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第五章 魔王の墓へ
第47話 先代破れたり
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まあ、余裕を見せているものの、未だ突破口は開けていない。
終始押され気味だ。
祖母の攻撃は圧倒的で、こちらが反撃をするスキを与えない。
まさに、「祖母 第二形態」というべき変貌ぶりだ。
さっきまでより、遥かに強い。
「どうもヘニーの探索が早く終わったと思ったら、あなたの手引だったのですね?」
「ああでもしないと、あなたはいつまで経っても試練に向かわないでしょうから」
「こちらは、魔王退治より優先すべきことが多すぎて」
商売の安定や外敵の駆除を、忘れてはいられなかった。そのせいで、祖母の墓に花を置く時間もなく。
「領土の平定は、結構なことです。ですが、なにより魔王退治こそ先決かと」
「だが、寄り道をしたからこそ、見えてきた世界がある」
「世界は待ってくれませんよ、ディートヘルム!」
祖母ディートリンデが、僕の武器を破壊した。
ナイブズアウトのつなぎ目が、砕け散る。
「不甲斐ない。我が孫が、こんなにも弱いなんて」
「弱い、僕がですか」
「ええ。あなたには見込みがありました。世界の大局を見極められるあなただから、魔改造の技術を託したのに。他の兄弟姉妹では、頭が固すぎて適応できませんでしたから」
根っからの冒険者器質だったからね、僕は。
「頂点へは、才能だけでは到達できません。成長があってこそ、道は開けるのです。あなたはそれを怠った」
「いいえ。成長だけでも到達できない領域があると、気付かされたのです」
「なにを……な!?」
ナイブズアウトの破片が、祖母を取り囲んだ。
「これは、束縛の魔法!?」
「ヘニーから教わったニワカ仕込みですが、不意打ちには最適かと!」
ただ、足を使えなくしただけ。
動ける右手で、祖母は武器を展開する。
「そこから!」
カガシの脚力を使って、攻撃から逃げ回った。
「やりますね。だが、いつまでもつか」
「だから?」
僕は自分のヨロイを脱ぎ、すべて武器に変換する。
「そんな技まで!」
「これはレフィーメの!」
こちらも、祖母の武器を破壊した。
「さすがです! それでも詰めが甘い!」
祖母も最後の切り札、幻影の腕を展開する。
「リユ……僕に力を!」
僕の幻影の腕すべてに、リユの火炎魔法が展開された。
「なあ!?」と、祖母が唖然となる。
炎の刃となった僕の腕が、祖母の幻影腕を全部切り落とす。
だが、僕は祖母を斬り捨てなかった。
「なぜ、とどめを刺さないのです?」
「そこまでする必要はありません。試練は、終わりです」
僕が告げると、祖母は微笑む。
「僕はこれまで、自分一人で生きていると思った。自分ががんばれば、道は自ずと開くと。しかし違った。祖母よ、あなたの教えで唯一間違っていたのは、他人を信じること」
それだけは、教わらなかった。
祖母も、一人ぼっちだったから。
終始押され気味だ。
祖母の攻撃は圧倒的で、こちらが反撃をするスキを与えない。
まさに、「祖母 第二形態」というべき変貌ぶりだ。
さっきまでより、遥かに強い。
「どうもヘニーの探索が早く終わったと思ったら、あなたの手引だったのですね?」
「ああでもしないと、あなたはいつまで経っても試練に向かわないでしょうから」
「こちらは、魔王退治より優先すべきことが多すぎて」
商売の安定や外敵の駆除を、忘れてはいられなかった。そのせいで、祖母の墓に花を置く時間もなく。
「領土の平定は、結構なことです。ですが、なにより魔王退治こそ先決かと」
「だが、寄り道をしたからこそ、見えてきた世界がある」
「世界は待ってくれませんよ、ディートヘルム!」
祖母ディートリンデが、僕の武器を破壊した。
ナイブズアウトのつなぎ目が、砕け散る。
「不甲斐ない。我が孫が、こんなにも弱いなんて」
「弱い、僕がですか」
「ええ。あなたには見込みがありました。世界の大局を見極められるあなただから、魔改造の技術を託したのに。他の兄弟姉妹では、頭が固すぎて適応できませんでしたから」
根っからの冒険者器質だったからね、僕は。
「頂点へは、才能だけでは到達できません。成長があってこそ、道は開けるのです。あなたはそれを怠った」
「いいえ。成長だけでも到達できない領域があると、気付かされたのです」
「なにを……な!?」
ナイブズアウトの破片が、祖母を取り囲んだ。
「これは、束縛の魔法!?」
「ヘニーから教わったニワカ仕込みですが、不意打ちには最適かと!」
ただ、足を使えなくしただけ。
動ける右手で、祖母は武器を展開する。
「そこから!」
カガシの脚力を使って、攻撃から逃げ回った。
「やりますね。だが、いつまでもつか」
「だから?」
僕は自分のヨロイを脱ぎ、すべて武器に変換する。
「そんな技まで!」
「これはレフィーメの!」
こちらも、祖母の武器を破壊した。
「さすがです! それでも詰めが甘い!」
祖母も最後の切り札、幻影の腕を展開する。
「リユ……僕に力を!」
僕の幻影の腕すべてに、リユの火炎魔法が展開された。
「なあ!?」と、祖母が唖然となる。
炎の刃となった僕の腕が、祖母の幻影腕を全部切り落とす。
だが、僕は祖母を斬り捨てなかった。
「なぜ、とどめを刺さないのです?」
「そこまでする必要はありません。試練は、終わりです」
僕が告げると、祖母は微笑む。
「僕はこれまで、自分一人で生きていると思った。自分ががんばれば、道は自ずと開くと。しかし違った。祖母よ、あなたの教えで唯一間違っていたのは、他人を信じること」
それだけは、教わらなかった。
祖母も、一人ぼっちだったから。
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