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第三章 デート? 違う! 遠出だっ!
第18話 本格的デート配信
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日曜日、オレたちは家の中で撮影をしている。
「よ、よお、カイカイだ」
「ムム、ムゥだ……」
「えーっと今日は、今日はな、ちゃんとしたデート動画を撮ることになった」
土曜日は、買い物がメインだった。事務用品なら、星梨おばさんの会社で余った物を用意してくれるという。「アウトレットで揃えるくらいなら引き取ってくれ」と、会社から言われたらしい。
なので、お金が余ってしまった。
そこで急遽、「まともなデートをしてきなさい」と指令が下ったのである。
「快斗、ちゃんとしたーデートって何?」
夢希から、もっともな質問が飛んできた。
「そんなこと、デートダメ勢なオレに聞かれてもわかんねえよ」
外に出て何をするか、アイデアが浮かばない。
「もうすぐ期末だから図書館で勉強、というわけにもいかんよな?」
「それはデートとは言わないって、言われそう」
だよな。第一、図書館で撮影とかもムリだしな。
かといって繁華街なんかで動画を撮ろうものなら、トラブル待ったなしだ。誰の許可取っとんねんなんて因縁をつけられたら、逃げるしかない。炎上案件になる。
「撮れるところとしたら、公園くらいか」
「じゃあ、ピクニックしよ」
「いいな! 今日はちょっと涼しいから、外で弁当を広げるのもいいかもな」
「では、お弁当作ろ」
「おう、一緒に料理をするぞ」
ようやく、動画映えしそうなネタができあがったぞ。
「サンドイッチタイプとオニギリタイプがあるけど?」
「夢希はどっちがスキなんだ?」
「どっちも独特の味わいがあって、好きだよ」
ならば、オレが選択したほうがよさそうだ。
「オニギリだな」
「じゃ、和食メインで。まずは、唐揚げを作るぞー」
冷蔵庫の余り物から、夢希は鶏モモを出して切っていく。
その間に、オレは米を炊く。洗い物が出たら、せっせと洗った。
「ミートボールは、レトルトを使うね。あとはなにが欲しい?」
「卵焼きがいいな」
「甘いやつ? しょっぱいの? ウチはしょっぱいんだけど」
「しょっぱいのだな。ウチと同じだ」
「OK~」
塩気のある卵焼きを、夢希はネギと一緒に巻く。
オレは洗い物をしつつ、フルーツの盛り合わせを作った。リンゴをウサギ型にカットして、パイナップルと巨峰を敷き詰めた容器に収める。
「最後は、オニギリを作るぞ」
「たわらと三角、どっちがいい?」
「三角だ。オレはそれしか握れない」
「わかった。一緒にやろう」
夢希と二人で、オニギリを作った。かつお節を混ぜたもの。ツナマヨ、梅干し、昆布と。
「チャーハンとか肉巻きおにぎりとかあるけど」
「悩ましいな。チャーハンは夕飯にしよう! オレが作るぞ」
「ありがとう。じゃあお願いするね」
「任された。よし、完成だ」
余りは星梨おばさんの分にして、別の皿に盛り付けておく。
「これで、お金をつかわなくてよくなったな」
「材料費だけもらえたらいいね」
オレはバスケットに保冷剤を詰めて、容器を詰め込む。上にタオルで巻いた保冷剤を乗せて準備完了だ。
今日の夢希は、白いTシャツにデニムのショートパンツである。動きやすいように、スニーカーにしていた。ダメージジーンズとか、オレを殺す気か?
オレはTシャツの色は夢希と同じだが、黒のデニムにしている。
「じゃあ、出かけるか」
「待って。夕方から雨が降るって書いてる」
スマホで、夢希が天気予報をチェックする。
「そのへんの公園で食うだけだから、特に問題ないだろう」
「だといいけど」
「じゃあ、ピクニックに行くぞ」
念のため、傘も用意しておいた。これで、平気だろう。
そのへんを歩くだけなのに、結構な汗が出てきた。
「持とうか?」
パラソルを持った夢希が、手を差し伸べる。オレは夢希に、水筒しか持たせていない。
「いやいや。荷物が重いからじゃないんだ。暑いな」
「じゃあ、こうしよう」
夢希が、オレに近づいてきた。日傘に入れてくれる。
「これいいでしょ? 日傘にもなる、雨傘なんだよ」
動画で紹介しようとして買った、便利グッズらしい。しかし、夢希のグッズ紹介系は、あまり再生数が伸びていなかった。プレゼン上手な配信者には、負けてしまうようである。
「ああ、ありがてえ」
「近いっていっても割と距離あるからさ、コンビニ行こうよ」
「だな。アイスでも食うか」
コンビニで、棒アイスを買ってもらった。
「はい、快斗、あーん」
バリバリ食べるチョコ棒アイスを、夢希に差し出される。
「あーん」
大きく口を開けて、オレはアイスにかじりついた。
「うまい。でも、開けただけでもう溶けちゃってるな」
「あはは。うける」
「なにが」
「口の周り、チョコだらけなんだけど」
バッグからハンカチを出して、夢希がオレの口を拭く。
なんか、すっごいデートって気分だ。
しかし、オレのホホに不穏な水滴が。
「雨だ!」
公園にたどり着いた途端、ザーッとひどいゲリラ豪雨が降り注ぐ。
「ぎゃー!」
「快斗、あっちに屋根がある!」
屋根のあるスペースまで、避難した。
「すごかったね」
「ああ、すごふ!?」
夢希のTシャツさまが、透けていらっしゃる!
「よ、よお、カイカイだ」
「ムム、ムゥだ……」
「えーっと今日は、今日はな、ちゃんとしたデート動画を撮ることになった」
土曜日は、買い物がメインだった。事務用品なら、星梨おばさんの会社で余った物を用意してくれるという。「アウトレットで揃えるくらいなら引き取ってくれ」と、会社から言われたらしい。
なので、お金が余ってしまった。
そこで急遽、「まともなデートをしてきなさい」と指令が下ったのである。
「快斗、ちゃんとしたーデートって何?」
夢希から、もっともな質問が飛んできた。
「そんなこと、デートダメ勢なオレに聞かれてもわかんねえよ」
外に出て何をするか、アイデアが浮かばない。
「もうすぐ期末だから図書館で勉強、というわけにもいかんよな?」
「それはデートとは言わないって、言われそう」
だよな。第一、図書館で撮影とかもムリだしな。
かといって繁華街なんかで動画を撮ろうものなら、トラブル待ったなしだ。誰の許可取っとんねんなんて因縁をつけられたら、逃げるしかない。炎上案件になる。
「撮れるところとしたら、公園くらいか」
「じゃあ、ピクニックしよ」
「いいな! 今日はちょっと涼しいから、外で弁当を広げるのもいいかもな」
「では、お弁当作ろ」
「おう、一緒に料理をするぞ」
ようやく、動画映えしそうなネタができあがったぞ。
「サンドイッチタイプとオニギリタイプがあるけど?」
「夢希はどっちがスキなんだ?」
「どっちも独特の味わいがあって、好きだよ」
ならば、オレが選択したほうがよさそうだ。
「オニギリだな」
「じゃ、和食メインで。まずは、唐揚げを作るぞー」
冷蔵庫の余り物から、夢希は鶏モモを出して切っていく。
その間に、オレは米を炊く。洗い物が出たら、せっせと洗った。
「ミートボールは、レトルトを使うね。あとはなにが欲しい?」
「卵焼きがいいな」
「甘いやつ? しょっぱいの? ウチはしょっぱいんだけど」
「しょっぱいのだな。ウチと同じだ」
「OK~」
塩気のある卵焼きを、夢希はネギと一緒に巻く。
オレは洗い物をしつつ、フルーツの盛り合わせを作った。リンゴをウサギ型にカットして、パイナップルと巨峰を敷き詰めた容器に収める。
「最後は、オニギリを作るぞ」
「たわらと三角、どっちがいい?」
「三角だ。オレはそれしか握れない」
「わかった。一緒にやろう」
夢希と二人で、オニギリを作った。かつお節を混ぜたもの。ツナマヨ、梅干し、昆布と。
「チャーハンとか肉巻きおにぎりとかあるけど」
「悩ましいな。チャーハンは夕飯にしよう! オレが作るぞ」
「ありがとう。じゃあお願いするね」
「任された。よし、完成だ」
余りは星梨おばさんの分にして、別の皿に盛り付けておく。
「これで、お金をつかわなくてよくなったな」
「材料費だけもらえたらいいね」
オレはバスケットに保冷剤を詰めて、容器を詰め込む。上にタオルで巻いた保冷剤を乗せて準備完了だ。
今日の夢希は、白いTシャツにデニムのショートパンツである。動きやすいように、スニーカーにしていた。ダメージジーンズとか、オレを殺す気か?
オレはTシャツの色は夢希と同じだが、黒のデニムにしている。
「じゃあ、出かけるか」
「待って。夕方から雨が降るって書いてる」
スマホで、夢希が天気予報をチェックする。
「そのへんの公園で食うだけだから、特に問題ないだろう」
「だといいけど」
「じゃあ、ピクニックに行くぞ」
念のため、傘も用意しておいた。これで、平気だろう。
そのへんを歩くだけなのに、結構な汗が出てきた。
「持とうか?」
パラソルを持った夢希が、手を差し伸べる。オレは夢希に、水筒しか持たせていない。
「いやいや。荷物が重いからじゃないんだ。暑いな」
「じゃあ、こうしよう」
夢希が、オレに近づいてきた。日傘に入れてくれる。
「これいいでしょ? 日傘にもなる、雨傘なんだよ」
動画で紹介しようとして買った、便利グッズらしい。しかし、夢希のグッズ紹介系は、あまり再生数が伸びていなかった。プレゼン上手な配信者には、負けてしまうようである。
「ああ、ありがてえ」
「近いっていっても割と距離あるからさ、コンビニ行こうよ」
「だな。アイスでも食うか」
コンビニで、棒アイスを買ってもらった。
「はい、快斗、あーん」
バリバリ食べるチョコ棒アイスを、夢希に差し出される。
「あーん」
大きく口を開けて、オレはアイスにかじりついた。
「うまい。でも、開けただけでもう溶けちゃってるな」
「あはは。うける」
「なにが」
「口の周り、チョコだらけなんだけど」
バッグからハンカチを出して、夢希がオレの口を拭く。
なんか、すっごいデートって気分だ。
しかし、オレのホホに不穏な水滴が。
「雨だ!」
公園にたどり着いた途端、ザーッとひどいゲリラ豪雨が降り注ぐ。
「ぎゃー!」
「快斗、あっちに屋根がある!」
屋根のあるスペースまで、避難した。
「すごかったね」
「ああ、すごふ!?」
夢希のTシャツさまが、透けていらっしゃる!
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