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第五章 収益化と言われても……

第29話 質疑応答マシュマロ

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「よぉ。カイカイだ。今日は、マシュマロってのか? SNSで募集した質問に答えていこうと思うぞ。よろしくな」

 スマホの画面に向けて、オレはあいさつをする。

「よぉ。わたしはムゥだ。なるべくみんなの質問に答えていこうと思う」

 最初のお便りは、『生放送はしないんですか?』か。

「しない。おそらくずっとしない。生で話せるネタがないからな。この動画を見ている方ならわかると思うが、オレたちにトークスキルってないんだよ」

 なにより、配信していると、顔が映ってしまう可能性が高い。

「あと同じような意見でね、『ゲームなら配信できるのでは?』って意見もあったよ」

「たしかに、お菓子のおまけ開封動画とか、考えているんだよ」

 あれは、手元だけ写せばいいからな。アルミ封筒による反射で顔が映り込むかもしれないが、お面を被っていれば大丈夫のはず。

「けど学生の身分では、箱でなんて買えないんだ。ここらへんは、シビアに行きたいと思う」

 大人の経済力を借りれば、そういった企画などは可能だろう。とはいえ、オレたちはただでさえ、他人の力で動画を出している。これ以上の力は要求できない。

 続いては、『コラボとかはしないの?』ときた。

「コラボして相手にメリットが有るほどの、知名度がないんだよなぁ」

 双方にとっていいことがあれば、コラボはありがたい。しかし、こちらに提供できる利点がなかった。よって、コラボは実現していない。当分、自分たちだけの配信となるだろう。

「面白かったのが、『釣りだと思っていたけど、ホントに付き合ってるんですね』だって」

「そうなんだよ。オレたちも正直、ここまで相思相愛だなんて思っていなかったんだ」

「相手の気持ちを確認するって大事」

 続いては、やや深刻めだな。

『どうやったら、恋人ってできますか』かー。

「ぶっちゃけると、わかんない」

「だよな。オレたちは親が勝手に決めて、それで相思相愛だったからよかったまでだし」

 もし二人がなんの接点もなかったら、口すらきかないレベルだ。

「質問者さんの性別はわかんないけど、男性なら清潔にしていれば、まあ女子に悪い印象は与えないかと」

「うん。女性だったら、受け答えさえちゃんとしていれば、とっつきやすいかなぁ」

 無愛想だと、こちらも話しかけづらい。でもどうなんだろうな? かといって人当たりが良すぎると、変なのがつきまとうし。難しいよ。

「すまん。わからんのだ。恋愛経験豊富なカップルYouTuberに聞いてくれ。オレたちでは経験不足すぎて、憶測でしか語れなき!」

「語れなき!」

 噛んでしまうくらい、だめだめな回答編だった。

「これが最後のおたよりだ……はあ!?」

「え、どうしたカイカイ? 誹謗中傷?」

「いや。逆だ……『コラボしませんか?』だってよ」

「さっきみたいな、『コラボしないんですか』の読み間違いでは?」

「違うんだ。ちゃんとカップル名とチャンネル名まで、明記されているぞ」

「ホントだ。めっちゃ大先輩じゃん」

 まさかの指名凸がくるとは。
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