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第三章 婚約破棄した相手は、海軍の隊長でしたわ!

第39話 さあ、「あーん」とおっしゃいまし!

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「おのれルクレツィア! 半人前といえど、サメ使いかっ!」

 苦しそうに、神官がうめきました。もはや虫の息といったところでしょう。

 しかし、油断はできませんわ。

 こちらも、手加減をするつもりはありませんがっ!

「くらえ、【シャーク・ショック】!」

 再び、ステイサメさんがオーラを発動しました。特大の黄金のサメが、ステイサメさんの手から形成されていきます。二発連続で、黄金サメを放ちました。顔に続いて、ボディに。

「ぐいいいい!」

 リヴァイアサンも神官も、お腹を押さえてうめきます。黄金サメは噛みつくことはできないようですが、相手に当たると爆発するようですね。

「だが、致命傷には至らん! 我こそはリヴァイアサン! 神が作りし創生の要塞! サメ使いごときに破れはせぬ!」

 リヴァイアサン神官が、不沈艦を自称しています。

「ならば沈みたいと言うまで沈めるまでですわ!」

 大量のシャークショックを、リヴァイアサンに浴びせました。

 頭部へ向けて撃ち込んだものは、神官がそらしてしまいます。ですが、身体の何処かで爆発を起こしました。

 わたくしは黄金のヤリを振り回し、ステイサメさんに力を与え続けます。

「こちらには、まだまだ余力がありましてよ!」
「くそお!」

 杖で刺突し、神官がわたくしの魔力供給を妨害してきました。

「タコツボの拳ですわ!」

 わたくしは、杖を掴んでグルグルと胸の前で転がします。

 コントロールを奪われまいと、神官も杖を握りしめていました。

 ですが、腕力はわたくしが上です。杖を奪ってやりました。

「返せ!」
「ええ」

 ウミヘビの上顎に、わたくしはケインのカギ部分をひっかけます。

「リヴァイアサン! 『あーん』とおっしゃいなさいまし!」

 わたくしは強引に、リヴァイアサンの上アゴを持ち上げました。足を広げて、ウミヘビの口を押さえます。

「何をする気だ?」
「こうするんですわ」と、わたくしはリヴァイアサンに杖を食わせてやりまた。

 杖が、リヴァイアサンのアゴに引っかかってしまいましたわ。

 また「ぐえええええ!」と、リヴァイアサンが声を出しました。まるで泣き出したかのような。

「今です!」
「とどめだ。【シャーク・ショック】!」

 大きく空いた口の中へ、ステイサメさんが特大の黄金サメオーラを放ちました。

 黄金サメを食らって、リヴァイアサンの皮膚が破裂いたします。
 ノドから胃袋にかけて黄金の炎に焼かれて、無惨な骨だけになっていきました。

「ごおおおお!」

 神官も、黄金色にこんがり焼き上がっています。全身が骨だらけになりました。

「ルカン! 今のうちに乗り込め!」

 デジレが、わたくしの位置まで船を誘導してくれます。

「はい!」

 わたくしはステイサメさんとともに、デジレの操る船にダイブしました。

「させるか! 我が術によって、葬り去ってくれる!」 

 シャボン玉が質量を持ったような水の弾を、神官が最期に飛ばしてきます。その直後、神官は全身バラバラになりました。リヴァイアサンとともに、海へと沈んでいきます。

 ですが、わたくしは神官の飛ばした異様な形の水の弾を、避けきれません。

 かわせないなら、打ち返すまで!

「てやあああ!」

 わたくしは、七色の弾をヤリで跳ね返しました。

「はああ!?」

 神官が、信じられないという顔に。

「ぬぬう。まだだ! 脳にダメージは通っておらぬ!」

 あれだけの攻撃を受けて、なおも再生を始めました。

「ルカン、こっちだ!」
「はい。でも!」

 わたくしは、エビちゃんさんの広げた手の方へ落下しようとします。ですが、届きません。

 ここままでは海に、と思っていたその時、赤い板にわたくしは落ちました。

「これは、いったい?」

 何もかもが赤い、高速艇のようです。

「赤い船! レッドノーティス号!」

 タラさんが、船を指さして叫びました。

「あれは、海軍か?」

 エビちゃんさんも、驚いています。

「ひさしぶりね、姉さん」
「あなたは、ラトマ?」

 わたくしを助けたのは、妹のラトマでした。
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