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第六章 最終決戦

第62話 エピローグ 前編 ラスボスは義父!?

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 すべてが終わり、僕たちはシンクレーグまで戻る。
 リユのお父さんと、向き合っていた。
 肝心のリユは、ここにはいない。男同士、二人きりで話したいと、義父さんが言ったのだ。

「お初にお目にかかります。この度は、お嬢さんとの結婚する際に、お伺いもできず」

「よい。我が追放したんじゃ。娘と合わす顔がなかったんは、こちらの方なんじゃけん」

 シンクレーグに嫁いだ娘のピンチでなければ、助けには来なかったろうと。

「薄情な義父を、許していただきたい。ディートヘルム殿。不肖な我が娘を、かわいがってくださり。ありがたく思いますけん」

 義父さんは、土下座する勢いだ。

「おおお待ちを! 助けていただいているのは、こちらも同じでして!」

 僕も改めて座り直す。

「いんやあ。家族総出でお祝いしたるんが、家族っちゅうもんでしょうが。カカアにも、ケツをぶったたかれましての」

 そのお義母さんは、表でリユと談笑している。

「で、お話なのですが、正式にお嬢さんとの結婚を」

「ならん!」

 そうですかー。流れでうまくいくと思っていたんですがねえ。

「娘との婚姻は偽装じゃと、うかごうておりますが?」

 え、バレてたの!?

 外では、「バレとったん!?」と、リユの声が聞こえた。僕と同じリアクションをしたらしい。

「カカアが、見破りましたでな」

 連絡をした途端、リユの母親はウソだと見破ったという。

「どうしてわかったんです?」

「いうには、『リユの性格じゃったら、飛んで帰って報告しにくるわい』と。後ろ暗いところがあるから、直接帰れんのじゃと」

 よくよく考えたら、そうだよね。 

「ワシはどっちでもええんじゃ。どのみち許さんつもりでしたけん」

「奥様と、同じ理由ですか? それとも僕が魔族のハーフだから、不倶戴天の敵同士とは」

「シケたこと抜かすなや! それでも一国の領主かおめえは!」

 僕の言葉を、義父さんは一蹴した。

「おめえが魔族だろうが、スライムの末裔だろうが、そんなモンどうでもええんじゃ! んなことで結婚を許さんとか言うて追ったら、どんだけ器が小さいんじゃ!」

 義父さんが、ボクに活を入れる。
 でもよかった。偏見はないみたいだ。ドラゴン族は、魔族を目の敵にしていると思ったから。

「父親が娘の結婚許さん理由は、万国共通じゃろうが!」

「それは、どのような理由ですか?」

「『娘はやらん!』と、言いたいだけじゃ!」

 どの理由より、器が小さい! 

「男親っちゅうんはな、かわいい娘を男にやるんに、そうとうな覚悟がいるんじゃ! 覚えておけ! おめえも、父親になったらわかるわい!」

「は、はあ……で、どうやったら認めていただけるので?」

「簡単じゃ。ワシと勝負せい」

 ドラゴンと、戦えと?
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