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第五章 敵はヒロイン!? 初の攻略対象との戦闘?

第23話 雪の城

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「主であるエデル・ワイスは、雪山の奥に居城を構え、魔法の住む世界の番をしている。向かう前に、充分な準備をすべきだ」

 銀狼のアドバイスで、オレたちはショップを回った。
 
 装備できるだけの装備品を、とにかく買い漁る。

 なるべく強度の高いヨロイを、身につけた。
 たしかに軽い。銀狼の言葉は、本当だったな。

 壁役は、オレが担当することに。
 オレだって、ジャストガードはできるからな。

 できるだけ、大きな盾を手に入れた。

 また、オレはとんでもない武器を目にする。

「おお、銃じゃないか」

 片手持ちの銃【ソードオフ・ショットガン】を、ゲットした。
 ドワーフの世界でも、こういった武器を開発できるんだな。
 さすが、ゲームの世界である。

「ベップおじさん、その武器って何?」

「魔法を撃ち出す武器だ。速度も上がって、威力も増すんだよ」

 今までお世話になった杖に、おさらばした。
 攻撃以外の魔法が必要になったら、【世界樹の枝】を代用する。
 序盤で手に入ったのだが、これだけはもう最終装備クラスなんだよな。 
 
 片手にショットガンを持って、もう片方にある盾で敵の攻撃を受けるスタイルでいくか。
 この強度なら、打撃もできる。魔法も、高威力で飛ばせるからな。
 
 シールドはウエスタンハットにもなるため、場所も取らない。

「ベップおじさんの装備は、それでいいとして、わたしはどうしようかな?」

 ミラベルは、魔法攻撃力上昇の効果を持つ角笛は、そのまま持つことにしたようだ。ハートンファーだけを、【バトルハンマー・レベル一五】と交換する。やはり、気になっていたか。

「この装備どうしよう? 売っちゃうにしてもさ、ハートンファーはまだ使いそうなんだよね」

 ミラベルは、ものを捨てられない性格らしい。
 今までヒロインからもらってきたアイテムも、消耗品以外はすべて取ってある。

「案ずるな、ミラベル殿。取っておくといい。わがドワーフの秘術に【アイテム合成】があるぞ。エデルを助けた際に、学ぶといい」

 アイテムの合成か。いいな。

 キョーコを助けたときに手に入れたのが【スキル合成】だった。
 こちらはアイテム・装備品の合成が可能になる、と。

 どちらを順番に攻略しても、ちゃんと強くなれるんだな。

 ミラベルの身体装備は、毛皮のヨロイにした。
 ちょっとやってみたいことが、あったので。

「【白虎のヨロイ】だってよ」

「えっと、[極寒の地で暴れていた魔獣【白虎】を倒した際の、毛皮]だって」

 白いアーマーは、寒さを防ぐだけではない。
 物理攻撃さえも、モフモフで受け流す。 

 それにしても、ゴツい。
 ドワーフが装備するだけ、あるなぁ。
 だがご安心を。 
 見た目の無骨さは、【イリュージョン】でなんとかなる。
 
「アイテムに、魔法を付与することも可能だぞ」

「マジか! やってみっか」

 魔法を弾く機能を、シールドに持たせた。

 ソードオフにも、硬度を上げる効果を。

 あと、防寒用の外套なども手に入れた。
 オレは、着る毛布みたいな素材でいいや。

 ミラベルに装備させるため、ネコミミフード付きの防寒ポンチョをチョイスしてみる。ヒザまで隠すタイプだ。

 ここで、【イリュージョン】をかけるのよ。
 
 ポンチョを着たキグルミ姿のミラベルが、できあがる。

 
「ベップおじさん、どうかな?」

 オレの前で、ミラベルがくるりんと回った。
 
「うお、激かわ!」

 そのかわいさ、異次元クラスである。 

 ちなみにハンマーは、おでんの形をしたピコピコハンマーに。
 ミラベルのバトルハンマーは、【ハートビート】を無限で撃てるようにした。ヨロイの方には、魔法を跳ね返す効果を付与してみる。
 つまり、おでんを無理やり食わされるお笑い芸人の「あっつい! あっつい!」を再現できるのだ。

「準備はできたな。では、まいろう」


 シバレリアの街を離れて、雪の深い山へと入っていく。

「ふたりとも、私に乗りなさい」

 銀狼がそう言うので、オレたちはありがたく乗せてもらう。

 人間二人を乗せているのに、銀狼はまったく速度が落ちない。
 オレたちも振り落とされないばかりか、快適な旅になった。

「犬ぞりを使っても、城へは辿り着ける。しかし、数日はかかるだろうな」

 わずか数分で、雪の城に到着する。

 かつてドワーフの古代文明があった土地らしく、どことなくメカメカしい。
 スチームパンクっぽさが、にじみ出ていた。
 さしずめ、鉄と氷でできた要塞である。

 なにが出てくるか、わからん。

「気をつけるのだ。古代文明の兵器が生きているかもしれぬ」

 入口に入ると、さっそくゴーレムのお出ましだ。

 ゴーレムと言うか、ロボットだな。こいつは。

 ロボットが、腕を飛ばしてきた。

「この新しいバトルハンマーで!」

 ミラベルが、新生のハンマーでゴーレムの腕を殴り飛ばした。
 腕を打ち返されて、ゴーレムの巨体が壁に激突する。

 一体は無力化できたが、まだまだ敵は多い。 

 ゴーレムが、攻撃パターンを変えた。指からのミサイルに、切り替える。

「これは、打ち返しきれないよ!」

 さすがのミラベルも、よけるしかない。

 だが、ノーダメで済んでいる。
 白虎の革ヨロイのおかげか。これは、掘り出し物だったな。

  とはいえ、一気に叩かないと危険だ。
 
 オレの出番か? 

「喰らえっての! 【サンダートラップ】ッ!」

 雷を地面に浴びせて、すべてのゴーレムの足を止める。

「今だ、ミラベル!」

 動きが止まったゴーレムを、ミラベルが殴りまくる。

 すべてのゴーレムが、バラバラになった。

「ナイスだ、ミラベル!」

「へへーん……うわ!」


 緑色の剣閃が、ミラベルに襲いかかる。

 ミラベルはとっさに殺気を読んで、すばやく身をかわした。
 

 ハルバートを持った少女が、オレたちの前に現れる。

 顔には、鉄仮面を被っていた。

 あれが、雪の姫騎士エデルか。
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