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第六章 最終決戦
第59話 魔王、真の目的
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「ディートヘルム王子よ、なんと禍々しい。それが、魔物の血を受け継ぐ貴様の歪さか。しかし腕が増えたくらいで、この絶対的な差は埋められると思うなかれ。くらえ!」
魔王が、僕を叩き潰そうと、魔法を詠唱する。配下の魔物を養分として、特大の火炎魔法を作り出す気だ。まだ、自分の優位は揺るがないと見える。
愚かな。一人で戦い、目に入る者はすべて自分の糧であると思いこんでいるのか。
大事なのは、隣人と手を取り合うことだ。相手から奪っていては、得られるモノはたかが知れている。奪われたモノたちから、裏切られるのだ。彼らが従っているのは、そのおこぼれをもらえるから。このバケモノに敬意を持っているからではない。
「その傲慢さが、お前の敗因だ!」
「ワシは、まだ負けておらん!」
「今から、負けるんだよ!」
魔王の火球を、僕は真正面から受け止めた。
「バカな。自分から撃たれてに行くとは……なあ!?」
魔王の炎を、僕はすべて吸収する。
「なぜだ!? ボニファティウスに、そんなスキルなど」
「たしかに、僕にはないよ。でもさ、僕が手に持っているものに着目すべきだったね」
僕は、リユのカタナを魔王に見せる。
【魔改造】を施し、火の魔法を吸い取れるようにしていたのだ。
「この特大魔法、お前に返す! 自分の技で死ぬがいい!」
カタナ状にした火炎魔法で、魔王の腹を突き刺す。
「ぬごおおおおお!」
「今だ!」
僕は、魔王の腹の中へ。
こんなデカブツの攻略法は、昔から「体内に入って内側から壊す」に限る。クジラ型キメラで学んだよ。
「やっぱ、本体はこっちか」
魔王の体内に、カイムーン王がいた。王子に歳を取らせた感じの、老人である。こいつもまた、魔王に身体を乗っ取られた口だろう。
「おのれ。貴様のせいで、カイムーンの安泰は潰えた。責任をもって死ね」
「あいにく、僕は帰る場所があるからな」
「ならば、その帰る場所もろとも消えてなくなれ!」
老人が、魔王の身体に剣を突き刺す。
「何をした?」
「アウゴエイデスごと、この地を吹き飛ばす! お前の先祖、ディートリンデがやろうとしていたことだ!」
狂気的な笑い声を上げながら、老人は言い放つ。
先祖が言っていた最終兵器とは、これだったのか。
「お前らに勝ち目など、最初からなかった」
魔王領の地下でこのアウゴエイデスを発見したときには、カイムーンは魔王にとりつかれた。魔王の傀儡として、生きることを余儀なくされたのだ。
「魔王の目的は、シンクレーグの破壊。そこに眠る、ディートリンデのアウゴエイデスと対消滅すること。この爆発による毒は魔族以外の人種に作用し、人間族だけを滅ぼす。魔王が死んでも、魔族が世界を制覇するのである。今、その悲願が成就する!」
「だからディートリンデの一族は、人と交わったのか。人間に可能性を残すため」
「人間に可能性など、忌々しい! 人は魔族の家畜! ただの養分だ! 養分がしゃべるな!」
なんつう、選民思想だ。
世界が、魔族を嫌うわけだな。
「爆発なんて、させない!」
「ムダだ。もはやこの爆発は止められぬ! 今回の爆発は、竜族さえ耐えられまい!」
「……それは、言うべきじゃなかったな」
なんとしても、止める理由を作ってしまうとはね。
魔王が、僕を叩き潰そうと、魔法を詠唱する。配下の魔物を養分として、特大の火炎魔法を作り出す気だ。まだ、自分の優位は揺るがないと見える。
愚かな。一人で戦い、目に入る者はすべて自分の糧であると思いこんでいるのか。
大事なのは、隣人と手を取り合うことだ。相手から奪っていては、得られるモノはたかが知れている。奪われたモノたちから、裏切られるのだ。彼らが従っているのは、そのおこぼれをもらえるから。このバケモノに敬意を持っているからではない。
「その傲慢さが、お前の敗因だ!」
「ワシは、まだ負けておらん!」
「今から、負けるんだよ!」
魔王の火球を、僕は真正面から受け止めた。
「バカな。自分から撃たれてに行くとは……なあ!?」
魔王の炎を、僕はすべて吸収する。
「なぜだ!? ボニファティウスに、そんなスキルなど」
「たしかに、僕にはないよ。でもさ、僕が手に持っているものに着目すべきだったね」
僕は、リユのカタナを魔王に見せる。
【魔改造】を施し、火の魔法を吸い取れるようにしていたのだ。
「この特大魔法、お前に返す! 自分の技で死ぬがいい!」
カタナ状にした火炎魔法で、魔王の腹を突き刺す。
「ぬごおおおおお!」
「今だ!」
僕は、魔王の腹の中へ。
こんなデカブツの攻略法は、昔から「体内に入って内側から壊す」に限る。クジラ型キメラで学んだよ。
「やっぱ、本体はこっちか」
魔王の体内に、カイムーン王がいた。王子に歳を取らせた感じの、老人である。こいつもまた、魔王に身体を乗っ取られた口だろう。
「おのれ。貴様のせいで、カイムーンの安泰は潰えた。責任をもって死ね」
「あいにく、僕は帰る場所があるからな」
「ならば、その帰る場所もろとも消えてなくなれ!」
老人が、魔王の身体に剣を突き刺す。
「何をした?」
「アウゴエイデスごと、この地を吹き飛ばす! お前の先祖、ディートリンデがやろうとしていたことだ!」
狂気的な笑い声を上げながら、老人は言い放つ。
先祖が言っていた最終兵器とは、これだったのか。
「お前らに勝ち目など、最初からなかった」
魔王領の地下でこのアウゴエイデスを発見したときには、カイムーンは魔王にとりつかれた。魔王の傀儡として、生きることを余儀なくされたのだ。
「魔王の目的は、シンクレーグの破壊。そこに眠る、ディートリンデのアウゴエイデスと対消滅すること。この爆発による毒は魔族以外の人種に作用し、人間族だけを滅ぼす。魔王が死んでも、魔族が世界を制覇するのである。今、その悲願が成就する!」
「だからディートリンデの一族は、人と交わったのか。人間に可能性を残すため」
「人間に可能性など、忌々しい! 人は魔族の家畜! ただの養分だ! 養分がしゃべるな!」
なんつう、選民思想だ。
世界が、魔族を嫌うわけだな。
「爆発なんて、させない!」
「ムダだ。もはやこの爆発は止められぬ! 今回の爆発は、竜族さえ耐えられまい!」
「……それは、言うべきじゃなかったな」
なんとしても、止める理由を作ってしまうとはね。
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