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第五章 魔王の墓へ
第48話 祖母との戦闘、決着!
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「なるほど、わかりました、ディートヘルム。それがあなたの強さなのですか。その甘さは、シンクレーグには不要!」
さっきまで戦意喪失気味だった祖母が、息を吹き返す。死人に対して「息を吹き返す」とか、変だけど。
紫電の【電光石火】と、僕が放つ黄金色の【電光石火】が、火花を散らす。
だが、僕の武器「ナイブズアウト」は、ナイフのように短くなっていた。
こちらの速度は上がっている上に、祖母の武器も壊れている。が、スキル【電光石火】のリーチはあちらの方が上だった。
「あなたが仲間によって支えられていることは、わかりました。ですが、仲間が犠牲になるとは考えなかったのですか? 仲間がいたせいで、危機に陥ったことだってあるはず」
祖母の口ぶりからして、あまりいい仲間に恵まれなかったようだ。南バリナンに技術提供したら、利益をノウハウごと奪われたこともあったらしいし。
「僕は仲間に、足を引っ張られたと思ったことはない」
「今はなくても、そのうちにわかります。あなたの【魔改造】スキルは、悪用されます」
「だから僕に、ひっそりを生きろというのか」
あなたと同じように、精霊だけに見守られながら。
「そうです。孤高こそ至高。優れたものに、仲間は不要なのです」
なるほど。シンクレーグが滅びた原因はよくわかった。誰も信用していなかったからなのだろう。「誰も巻き添えにしたくない」といいながら、真相は、自分が傷つきたくなかっただけなんだ。
「あんたがそんなに弱い人間だとは、おもわなかったよ。おばあさま」
祖母の脆さを、僕は垣間見た。
「おだまりなさい! あなたには才能があります。その才を、他の誰かに捧げれば、相手は増長し、あなたを利用する!」
「あんたの場合は、相手が悪すぎた。僕だって、いたずらに仲間の数を増やしたわけじゃない!」
みんな、僕を頼るでもなく集まってくれたんだ。
僕という個人を、認めてくれている。
「友を思う気持ち、それがあなたを強くして……」
ナイブズアウトが、祖母によって壊された。
「……あなたを弱くした」
祖母の剣の切っ先がヘビのように、僕のノドへと迫る。
「かもしれない。だが、僕にとっては、あなたも友だ!」
僕はためらわず、祖母に向けて両手を広げた。一歩一歩、歩を進める。
「よけなさいディートヘルム! 避けて!」
祖母の剣先が、それた。僕の頬をわずかにえぐっただけで。
僕は、祖母を抱きしめる。
「おばあさま、一人ぼっちで全部抱え込むな! それは弱さだ。誰も、あなたを否定したりはしない!」
腕に力を込めると、祖母ディートリンデも抱き返してくれた。
「見事です。参りました。私にもあなたのような仲間を信じる力があれば、シンクレーグを荒野にしなかった」
祖母の力が、僕に染み込んでいく。
同時に、祖母の姿がぼやけていった。お別れなのか。
しかし、消えゆく祖母の笑顔は、ずっと穏やかなものだった。
さっきまで戦意喪失気味だった祖母が、息を吹き返す。死人に対して「息を吹き返す」とか、変だけど。
紫電の【電光石火】と、僕が放つ黄金色の【電光石火】が、火花を散らす。
だが、僕の武器「ナイブズアウト」は、ナイフのように短くなっていた。
こちらの速度は上がっている上に、祖母の武器も壊れている。が、スキル【電光石火】のリーチはあちらの方が上だった。
「あなたが仲間によって支えられていることは、わかりました。ですが、仲間が犠牲になるとは考えなかったのですか? 仲間がいたせいで、危機に陥ったことだってあるはず」
祖母の口ぶりからして、あまりいい仲間に恵まれなかったようだ。南バリナンに技術提供したら、利益をノウハウごと奪われたこともあったらしいし。
「僕は仲間に、足を引っ張られたと思ったことはない」
「今はなくても、そのうちにわかります。あなたの【魔改造】スキルは、悪用されます」
「だから僕に、ひっそりを生きろというのか」
あなたと同じように、精霊だけに見守られながら。
「そうです。孤高こそ至高。優れたものに、仲間は不要なのです」
なるほど。シンクレーグが滅びた原因はよくわかった。誰も信用していなかったからなのだろう。「誰も巻き添えにしたくない」といいながら、真相は、自分が傷つきたくなかっただけなんだ。
「あんたがそんなに弱い人間だとは、おもわなかったよ。おばあさま」
祖母の脆さを、僕は垣間見た。
「おだまりなさい! あなたには才能があります。その才を、他の誰かに捧げれば、相手は増長し、あなたを利用する!」
「あんたの場合は、相手が悪すぎた。僕だって、いたずらに仲間の数を増やしたわけじゃない!」
みんな、僕を頼るでもなく集まってくれたんだ。
僕という個人を、認めてくれている。
「友を思う気持ち、それがあなたを強くして……」
ナイブズアウトが、祖母によって壊された。
「……あなたを弱くした」
祖母の剣の切っ先がヘビのように、僕のノドへと迫る。
「かもしれない。だが、僕にとっては、あなたも友だ!」
僕はためらわず、祖母に向けて両手を広げた。一歩一歩、歩を進める。
「よけなさいディートヘルム! 避けて!」
祖母の剣先が、それた。僕の頬をわずかにえぐっただけで。
僕は、祖母を抱きしめる。
「おばあさま、一人ぼっちで全部抱え込むな! それは弱さだ。誰も、あなたを否定したりはしない!」
腕に力を込めると、祖母ディートリンデも抱き返してくれた。
「見事です。参りました。私にもあなたのような仲間を信じる力があれば、シンクレーグを荒野にしなかった」
祖母の力が、僕に染み込んでいく。
同時に、祖母の姿がぼやけていった。お別れなのか。
しかし、消えゆく祖母の笑顔は、ずっと穏やかなものだった。
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