をしよ」
モミジが、夢希の肩を抱く。
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