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第三章 婚約破棄した相手は、海軍の隊長でしたわ!

第38話 黄金のサメですわ!

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 神官の攻撃を受け止めながら、わたくしは考えを巡らせます。

「ルカン、そいつはただの思念体だ! 本体はこっちのウミヘビなんじゃねえのか?」

 船の上から、デジレが仮説を立てました。

 そうとしか、考えられませんわね。

「しかし、船からでは攻撃できない!」
「ですわね!」

 海軍の砲撃で、リヴァイアサンは弱っています。ですが、致命傷とまではいきません。弱点を見つけ出さないと。

「観念して死ね、ダークワーカー! もともとこの世界は我々が支配するはずだった! それを邪魔したのが貴様らサメ使い【ダークワーカー】だっ! しかし、その伝説も今日で終わる!」
「終わるのは、あなたの方ですわ!」

 深きものは父の仇、根絶やしにさせていただきます! 

 五獣の拳で、神官を殴り飛ばしました。

 神官は顔を潰しても、四肢を破壊しても再生し続けます。

「ムダよ。いくら攻撃しても、本体を潰さねばいくらでも再生する!」

 それは百も承知ですわ。破壊が目的ではありませんの。

 ですが、悟られないようにせねば。

 ヤツの動きには、法則性があるように見えてなりません。なにか、決定的な動きがあるような。

 たしかに、神官はいくら攻撃されても、その場から動こうとはしません。

 神官の真下にあるのは、脳ですわ。

「ウニの拳!」

 わたくしは、足元につま先を突き刺しました。わたくしの爪から発せられた衝撃波が、骨を突き抜けて脳へと到達したのです。

「ぐえええええ!」と、リヴァイアサンが喚き散らしました。

 さしもの巨大生物も、脳をやられてはひとたまりもないようですわね。

 しかし、硬い骨を一撃で破壊なんて。


……だからこそ、ダークワーカーなのですね?


 この海域は、どのくらいでしょう。すっかり、陸から離されていますわね。攻撃の後、うまくあの船にとりつかないと。

「ステイサメさん、ヤリを!」

 わたくしは、シャークネードを発動しているステイサメさんに声をかけました。

「わかった! 受け取ってルカン!」

 ステイサメさんが、ヤリをわたくしに投げ渡します。

 ヤリを受け止めた後、キャンディケインに魔力を注ぎ込んでいきました。

「く、この!」

 神官が、杖を伸ばしてきます。

 わたくしは、体さばきだけで避け続けました。

 この杖にも、なにか仕掛けがあるような気がしてなりません。
 この出会いは、きっと意味がありましてよ。

「フフ……ありましたわ」
「なにをしても、同じこと! ダークワーカーと相打ちになった際に、そのヤリの性能も弱体化させた! 貴様の浅知恵を持ってしても、リヴァイアサンは討ち滅せ……ぬぅ!?」
「いま、なにかおっしゃいましたか?」

 わたくしは、ヤリの先にキャンディケインを突き刺しました。

 この棍には、穴が開いています。
 その穴に、ケインを突き刺してみると、ピッタリではありませんか。

 ステイサメさんに魔力を送るときも、このケインからでした。

「うわ!?」

 なんと、ステイサメの手に何かが握られます。黄金のサメのオーラではありませんか。ステイサメさんのてから浮き上がっているサメ型のオーラが、ピチピチと跳ね回っておいでです。

「まあ、この武器は、ステイサメさんのものではなかったのですわね?」

 わたくしのようなサメ使いが持って、初めてステイサメさんの真の力が発揮されると。

「だがまだ不完全! そんなチンケな技で我を……ごうう!」
「だまらっしゃい」

 神官がしゃべっている間に、ステイサメさんに指示を送っていました。うるさいウミヘビの腹に、黄金のサメを叩き込んでくださいまし、と。

 いやあ、面白いくらいに跳ね上がりましたわ。今までの苦戦はなんだったのでしょう。

「ここまで強かったのですね? ステイサメさんは」
「いやルカン。キミが神官を倒し続けていて、レベルが上ったからだよ」

 そうでしたの? 実感がありませんのに。

 まあいいですわ。トドメと参ります!
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