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第一章 Z級スキル『サメ使い』でしてよーっ!

第12話 海底洞窟へ向かいますわ!

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 ようやく、この地帯を荒らしている海底洞窟へと向かいました。

 いやあ、無事に行けてよかったですわ。

 人数制限などがあったらどうしましょ、と思っていたのですが。

 モンスターは、キャンディケイン型の銃で蹴散らしていきます。

 なんの危なげもなく、わたくしたちはレベルを上げつつ洞窟の中へ。岩山にできた穴へ、進んでいきます。

 あれ、陸地ですわ。水の抵抗もありません。

「洞窟の内部は、空気が通っていますのね?」
「ここだけ、空間が歪んでいるんだ」

 やはり、なにか異様な存在が潜んでいましてよ。洞窟の中も、妙に明るいですわ。明かりを灯す魔法や、ランタンなども必要ありませんわね。

「ルカン! ビーバーのゾンビだよ!」

 ゾンビのビーバーですって? ここは海水でしてよ? 人間サイズのビーバーですのね。人間のゾンビも混じっていましてよ。噛まれてしまったのでしょうね。

 まあ、わたくしたちの敵ではありませんが。

「ピラニアも来たよ!」

 ですから、ここは海の中とおっしゃっていますのに。こちらも人間サイズですわ。

「面倒ですわ!」

 キャンディケインで、ボコボコにして差し上げます。常識が通じないなら押し通すまで、ですわ。

「空を飛ぶピラニアですってよ!」
「宙を舞うサメを出すキミが言っても、説得力はないよ」

 戦闘中に真顔でツッコまないでくださる、ステイサメさん?

「シャークネードですわ!」

 サメ魔法と風魔法トルネードの合わせ魔法で、ピラニアもビーバーもごちそうさまですわよ。

「お宝らしきものは、ございませんわね?」
「そんな感じではないね。完全に、異変を起こそうとして活性化している」

 洞窟の奥に、悪さをする張本人がいるようですわ。

「この先に、気配を感じるよ。でも、魔物じゃないみたい。魔物の気配なら、もっと天然的な感じがする。でも、この空間といい妙に明るい洞窟といい、変なんだ」
「どう変わっていまして?」
「人の手が加わっているみたい」

 ステイサメさんは一連の事件が、人為的に引き起こされたとおっしゃりたくって? 

 にわかには、信じられませんわ。

 ですが、各海域を貴族たちに占領させ、この洞窟に入らせないようにしていたのは、知恵のある人間の仕業だろうとは思えます。

「やっぱりだ。人間の字が書かれている」

 壁や床に、特殊な薬草を用いたチョークで何かが書かれていましたわ。

「モンスターに、侵入者を襲わせるように術式を組んでいるみたい」

 元は、ネズミ避け大型の魚を追い払う装置なのでしょうけど。

「なるほど。では手当たり次第に消してしまってはよろしくて?」
「それでもいいけど、侵入がバレてしまわない?」
「どうせバレていますわ!」
「だったら、容赦しなくていいね」

 わたくしたちは、壁じゅうの文字を塗りつぶして差し上げました。

「オーホッホッ! セクシー・ビキニ・ウオッシュですわーっ!」

 あなたのお部屋を、ビキニお嬢様が清潔にしましてよーっ!

「どこでそんな仕事を覚えてきたの? お嬢様だよね?」
「近所の悪ガキ共のバイトを、お手伝いしましてよーっ!」

 ビキニ姿で全身を使って、家の壁についた落書きとかを消しますの! ノリノリで洗って差し上げたのを思い出します。

「ごらんになって! 魔物が襲ってこなくなりましたわ!」

 魔物たちが、あっちへウロウロこっちへキョロキョロなさっていますわ。どうもモンスターは、わたくしたちを敵と認識できなくなったようです。やはり知能は低いようですわね? 

「見て! 隠し扉だ! これを隠すための魔法文字だったのか!」

 おおっと! ビキニ洗浄に夢中になっていて、本業を忘れていましたわ。海底洞窟の異変を調査しに来たのでした。

 ドン! と鉄の扉を蹴破りまして。

「あなたでして? 洞窟の生態系を荒らしてらっしゃるのは!」

 洞窟の中に、カラクリでできた研究所がありましてよ。

「なんだお前たちは? 我がラボに勝手に侵入してくるとは」

 ガラガラ声の博士が、わたくしたちにギョロ目を向けてきましたわ!
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