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第四章 海賊退治と黒幕
第32話 初夜と、港町完成
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一ヶ月後、港町は完成した。
こちらにも、冒険者ギルドを設けてある。
『機械であるこのワタクシめまで、招待してくださるとは。領主ディータ殿下、お心遣い感謝いたします』
港町の開発には、機動執事であるトラマルにも同行してもらった。彼は、僕が廃城から掘り起こした、アイアンゴーレムである。城の内務がほぼ終わったので、こちらにもチェックしに来てもらったのだ。
『ふむふむ、実に見事な造形ですな。これは、色々とはかどるかと』
何をはかどらせろと?
『城の寝室は本当に、着替えるか寝るためだけの場所でしたからな。機械の体を持ちながら、なにか物足りなさを感じておりました。やはり娯楽性においては、人間の手を借りるのが一番だったのですなあ』
コイツ、楽しんでやがる。お前の考え方が一番人間らしいって、気づこうね?
「いやはや、トラマル殿の寝室を拝見したときの見事さときたら。殺風景とはいえど、人間工学に基づいた実に快適な作りで、疲労解消に特化したデザインで感服いたしましたぞ」
『身に余る光栄です。カガシ様』
竜族とゴーレム族が、謎の結託をはじめましたよ。
「ではご両人、あとはごゆるりと。ぜひ泊まり心地をご確認ください」
『わたくしめは、周辺の偵察して、不足の品がないかチェックいたします』
カガシとトラマルは、出ていってしまった。
「まったく」
「ええではないですか、おめえ様。ロケーションは、最高じゃぞ」
トロピカルジュースに口をつけながら、リユがベランダに出る。リユの姿は、浴衣という東洋の着物だった。僕も、おそろいの浴衣を着ている。
「たしかにね、いい景色だ」
見渡す限りの、オーシャンビューだ。室内には、内湯もある。これで不快なはずがない。
魔法処理のされた強化ガラスで、海賊からの迎撃にも対処できる。
僕は、リユのすぐ隣に腰掛けた。足湯の状態で、内湯に浸かる。
「海賊さえ出なんだら、最高なんじゃがのう。これでは、おちおちイチャラブもできんぞ」
「だね。本格的なデートは、海賊をやっつけてからにしようか」
ここは港町でありつつ、海上要塞だ。
結局、浅瀬の険しい岩山の処理には手間取った。ヘタに土地をいじると、生態系が死ぬ可能性が発生したのである。
そのため、浅瀬の上に地盤を作って、都市を建造したのである。出島であるシンクレーグから、さらに出っ張る形となった。
海での交流は容易になったが、海賊共の格好のエジキになる。それを逆手に取って、海上要塞として機能させることにしたのだ。あえて海賊共の海路を断つ目的で建築している。
「ダンナ様。アタシはやっぱり、デートはできるうちにしたいですけん」
「そういうけどさ、リユ。僕たちって、偽装結婚だよね」
僕が問いかけると、リユがクスリと笑う。
「おめえ様、いつまで偽装だと、思っていたのですかのう?」
「いや、その」
自分をごまかすために、僕もトロピカルジュースでノドを潤した。
「アタシの心は、とっくにおめえ様のものです。もう偽装とかは関係ないですけん」
「僕も、同じ気持ちだ。でも早急すぎないか?」
「こういうのに、早いも遅いも重要なんですかのう?」
リユが、僕の肩に頭を置く。僕と恋人つなぎをしながら。
「いいの?」
「ダンナ様、いいこと教えますけん。こういうのは、女に聞いたらいけません」
一夜明けて、僕は横で眠るリユに声をかけた。
「大丈夫?」
「まだ夢を見ているようじゃ」
リユは、目がうつろになっている。
「おまえ様、ちっこいなりしてとんでもないのう。どこまで押し込まれるんかと」
「やめなさいっ」
僕は、リユを引っ張って起こす。
『お休みのところ申し訳ございません、ディータ様。一大事でございます』
トラマルに急かされて、港町に作った冒険者ギルドまで向かう。
なにやら、あたりが騒々しくなってきた。
「海賊が、本格的に動きだしたようです!」
ヘニーから、報告を受ける。
来たか。
「敵の総大将は、行方不明になっていたピドーの国王。彼はスケルトンキングを名乗り、海賊船を取り仕切っている」
アンデッドということは、彼は僕たちが追っている時点で死んでいたのだろう。
「盛大に出迎えてやろう。迎撃準備!」
僕たちは、自分たちで建造した船で、幽霊船退治へと向かった。
こちらにも、冒険者ギルドを設けてある。
『機械であるこのワタクシめまで、招待してくださるとは。領主ディータ殿下、お心遣い感謝いたします』
港町の開発には、機動執事であるトラマルにも同行してもらった。彼は、僕が廃城から掘り起こした、アイアンゴーレムである。城の内務がほぼ終わったので、こちらにもチェックしに来てもらったのだ。
『ふむふむ、実に見事な造形ですな。これは、色々とはかどるかと』
何をはかどらせろと?
『城の寝室は本当に、着替えるか寝るためだけの場所でしたからな。機械の体を持ちながら、なにか物足りなさを感じておりました。やはり娯楽性においては、人間の手を借りるのが一番だったのですなあ』
コイツ、楽しんでやがる。お前の考え方が一番人間らしいって、気づこうね?
「いやはや、トラマル殿の寝室を拝見したときの見事さときたら。殺風景とはいえど、人間工学に基づいた実に快適な作りで、疲労解消に特化したデザインで感服いたしましたぞ」
『身に余る光栄です。カガシ様』
竜族とゴーレム族が、謎の結託をはじめましたよ。
「ではご両人、あとはごゆるりと。ぜひ泊まり心地をご確認ください」
『わたくしめは、周辺の偵察して、不足の品がないかチェックいたします』
カガシとトラマルは、出ていってしまった。
「まったく」
「ええではないですか、おめえ様。ロケーションは、最高じゃぞ」
トロピカルジュースに口をつけながら、リユがベランダに出る。リユの姿は、浴衣という東洋の着物だった。僕も、おそろいの浴衣を着ている。
「たしかにね、いい景色だ」
見渡す限りの、オーシャンビューだ。室内には、内湯もある。これで不快なはずがない。
魔法処理のされた強化ガラスで、海賊からの迎撃にも対処できる。
僕は、リユのすぐ隣に腰掛けた。足湯の状態で、内湯に浸かる。
「海賊さえ出なんだら、最高なんじゃがのう。これでは、おちおちイチャラブもできんぞ」
「だね。本格的なデートは、海賊をやっつけてからにしようか」
ここは港町でありつつ、海上要塞だ。
結局、浅瀬の険しい岩山の処理には手間取った。ヘタに土地をいじると、生態系が死ぬ可能性が発生したのである。
そのため、浅瀬の上に地盤を作って、都市を建造したのである。出島であるシンクレーグから、さらに出っ張る形となった。
海での交流は容易になったが、海賊共の格好のエジキになる。それを逆手に取って、海上要塞として機能させることにしたのだ。あえて海賊共の海路を断つ目的で建築している。
「ダンナ様。アタシはやっぱり、デートはできるうちにしたいですけん」
「そういうけどさ、リユ。僕たちって、偽装結婚だよね」
僕が問いかけると、リユがクスリと笑う。
「おめえ様、いつまで偽装だと、思っていたのですかのう?」
「いや、その」
自分をごまかすために、僕もトロピカルジュースでノドを潤した。
「アタシの心は、とっくにおめえ様のものです。もう偽装とかは関係ないですけん」
「僕も、同じ気持ちだ。でも早急すぎないか?」
「こういうのに、早いも遅いも重要なんですかのう?」
リユが、僕の肩に頭を置く。僕と恋人つなぎをしながら。
「いいの?」
「ダンナ様、いいこと教えますけん。こういうのは、女に聞いたらいけません」
一夜明けて、僕は横で眠るリユに声をかけた。
「大丈夫?」
「まだ夢を見ているようじゃ」
リユは、目がうつろになっている。
「おまえ様、ちっこいなりしてとんでもないのう。どこまで押し込まれるんかと」
「やめなさいっ」
僕は、リユを引っ張って起こす。
『お休みのところ申し訳ございません、ディータ様。一大事でございます』
トラマルに急かされて、港町に作った冒険者ギルドまで向かう。
なにやら、あたりが騒々しくなってきた。
「海賊が、本格的に動きだしたようです!」
ヘニーから、報告を受ける。
来たか。
「敵の総大将は、行方不明になっていたピドーの国王。彼はスケルトンキングを名乗り、海賊船を取り仕切っている」
アンデッドということは、彼は僕たちが追っている時点で死んでいたのだろう。
「盛大に出迎えてやろう。迎撃準備!」
僕たちは、自分たちで建造した船で、幽霊船退治へと向かった。
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