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第三章 住民のおかげで街の発展がはかどりすぎて怖い
第29話 嫁の従者との戦い
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「リユ姫様をたぶらかす、ティートヘルム・ボニファティウス王子! 覚悟!」
いきなりたぶらかすとか、人聞きが悪いな。
「曲者! 領主ディータさまは、わたしがお守りします!」
ヘニーが妖精を大量に召喚して、矢を放つ。
だが、カガシは逆手に持った脇差しをふるい、矢をすべて撃ち落とした。
ダン、と跳躍して、レフィーメがカガシに両手持ちの斧を振り下ろす。
「手下に用はない!」
バク転して、カガシはレフィーメの斧の側面を足場にして、こちらに飛びかかった。
レフィーメの斧が、海賊船を真っ二つにする。
カガシは器用に、船の残骸を飛び移ってこちらに向かってきた。
「悪いが、全力でいかせてもらう!」
僕も【電光石火】を発動して、応戦する。カガシが着地するポイントを剣で叩き壊した。
「なんの!」
砕けた破片を足場にして、カガシはこちらに距離をつめてくる。
脇差しとサーベルの打ち合いとなった。
「よせ。僕とリユは正式な夫婦だ。書状が、ちゃんと届いたはずだろ?」
「信用できませぬ! リユ姫様が殿方と睦言をかわすなど!」
どんな扱いを受けているんだ、リユは?
「カガシ! よさんか! ダンナ様の言うことは本当じゃ。アタシらは正式な夫婦でのう。シンクレーグがこんなんじゃから、開拓を優先しておるだけじゃけん、ことが済んだらあいさつにうかがいますけん、とお伝えなさいよ」
「たとえリユ様がお認めになったとしても、我に後れを取るような人物なら」
実力行使ってわけか。上等だ。
「リユ、手を出すな。これは僕と、キミの従者の問題なんだ」
「ダンナ様! 家の事情に口出しせんで――」
「いいんだ」
堂々と戦わなければ、カガシに納得してもらえない。
カガシの刀が、僕の首を狙う。
「ならば電光石火!」
僕はリーチを伸ばして、カガシと距離を取る。
だがカガシも、僕の剣スキルをかわし続けた。難なく、こちらの懐に飛び込んできた。
「そうはいくか。【疾風迅雷】!」
全身を加速させて、僕はカガシのスピードを超える。結構ムチャなスキルなのだが、カガシ相手だとやむをえないだろう。
戦闘特化型なのか、この子は強い。それに、リユより血の気が多いな。
だが、そこがつけ入るスキと言える!
「バリナンに情報提供したのは、キミだね?」
僕の質問に、「いかにも」と、カガシは首肯で返す。
「やりますね、ティートヘルム王子。ですが、姫には遠く及びません」
「たしかにね。戦闘だと、僕はどうしてもリユに後れを取る」
相手は、ドラゴンだからね。
「けど、僕はリユと、肩を並べたいと思った」
「なぜ? 人とドラゴンが手を取り合えると、本気でお考えなのですか?」
「そうだ。それが、リユの望んだ世界だからな」
カガシの動きが、やや鈍った。だが、スキを突けるほどの油断ではない。
「しかし、人はいつか寿命を迎えます。寂しい思いをさせてしまうと、思わないのですか?」
「思うよ。でもその分、たくさん愛そうと思うんだ」
「歯の浮くようなセリフを! 口では、どうとでも言えます!」
カガシが、闇雲に刀を振るいだした。ここが狙い所かな?
「忠誠心は立派だ。しかし、心が乱れていては!」
僕は相手の刀攻撃に合わせて、サーベルで迎え撃つ。だが、刀を打ち返すためじゃない。
逆手状態の手に、僕は拳を叩き込む。
「くう!」
刀が、カガシの手から離れた。
取り返そうとするところに、僕はサーベルを突き立てる。カガシのノド直前へ向けて。
「参りました。ですが、なぜ殺さないのです?」
「キミが、リユの従者だからだ」
イタズラに、血なんか流したくない。
「甘いですね。足を蹴り飛ばして脱出も可能です」
「でも、キミはやらないよ。まだ海賊の残党もいる。戦力を失いたくない。キミの大好きなお嬢様のために、戦ってくれるね?」
カガシは、僕から首をそらす。
「あなたが悪党ではないことは、証明できました。ですが、我はあなたを認めたわけではありません」
「どうすれば信じてもらえるかな?」
「リユ姫様と、口づけでも、なさってくだされば」
いきなりたぶらかすとか、人聞きが悪いな。
「曲者! 領主ディータさまは、わたしがお守りします!」
ヘニーが妖精を大量に召喚して、矢を放つ。
だが、カガシは逆手に持った脇差しをふるい、矢をすべて撃ち落とした。
ダン、と跳躍して、レフィーメがカガシに両手持ちの斧を振り下ろす。
「手下に用はない!」
バク転して、カガシはレフィーメの斧の側面を足場にして、こちらに飛びかかった。
レフィーメの斧が、海賊船を真っ二つにする。
カガシは器用に、船の残骸を飛び移ってこちらに向かってきた。
「悪いが、全力でいかせてもらう!」
僕も【電光石火】を発動して、応戦する。カガシが着地するポイントを剣で叩き壊した。
「なんの!」
砕けた破片を足場にして、カガシはこちらに距離をつめてくる。
脇差しとサーベルの打ち合いとなった。
「よせ。僕とリユは正式な夫婦だ。書状が、ちゃんと届いたはずだろ?」
「信用できませぬ! リユ姫様が殿方と睦言をかわすなど!」
どんな扱いを受けているんだ、リユは?
「カガシ! よさんか! ダンナ様の言うことは本当じゃ。アタシらは正式な夫婦でのう。シンクレーグがこんなんじゃから、開拓を優先しておるだけじゃけん、ことが済んだらあいさつにうかがいますけん、とお伝えなさいよ」
「たとえリユ様がお認めになったとしても、我に後れを取るような人物なら」
実力行使ってわけか。上等だ。
「リユ、手を出すな。これは僕と、キミの従者の問題なんだ」
「ダンナ様! 家の事情に口出しせんで――」
「いいんだ」
堂々と戦わなければ、カガシに納得してもらえない。
カガシの刀が、僕の首を狙う。
「ならば電光石火!」
僕はリーチを伸ばして、カガシと距離を取る。
だがカガシも、僕の剣スキルをかわし続けた。難なく、こちらの懐に飛び込んできた。
「そうはいくか。【疾風迅雷】!」
全身を加速させて、僕はカガシのスピードを超える。結構ムチャなスキルなのだが、カガシ相手だとやむをえないだろう。
戦闘特化型なのか、この子は強い。それに、リユより血の気が多いな。
だが、そこがつけ入るスキと言える!
「バリナンに情報提供したのは、キミだね?」
僕の質問に、「いかにも」と、カガシは首肯で返す。
「やりますね、ティートヘルム王子。ですが、姫には遠く及びません」
「たしかにね。戦闘だと、僕はどうしてもリユに後れを取る」
相手は、ドラゴンだからね。
「けど、僕はリユと、肩を並べたいと思った」
「なぜ? 人とドラゴンが手を取り合えると、本気でお考えなのですか?」
「そうだ。それが、リユの望んだ世界だからな」
カガシの動きが、やや鈍った。だが、スキを突けるほどの油断ではない。
「しかし、人はいつか寿命を迎えます。寂しい思いをさせてしまうと、思わないのですか?」
「思うよ。でもその分、たくさん愛そうと思うんだ」
「歯の浮くようなセリフを! 口では、どうとでも言えます!」
カガシが、闇雲に刀を振るいだした。ここが狙い所かな?
「忠誠心は立派だ。しかし、心が乱れていては!」
僕は相手の刀攻撃に合わせて、サーベルで迎え撃つ。だが、刀を打ち返すためじゃない。
逆手状態の手に、僕は拳を叩き込む。
「くう!」
刀が、カガシの手から離れた。
取り返そうとするところに、僕はサーベルを突き立てる。カガシのノド直前へ向けて。
「参りました。ですが、なぜ殺さないのです?」
「キミが、リユの従者だからだ」
イタズラに、血なんか流したくない。
「甘いですね。足を蹴り飛ばして脱出も可能です」
「でも、キミはやらないよ。まだ海賊の残党もいる。戦力を失いたくない。キミの大好きなお嬢様のために、戦ってくれるね?」
カガシは、僕から首をそらす。
「あなたが悪党ではないことは、証明できました。ですが、我はあなたを認めたわけではありません」
「どうすれば信じてもらえるかな?」
「リユ姫様と、口づけでも、なさってくだされば」
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