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第四章 海賊退治と黒幕
第34話 クジラ型キメラ 対 移動要塞
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「なんという、大胆な」
「ディータには、事前に頼まれていた。高速艇か、大型要塞か」
レフィーメと吟味した結果、移動要塞にした。高速艇は加減が難しい上に、速度限界もある。ならば、コストはかかるが防御を強めることにしたのだ。
移動要塞の方に乗組員を避難させ、砲台の操作に回す。
ドン、と砲台が火炎弾を放つ。
火炎に包まれた砲弾が、触手を引きちぎった。
「なんと!? 無敵であるはずのキメラが!?」
あまりの威力に、ピドーの国王が驚愕している。
「なんというパワーだ! あんなの、ドラゴンのブレスに匹敵するではないか!」
ドラゴン族のニンジャ・カガシが、唖然となった。
「これは、まさかディータさまの?」
ヘニーが、要塞の正体に気づいたようだ。
「ああ、僕の【魔改造】だ」
こんな堅牢な要塞、魔改造なくして完成には至らなかった。
海賊はおそらく強いと、睨んだのである。
バリナンでも倒しきれないとなると、かなりのバックアップを受けていると見たのだ。
調査の結果、魔王だけではなく、南東諸国の力も借りていた。
戦闘員の大半は、南東諸国のひとつキルリーズから、ならず者たちを採用していたのである。
キルリーズは、「犯罪国家」と言われるほど治安が悪い。各国から職にあぶれた者たちが一斉に集結しており、国王もほぼマフィア上がりという札付きのワルである。治安というものを溝に捨てている国で、どこの常識も通用しない。
「キルリーズは、あなたとの婚約を破棄したソラドロアに接触し、薬物の売買をしようとしたほど。もちろん、ソラドロアは断ったが、まだ薬物のまん延をあきらめていない」
「最低最悪の国だな。おまけに金を持っているだけに、攻め込みづらく落としづらい」
真っ先に、キルリーズを攻め落とすべきだったのでは、とも思った。とはいえ、彼らを泳がせておかないと、黒幕にたどり着けない。
第一、僕たちは魔王の正体すらわかっていないからな。
どうも魔王は、こちらの動きに感づいている様子なのである。
一瞬、バリナンの国王も疑っていた。だが、さとい姉ならすぐ気づくはずだ。なんらかの連絡をよこすはず。なによりバリナン国王が魔王なら、そんな男になんぞ愛を注ぐはずがない。彼女は、「魔王ですら物足りない」女だからだ。
要塞がアンカーを射出し、クジラキメラの脳天に突き刺さった。
クジラキメラが、うめきながら後退していく。
「よし、みんな突撃!」
「おう。ようやく出番じゃのう!」
アンカーの鎖を足場に、僕たちはクジラキメラの背中に取り付いた。
目指すは、さらに先。クジラを胴体にした幽霊船である。
「ディータには、事前に頼まれていた。高速艇か、大型要塞か」
レフィーメと吟味した結果、移動要塞にした。高速艇は加減が難しい上に、速度限界もある。ならば、コストはかかるが防御を強めることにしたのだ。
移動要塞の方に乗組員を避難させ、砲台の操作に回す。
ドン、と砲台が火炎弾を放つ。
火炎に包まれた砲弾が、触手を引きちぎった。
「なんと!? 無敵であるはずのキメラが!?」
あまりの威力に、ピドーの国王が驚愕している。
「なんというパワーだ! あんなの、ドラゴンのブレスに匹敵するではないか!」
ドラゴン族のニンジャ・カガシが、唖然となった。
「これは、まさかディータさまの?」
ヘニーが、要塞の正体に気づいたようだ。
「ああ、僕の【魔改造】だ」
こんな堅牢な要塞、魔改造なくして完成には至らなかった。
海賊はおそらく強いと、睨んだのである。
バリナンでも倒しきれないとなると、かなりのバックアップを受けていると見たのだ。
調査の結果、魔王だけではなく、南東諸国の力も借りていた。
戦闘員の大半は、南東諸国のひとつキルリーズから、ならず者たちを採用していたのである。
キルリーズは、「犯罪国家」と言われるほど治安が悪い。各国から職にあぶれた者たちが一斉に集結しており、国王もほぼマフィア上がりという札付きのワルである。治安というものを溝に捨てている国で、どこの常識も通用しない。
「キルリーズは、あなたとの婚約を破棄したソラドロアに接触し、薬物の売買をしようとしたほど。もちろん、ソラドロアは断ったが、まだ薬物のまん延をあきらめていない」
「最低最悪の国だな。おまけに金を持っているだけに、攻め込みづらく落としづらい」
真っ先に、キルリーズを攻め落とすべきだったのでは、とも思った。とはいえ、彼らを泳がせておかないと、黒幕にたどり着けない。
第一、僕たちは魔王の正体すらわかっていないからな。
どうも魔王は、こちらの動きに感づいている様子なのである。
一瞬、バリナンの国王も疑っていた。だが、さとい姉ならすぐ気づくはずだ。なんらかの連絡をよこすはず。なによりバリナン国王が魔王なら、そんな男になんぞ愛を注ぐはずがない。彼女は、「魔王ですら物足りない」女だからだ。
要塞がアンカーを射出し、クジラキメラの脳天に突き刺さった。
クジラキメラが、うめきながら後退していく。
「よし、みんな突撃!」
「おう。ようやく出番じゃのう!」
アンカーの鎖を足場に、僕たちはクジラキメラの背中に取り付いた。
目指すは、さらに先。クジラを胴体にした幽霊船である。
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