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第三章 住民のおかげで街の発展がはかどりすぎて怖い

第30話 「口づけせよ」とまくしたてられ

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 また、「接吻せんかい」と急かされる。

「そんなことより、リユ。海賊退治を急がないと」

「もう終わったわい、ディータ」

 僕がカガシと戦っている間に、海賊の撃退は終わっていた。ヘニーが海賊船に火を放ち、レフィーメが船を叩き割り、リユが財宝や囚われの人々を助けている。

 今は、南バリナンの港に帰っているところだ。


「じゃあ、こちらも港町を作らないとね」

「それはええが、カガシの疑いを晴らすのが先じゃ」

「どうや――」

 僕が問いかける前に、リユが唇を重ねてきた。

「ちょ、大胆すぎます領主さま」

 ヘニーが、顔に手を当てる。指の間から、こちらを覗いていた。

 対照的に、レフィーメは凝視している。なにを納得しているのか、何度もうなずいていた。

「なんのつもりだよ?」
 
 唇を離した直後、僕はリユに問いかける。

「この間の、お返しじゃ。あれも不意じゃったからのう」

 ああ、グレーターデーモンの巣のことね。
 あのときは、暴走したリユを止めるために、やむを得ずキスで正気に戻した。

「くっ! お二人の仲は、本物かと思います! ディートヘルム殿下、ご無礼をお許しいたしたく!」

 僕に向けて、カガシはかしずく。

「いやいや。わかってくれたならそれでいいし」

 別にこっちは、カガシが無礼を働いたとは、思っていない。剣を向けられたけど、相手が本気で切りかかっているわけではなかった。

「ちょっと、ケガをさせる程度だったんでしょ? あの程度の攻撃なら」

「は? 超ぶっ殺す全力パワー全開だったんですが?」

 かなり殺意高めだったんかい。

「あなたが強すぎるのですよ。殿下。領主と聞いていましたので、てっきり前線に立たずにデスクワークに勤しんでらっしゃるのかと。ここまで戦闘民族だったとは」

「まあ、嫁が嫁だからね」

 強すぎる奥さんがいたら、夫としては威厳を保ちたいじゃん? 

「ですが、ならば質問がございます。お嬢様!」

「なんじゃ? オヤジ殿はまだ納得せんのか?」

「もちろんでございます! もし、こちらのディートヘルム殿との婚姻がなされているなら、なにゆえお世継ぎの報告がないのかと!」

 出たよ。結婚した際に、絶対触れられる話題が。

「お世継ぎ……のう。つまりアレじゃのう?」

「アレでございます。お夜伽の進捗は、いかがされたのかと」

「いかがされたもなにも」

「まだ、処女でいらっしゃるとでも?」

「うーむ、そうかもしれんのう」

 リユの口調が、だんだんと怪しくなってくる。

「それは、いささかウブが過ぎませんか? おふたりとも十分、成人なさっておいでです。夜の関係などがあっても、なんら不思議ではございませんが」

「まだ結婚して、日が浅いんじゃ。お互いの信頼関係というのもあろう? もうちょっと互いを知ってから、コトに及びたいと、二人でも話しおうていたんじゃ。のう?」

 急に話を振られたので、僕もうんうんとただうなずいた。

「もしお不安がございましたら、我を側室として招き入れて、性の手ほどきなどもお手伝いしますが?」

 側室って。愛人契約ってこと!?
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