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第四章 海賊退治と黒幕

第40話 黒幕は誰だ?

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 国がひとつ消滅って、物騒だな。
 さっきまで僕にしがみついていたリユでさえ、身体を自然と離す。

「崩壊とかじゃなくて、消滅なんだ」

「そう。ドカーンと一発で」

 アルビーナ姉さんから、写真を見せてもらった。壊滅したキルリーズが、痛々しい。

「魔王がやったのか?」

「多分」

 王城だけではなく、住民にも死傷者が多数出ているらしい。

「ひどいのう」

 調査資料を見て、リユも苦い顔をした。

「生存者はバリナンで保護しているけど、国が一個なくなっちゃったからね。どうしようかと」

 ただでさえバリナンは、二つの国を管理するようになったばかりだ。そこにもう一国分の国力が必要となると、骨が折れるだろう。

「復旧作業を、シンクレーグも手伝います」

 ちょうど、幽霊船で得た財宝も持て余していたところだ。存分に活用しよう。

「ですが、そんなピンポイントに国を滅ぼせるなんて。キルリーズって、そんなに派手な活動をしていましたか?」

 ヘニーが手を上げて、アルビーナ姉さんに問いかける。

「どちらかというと、裏工作担当よ。表舞台に立つような存在では、ないわね」

「では、用なしになって処分されたと」

「一連の工作活動が失敗に終わって、処理されたんでしょうね」

 姉さんはいうが、僕の考えは違う。

「魔族さえ利用していることが、バレたんじゃ?」

「たしかにそうね。従属しているとはいえ、可能な限り対等な関係にまでもっていきたかったはず。ことごとく失敗しまくったけど」

 ピドー王や娘のペカディア姫などは、イケニエに捧げられたのでは。

「ヒューテインも国や住民をイケニエにして、力を得ていた。だがキルリーズは、元のままだったみたい。従うフリをして、反抗を画策していた?」

 生存者である王族関係者から、聞いた話だそうだ。

 もちろん、善行に目覚めたわけではない。自分たちで魔族を支配しようと考えていたという。無謀な作戦だが。

「しかし、どこからか情報が漏れて、発覚した。それゆえに処刑されたと」

「そう考えたら、辻褄が合うわね」

「情報漏洩の出どころに、心当たりは?」

「一つだけ」

 姉さんが指を一本立てる。

「問題です。この三国が壊滅して一番得をする国はどーこだ?」

「ウチじゃ。シンクレーグじゃろ?」

 リユの回答に、姉さんは「ブッブー」と、両手でバツを作った。

「たしかに目の上のコブは、消え去るわ。でも、シンクレーグは直接のダメージを負っていたわけじゃない」

 バリナンと直接交易していたから、僕たちのほうが優位に立っている。彼らが欲しがっていた、海も手に入れていたし。

「大ヒント。ねえカガシちゃん、あなたはさる国からシンクレーグの領主の悪評を聞いて、バリナン経由でシンクレーグに来たんだよね?」

「え、ええ。シンクレーグの領主は、エィヒメの令嬢をそそのかしていると」

 なんだそれ、初めて聞いたぞ!

「その悪評を、どこから聞いたのかな?」

「北東。カイムーン王からの伝達で」

 カイムーン!

「僕が婚約破棄された、原因になった国じゃないか!」

 ソラドロアの姫が僕との結婚を解消したのは、カイムーンの王子と結婚するためだった。
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