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第六章 最終決戦
第51話 ボニファティウス防衛戦
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シンクレーグから、南バリナン王をボニファティウスまで連れてきた。
治療後、大事には至らなったが、娘の精神的ショックが大きい。
「しばらく、お世話になってもいいですか?」
「気が済むまで、滞在なさってください……む!?」
突然、地響きが鳴り出す。外で、何かがあったようだ。
衛兵たちが飛んできた。文字通りの意味で、壁を突き抜けてふっとばされたのだ。
「おい、無事か!?」
「平気です。しかし、お逃げください、王子!」
兵士が、壊れた壁の向こうを指差す。
大型のキメラが、城の内部に入ってきた。
「キメラじゃ、ディータ! ライオンとサソリと、ケンタウロスじゃと!?」
現れたのは、サソリの甲羅をまとったケンタウロスだ。
「パピルサグだ!」
神話級に強いモンスターじゃないか。
こんなのが、ボニファティウスに攻めてくるとは。
「僕は残る! 国王とバリナン王たちを守護してくれ」
「しかし」
「行けって、邪魔だ!」
「……御意」
王たちを連れて、兵士が逃げる。
「させるか!」
「おっと。おめえの相手はアタシじゃ!」
国王を狙ったパピルサグのしっぽ攻撃を、リユが大剣で弾き飛ばした。
「小娘が。勝てると思うな!」
「アタシを小娘と侮って生きとったやつはおらんのじゃ!」
リユが剣に、紅蓮の炎をまとわせる。
「その硬そうな甲羅、焼き切ってくれるわ!」
パピルサグの胴体に、リユが灼熱の剣を打ち込む。
しかし、剣はリユの剣すら受け付けない。
これまで幾多のデーモンロードを葬ってきたリユの武器が、弾き飛ばされた。相手を押し出すだけで、装甲に傷一つ付けられない。
「見事な火炎の剣! だが、魔王から力を直接いただいた我に、生半可な攻撃は効かぬ!」
パピルサグのしっぽが、リユの頭部に迫ってきた。
「リユ下がって! ここからは、僕が相手だ」
しっぽ攻撃を、僕はサーベルで叩き落とす。
「魔王はカイムーン王から、完全に覚醒した! もはや、正体を隠す必要もなくなった! これからは、魔族の時代が来る!」
「そうはいくか。【魔改造】!」
僕は、さっそく新しい力を試す。このパピルサグには、的になってもらおう。
「人の分際で、魔族の力を扱うとは。身の程を知るがよい」
パピルサグが、サソリの尾で攻撃してきた。
「それは、こっちのセリフだよ」
僕は新しい剣で、パピルサグの攻撃を弾く。
「神の攻撃を、二度もあっさりと。貴様、ディートリンデの!」
「そうだ。ディートリンデの攻撃に、耐えられるか?」
背中から、僕は幻の腕を大量に召喚した。今までは四本が限界だったが、今は無限に出てくる。
「連続パンチ!」
幻の拳を、分厚い装甲に覆われたパピルサグの皮膚に叩き込む。
「フン、破城鎚すら通さぬわが装甲を、破れ……たぁ!?」
パピルサグの装甲に、あっさりヒビが入った。
「連続パンチ連続パンチ連続パンチ!」
装甲が剥がれた箇所に、何度もパンチを浴びせる。
「ぐべべべべ!」
背中や顔面に拳を打ち込まれ、パピルサグの肉体は崩壊し始めた。
神話級と言われているモンスターを、僕は翻弄している。
「バカな。魔王の力を授かって、我は無敵になったはず!?」
「素体が悪いと、こうなるんだ!」
受け継いだだけでは、過ぎた力は使いこなせない。力に溺れるだけ。
「トドメだ。【電光石火】!」
ボロボロになったパピルサグの心臓部に、雷のスキルを突き刺す。
「そんな!? デーモンロード級のキメラである我が、人間ごときに」
「人間だと侮ったのが、お前の敗因だ」
消滅したキメラに、僕は吐き捨てた。
しかし、自分でも驚いている。ここまで強くなっているなんて。
デーモンロードすら、物の数ではない。
「リユ、まずはボニファティウスの安全を確保する、手伝って」
「任せんかい!」
大剣を担ぎ、リユが吠える。
治療後、大事には至らなったが、娘の精神的ショックが大きい。
「しばらく、お世話になってもいいですか?」
「気が済むまで、滞在なさってください……む!?」
突然、地響きが鳴り出す。外で、何かがあったようだ。
衛兵たちが飛んできた。文字通りの意味で、壁を突き抜けてふっとばされたのだ。
「おい、無事か!?」
「平気です。しかし、お逃げください、王子!」
兵士が、壊れた壁の向こうを指差す。
大型のキメラが、城の内部に入ってきた。
「キメラじゃ、ディータ! ライオンとサソリと、ケンタウロスじゃと!?」
現れたのは、サソリの甲羅をまとったケンタウロスだ。
「パピルサグだ!」
神話級に強いモンスターじゃないか。
こんなのが、ボニファティウスに攻めてくるとは。
「僕は残る! 国王とバリナン王たちを守護してくれ」
「しかし」
「行けって、邪魔だ!」
「……御意」
王たちを連れて、兵士が逃げる。
「させるか!」
「おっと。おめえの相手はアタシじゃ!」
国王を狙ったパピルサグのしっぽ攻撃を、リユが大剣で弾き飛ばした。
「小娘が。勝てると思うな!」
「アタシを小娘と侮って生きとったやつはおらんのじゃ!」
リユが剣に、紅蓮の炎をまとわせる。
「その硬そうな甲羅、焼き切ってくれるわ!」
パピルサグの胴体に、リユが灼熱の剣を打ち込む。
しかし、剣はリユの剣すら受け付けない。
これまで幾多のデーモンロードを葬ってきたリユの武器が、弾き飛ばされた。相手を押し出すだけで、装甲に傷一つ付けられない。
「見事な火炎の剣! だが、魔王から力を直接いただいた我に、生半可な攻撃は効かぬ!」
パピルサグのしっぽが、リユの頭部に迫ってきた。
「リユ下がって! ここからは、僕が相手だ」
しっぽ攻撃を、僕はサーベルで叩き落とす。
「魔王はカイムーン王から、完全に覚醒した! もはや、正体を隠す必要もなくなった! これからは、魔族の時代が来る!」
「そうはいくか。【魔改造】!」
僕は、さっそく新しい力を試す。このパピルサグには、的になってもらおう。
「人の分際で、魔族の力を扱うとは。身の程を知るがよい」
パピルサグが、サソリの尾で攻撃してきた。
「それは、こっちのセリフだよ」
僕は新しい剣で、パピルサグの攻撃を弾く。
「神の攻撃を、二度もあっさりと。貴様、ディートリンデの!」
「そうだ。ディートリンデの攻撃に、耐えられるか?」
背中から、僕は幻の腕を大量に召喚した。今までは四本が限界だったが、今は無限に出てくる。
「連続パンチ!」
幻の拳を、分厚い装甲に覆われたパピルサグの皮膚に叩き込む。
「フン、破城鎚すら通さぬわが装甲を、破れ……たぁ!?」
パピルサグの装甲に、あっさりヒビが入った。
「連続パンチ連続パンチ連続パンチ!」
装甲が剥がれた箇所に、何度もパンチを浴びせる。
「ぐべべべべ!」
背中や顔面に拳を打ち込まれ、パピルサグの肉体は崩壊し始めた。
神話級と言われているモンスターを、僕は翻弄している。
「バカな。魔王の力を授かって、我は無敵になったはず!?」
「素体が悪いと、こうなるんだ!」
受け継いだだけでは、過ぎた力は使いこなせない。力に溺れるだけ。
「トドメだ。【電光石火】!」
ボロボロになったパピルサグの心臓部に、雷のスキルを突き刺す。
「そんな!? デーモンロード級のキメラである我が、人間ごときに」
「人間だと侮ったのが、お前の敗因だ」
消滅したキメラに、僕は吐き捨てた。
しかし、自分でも驚いている。ここまで強くなっているなんて。
デーモンロードすら、物の数ではない。
「リユ、まずはボニファティウスの安全を確保する、手伝って」
「任せんかい!」
大剣を担ぎ、リユが吠える。
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