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第一章 辺境、廃城・ゴーストタウン・悪役令嬢つき
第5話 固有スキル 【魔改造】
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ベビードールとはいえ、今のリユはほぼハダカに近い。肌色面積がかなりあるだけではなく、濃い紫の下着まで透けている。今まで見えなかった部分も、かなり露出していた。オフロに入ったのか、いい香りもする。
「お湯なんてあったっけ?」
「沸かしたわい。それで湯をもろうた。まあ、あんましゼイタクはできんがのう」
発育の良さに加えて、湯気がより彼女をセクシーにしていた。
「どうして、そんな格好に?」
「なんでって、ディータ。アタシら夫婦じゃろうが。夫婦といえば、夜伽と相場が決まっておる」
まて。その理屈はおかしい。
「偽装だよね? あくまでも」
「それでも契っておかんかったら、すぐわかるぞ。いざ両家の前に立ったら、怪しまれるのが目に見えておろうがよ。『意外とウブなんね』じゃ、済まんのじゃぞ」
「そうだけど! リユ、気が早くない?」
この子の貞操観念は、どうなっているのだろうか。
「添い寝くらいなら、別に構わんのじゃ」
僕のベッドに、腰掛ける。
いい香りが、より強く拡がった。
「いやいやダメだって。僕たちはまだ子どもだ!」
「一五歳言うたら、もう元服じゃろうが。酒も飲めるし女も抱けるけん」
「だから、そういう理屈じゃないって!」
僕はベッドから転げ降りる。
「待たんか。怖くないでの。痛いのは一瞬じゃ」
「それ、男性の言うセリフだからね」
「天井のシミでも数えとったらええんじゃ」
「言い回しがオッサン化してるよリユ!」
僕は、半裸のリユから逃げ回った。
「待て待て、ちょっと待たんかい!」
「待たない! うわ!?」
僕は、なにかにけつまずいた。盛大にすっ転ぶ。ガレキにでも、足を取られたか?
足元に転がっていたのは、樽状のズングリムックリしたゴーレムだった。
「これは!」
トラッシュ型のゴーレムじゃないか。
燕尾服を着ているから、ココの【人造執事】だったのだろう。ゴミ箱と執事を兼用していたのかな。
「なんじゃこれは? 人形かのう?」
「これは【オートマタ】だよ。魔法で動く人工生命体だ。今は壊れちゃってるけど」
僕は、トラッシュ型の執事を担ぐ。
「ごめん。ちょっと別室に籠もる。先に休んでいてくれるか? コイツを修理して、使えないか確かめたいんだ」
明日は、街を回る。探索をするなら、この執事を完成させてからだ。領主がいない間に、各ギルドからの要件などはコイツに任せたい。
「いやじゃ。アタシも見守っておく」
「リユ。お願いだよ」
「あのスライムのバケモンを倒した段階で、敵は警戒しておる。当分は、こっちに攻めてこんじゃろうて」
周囲の探索は他の冒険者に任せて、ソレを完成させればいいと、リユは提案してきた。
「どうせ、徹夜するんじゃろ?」
「そうだけど」
「だったら、見張りがいるわい。この街は善人だらけじゃが、魔が差すこともありますけんね」
街の人を信じるためにも、領主を見張る必要があるわけか。
「わかった。じゃあ別室に」
作業ができそうな場所まで、移動した。オートマタがあるくらいだ。作業スペースだって地下にあるはず。
「あった。ここだ」
床の隠し扉を見つけた。そこを降りていくと、オートマタ製造スペースらしき場所を発見する。
「ここで、【魔改造】をする」
「まかいぞう?」
「僕の【固有スキル】だよ」
知らない技術でも、魔族の知恵を借りて改造できてしまうスキルだ。
「ちなみに、【魔改造】のスキルができるのは僕だけだ。だから、他の兄弟からは変な目で見られたよ」
「どんな作用が?」
「それは、これから見せる。見ててね」
作業台の上に、樽型ゴーレムを乗せた。
「よし。魔改造!」
僕の背中から、幻影の腕が伸びる。複数の腕がマシンのガワを開き、手を加えていった。僕が知らない知識が、飛び込んでくる。無理やり知恵を刷り込んで、僕に指示を送ってきた。
教えられたとおりに、幻影の腕たちを動かす。
幻の腕がせわしなく活動し、オートマタの内蔵を直していった。
「おお。これが」
「古の魔族の知恵を借りて、このマシンを復活させるんだ。オートマタの技術は、もともと魔族が使っていたものだからね」
僕が使っていた浮遊魔法も【魔改造】をして手に入れたものである。まだまだ修行不足で、調整が必要だけど。
「触ったら、いかんな」
「そうしてもらえると。僕だって、制御できるわけじゃないからね」
このスキルの発動には、大量の魔力を消費する。本来なら、オートマタの修復なんて魔族でも三週間はかかる仕事量だ。それを一晩で終わらせるために、僕はスキルを使った。今は時間が惜しい。必要なことで、すぐできることは、今のうちにしておきたかった。
「おめえ、もはや、なんでもアリないか」
「いや。そうとも限らない。万能の知恵を会得できるといっても、借りるだけだからさ」
知識だって、全部把握できるわけじゃない。スキルを使えば、得た知識は全て忘れてしまう。浮遊魔法だって、「できるようになった」程度だ。使う場合、スピードの上げ方やバランスの取り方などは、こちらで考える必要がなる。
「おめえ、ちょっとだけ魔族なんじゃのう」
「ああ。僕は、魔族の血を引いているんだ。ちょっとだけね」
「お湯なんてあったっけ?」
「沸かしたわい。それで湯をもろうた。まあ、あんましゼイタクはできんがのう」
発育の良さに加えて、湯気がより彼女をセクシーにしていた。
「どうして、そんな格好に?」
「なんでって、ディータ。アタシら夫婦じゃろうが。夫婦といえば、夜伽と相場が決まっておる」
まて。その理屈はおかしい。
「偽装だよね? あくまでも」
「それでも契っておかんかったら、すぐわかるぞ。いざ両家の前に立ったら、怪しまれるのが目に見えておろうがよ。『意外とウブなんね』じゃ、済まんのじゃぞ」
「そうだけど! リユ、気が早くない?」
この子の貞操観念は、どうなっているのだろうか。
「添い寝くらいなら、別に構わんのじゃ」
僕のベッドに、腰掛ける。
いい香りが、より強く拡がった。
「いやいやダメだって。僕たちはまだ子どもだ!」
「一五歳言うたら、もう元服じゃろうが。酒も飲めるし女も抱けるけん」
「だから、そういう理屈じゃないって!」
僕はベッドから転げ降りる。
「待たんか。怖くないでの。痛いのは一瞬じゃ」
「それ、男性の言うセリフだからね」
「天井のシミでも数えとったらええんじゃ」
「言い回しがオッサン化してるよリユ!」
僕は、半裸のリユから逃げ回った。
「待て待て、ちょっと待たんかい!」
「待たない! うわ!?」
僕は、なにかにけつまずいた。盛大にすっ転ぶ。ガレキにでも、足を取られたか?
足元に転がっていたのは、樽状のズングリムックリしたゴーレムだった。
「これは!」
トラッシュ型のゴーレムじゃないか。
燕尾服を着ているから、ココの【人造執事】だったのだろう。ゴミ箱と執事を兼用していたのかな。
「なんじゃこれは? 人形かのう?」
「これは【オートマタ】だよ。魔法で動く人工生命体だ。今は壊れちゃってるけど」
僕は、トラッシュ型の執事を担ぐ。
「ごめん。ちょっと別室に籠もる。先に休んでいてくれるか? コイツを修理して、使えないか確かめたいんだ」
明日は、街を回る。探索をするなら、この執事を完成させてからだ。領主がいない間に、各ギルドからの要件などはコイツに任せたい。
「いやじゃ。アタシも見守っておく」
「リユ。お願いだよ」
「あのスライムのバケモンを倒した段階で、敵は警戒しておる。当分は、こっちに攻めてこんじゃろうて」
周囲の探索は他の冒険者に任せて、ソレを完成させればいいと、リユは提案してきた。
「どうせ、徹夜するんじゃろ?」
「そうだけど」
「だったら、見張りがいるわい。この街は善人だらけじゃが、魔が差すこともありますけんね」
街の人を信じるためにも、領主を見張る必要があるわけか。
「わかった。じゃあ別室に」
作業ができそうな場所まで、移動した。オートマタがあるくらいだ。作業スペースだって地下にあるはず。
「あった。ここだ」
床の隠し扉を見つけた。そこを降りていくと、オートマタ製造スペースらしき場所を発見する。
「ここで、【魔改造】をする」
「まかいぞう?」
「僕の【固有スキル】だよ」
知らない技術でも、魔族の知恵を借りて改造できてしまうスキルだ。
「ちなみに、【魔改造】のスキルができるのは僕だけだ。だから、他の兄弟からは変な目で見られたよ」
「どんな作用が?」
「それは、これから見せる。見ててね」
作業台の上に、樽型ゴーレムを乗せた。
「よし。魔改造!」
僕の背中から、幻影の腕が伸びる。複数の腕がマシンのガワを開き、手を加えていった。僕が知らない知識が、飛び込んでくる。無理やり知恵を刷り込んで、僕に指示を送ってきた。
教えられたとおりに、幻影の腕たちを動かす。
幻の腕がせわしなく活動し、オートマタの内蔵を直していった。
「おお。これが」
「古の魔族の知恵を借りて、このマシンを復活させるんだ。オートマタの技術は、もともと魔族が使っていたものだからね」
僕が使っていた浮遊魔法も【魔改造】をして手に入れたものである。まだまだ修行不足で、調整が必要だけど。
「触ったら、いかんな」
「そうしてもらえると。僕だって、制御できるわけじゃないからね」
このスキルの発動には、大量の魔力を消費する。本来なら、オートマタの修復なんて魔族でも三週間はかかる仕事量だ。それを一晩で終わらせるために、僕はスキルを使った。今は時間が惜しい。必要なことで、すぐできることは、今のうちにしておきたかった。
「おめえ、もはや、なんでもアリないか」
「いや。そうとも限らない。万能の知恵を会得できるといっても、借りるだけだからさ」
知識だって、全部把握できるわけじゃない。スキルを使えば、得た知識は全て忘れてしまう。浮遊魔法だって、「できるようになった」程度だ。使う場合、スピードの上げ方やバランスの取り方などは、こちらで考える必要がなる。
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