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第四章 和風ファンタジーの魔法学校を、オロチから救え

第19話 キョーコ覚醒

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 緑色のウロコを持つオロチから、紫色の体をしたヘビ人間が抜け出てきた。オロチの牙を抜き取って、二対の短剣として装備する。
 オロチの身体が消えて、赤い霧となった。
 霧が、ヘビ人間に取り込まれていく。
 
 まさかボスが、人間形態に変わるとは。
 
「ベップおじさん、オロチが脱皮したよ!」

「身体が小さくなったのに、強くなった感じがするです!」

 キョーコの見立ては、間違いじゃない。

 凶悪な力が、ビンビンに伝わってくる。

「くるぞ!」

 オレは、二人の前に立つ。

 ヘビ人間が、双剣でオレに切りかかった。

「ジャストガー……!?」

 オレは、一本の短剣しか防げない。

 もう一本の剣が、オレの腹に突き刺さる。

「おじさん!?」

 盛大に、オレは後ろへ飛んだ。
 おかげで、ダメージは最小限に抑えられている。
 といっても、毒ダメージで動けない。
 マヒというか、石化? 身体が重くなったような感じがする。

「大丈夫、おじさん!?」

「平気だ! 気を抜くなよ!」

 エリクサー症候群なんて、言っている場合じゃない。
 ミラベルのために溜め込んでおいた回復剤を、自分に使う。

 大事な推しのために、取っておいたのに。
 許せん。


「もういっちょ!」

「わたしも!」

 また、双剣が襲いかかってきた。今度は、ブーメランのように飛ばしてくる。

「不規則だから、ちゃんと相手の動きを読んで!」

「はい! ジャストガード!」

 ミラベルのジャストガードで、短剣がヘビ人間に向かっていく。
 
 うまい。相手に当たるように軌道を変えるとか、オレでもなかなかできない芸当だぜ。

 だが、ヘビ人間も短剣を蹴り飛ばして、ミラベルへと打ち返す。

「敵も【ジャストガード】してくるよ!」

「冷静に対処して!」

 この攻撃は、かわすように指示を出した。
 オレも、受け止めるだけにする。
 
 ジャストガード同士の戦いは、相手のほうが有利だろう。
 武器を操る力が、あるのかもしれない。

「やべえ!」

「キョーコちゃん!」

 ヘビ人間が、まっすぐキョーコへと向かっていく。

 キョーコはなぜか、ヒザをついたまま動かない。

 オレがダメージを受けてから、ずっとだ。
 
 どうしたってんだよ?

「……失せよ」

 ヘビ人間が、ふっとばされた。
 キョーコの放った圧によって。

「どうしたんだ、キョーコは?」

 キョーコの身体が、白いオーラをまとう。

「妖狐の領域に入ったお主は、もう逃げられぬぞ!」

 見たこともない速度で、キョーコが鬼火を連発する。
 その目は、オレたちの知っているキョーコではない。

 ヘビ人間が、短剣を二つとも戻して鬼火を払う。
 だが、さばききれない。剣も、破壊されてしまった。
 
「わが友垣を傷つけた罪、己の身をもって償うがよい」

 青白い炎が、ヘビ人間の真下から吹き出す。

 あれだけ強固だったウロコが、青い炎によって焼け焦げていく。
 モードチェンジをする際、攻撃力に全振りして防御を犠牲にしていたか。どおりで強かったわけだ。

 炎の柱に焼かれて、ヘビは消滅した。


                                      *

 
【クエスト達成】


 おめでとうございます。ヤマト地区のボスを、討伐しました。
 封印は守られ、今後目覚めたとしても、オロチは世界を支配するほどの力は発揮されません。
 
 
                                      *


 唐突に、クエストログが出てくる。
 
 イベント終了の条件って、覚醒したキョーコがボスを倒すことだったのか。

「はわ? みなさん、大丈夫なのですか?」

 キョーコが、もとに戻った。

「疲れたときは、おいなりさんを食べるです」
 
 うん。いつものポンコツである。
 よかった。

「あのモードは、いったいなんだ?」

「おじいちゃんからは、あまりあの姿は人に見せないほうがいいと言われたです。使いすぎもよくないのです。戻ってこられなくなるのです」

 そうか。ならば、あまり力を発動しないほうがいいのかもな。


                                      *

【デートイベントフラグ成立】


 イベントを攻略したことにより、デートを楽しむことができます。
 また、イベント後に特典を得られます。


                                     *
 

 そうだった。
 キョーコとデートができるんだった。

「みなさん、お時間がありますですか? 花火大会があるです」

 オロチを倒し、神社に平和が戻ったことにより、お祭りを行うらしい。
 
 なんと、浴衣を貸してもらえるそうだ。
 
 ミラベルの浴衣、見ないわけには行かぬ!
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