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第七章 次のコラボはバーチャルからの刺客!?

第39話 バーチャルYouTuber 『MØMIJI』

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「紹介いたします。みなさんのコラボ相手であるMOMIJIこと、アカツキ 紅葉モミジです」

 ベニマル先生が、隣にいるギャルを紹介してくれる。

「やほー。あたしがバーチャルYouTuberの、MOMIJIだよー。ほんとはOが『Ø』でMØMIJIなんだけど、Oでいいよ。なんならカタカナでいいし」

 モミジさんが、スマホからもバーチャルアバターであいさつをしてきた。イラストはベニマル先生そっくりだが、服装が瓜二つである。制服のイメージを若干変えているだけで、限りなく本物に近い。

「えとー? 快斗カイトに、夢希ムギ。カイくんとムギムギでいいよね?」

「いや、できれば動画投稿時の名前で呼んでもらえると」

「そっか。カイカイとムゥだっけ? あたしもモミジで呼び捨てしてくれていいからよろ」

「よ、よろ」

 このノリについていくのは、大変かも。

「生配信じゃなくて動画でいいなら、コラボOKなんだよね?」

「お、おう。よろしくな」

「ウケるー。動画以外でも、そんな感じなんだ」

 お腹を抱えながら、モミジさんが笑う。
 そんなに面白い話かな?

「おかしいか、やっぱり?」

「いいんじゃね? キャラ付けなんて、今どき珍しくないっしょ。それで引くような相手なら、コラボしないほうがマシっしょ」

 かなり好意的に、モミジさんはオレのキャラを受け入れてくれるようだ。

「ありがとう。そんなに肯定してもらえると、ありがてえ」

「うーん、別に肯定しているわけじゃないんだけどね」

 オレは、わずかにズッコケてしまう。

「あっはは! 関西のノリじゃん! ナイスノリツッコミ!」

 これが、関西の笑いなのか? オレは知らず知らずのうちに、小春コハルさんの関西ノリを身につけてしまった?

「ボタンにモミジ、どちらも秋を想起させるお名前ですね」

 夢希が、親子の共通項を見つけ出す。

「さすが、ムゥちゃんですね。はい。親子ともに、秋の生まれなんですよ」

 夫と示し合わせた訳ではないが、秋にモミジさんは産まれたとか。

「ご主人は?」

「経営サイドで、がんばってもらっています」

 このツタまみれのお屋敷は、夫婦共通の趣味で建てたらしい。

「あたしこんなじゃん? だから、ダチをこのお屋敷に連れてきたらドン引きされるの。幽霊でそうとか。中で遊んでても、すぐ帰っちゃうんだよね。だから高校に入ったら、誰も呼ばなくなっちゃった。同じ夢を追いかけている同士だけど、なんかベクトルが違っててさ」

 少しさみしげに、モミジさんは語った。
 裸一貫で授業を受けるものからすれば、モミジさんは恵まれていると思われるのだろうか。

「だからさ、動画投稿者同士、仲良くしよっ」

 男女別け隔てなく、モミジさんはオレたちに抱きつく。

「あの、すいません」

 珍しく、夢希が抵抗の色を見せた。

「オシリを触らないでください」
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