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第四章 学園の闇を暴け! 百合王子の禁じ手!
百合王子、怒りの禁断奥義!
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「王子、これで借りは返した」
「助かったぞ」
ライバラがいてくれなければ、オレは首をはねられていてかもしれない。
「後はオレがやる」
「王子!」
「心配無用だ」
オレは、ライバラを下がらせる。
「これで終わりだファフニート! 貴様に、百合を語る資格はない!」
「百合を愛でるのに資格など、必要なし!」
断たれたトンファー型カギ爪を、ファフニートが再生させた。
「いいか。百合とは自然発生するモノだ。自然と巻き起こる偶発的な百合にこそ、ロマンがあるのだ。お前のように、イヤイヤ強要するモノではない!」
このドラゴンは、何も理解していない。いかに百合が深い存在か。
「しかし、相手は手強いぞ!」
「まあな」
堅牢な懐に飛び込むのは、勇気が要りそうだ。
「と、普通の人間は考えるだろう」
だが、オレは百合王子。百合魔法の前に敵はない!
再び百合障壁を、コーヒー色の雲を呼び出した。
「また雲のバリアか。さっき通じなかったことを、もう忘れたのか? 死ねえ!」
ファフニートが、トンファーで突きにかかる。
ご丁寧に、わざわざ敵はツッコんできてくれるじゃないか。これから何が始まるかも知らずに。
「想定内の動きだ! 【百合粘着《リリー・アドヒジョン》】!」
相手のトンファーにも、仕掛けを施す。こちらが防げないなら、相手の武器に雲を付着させてしまえばいい。
賊もオレの意図に気づき、綿菓子状にへばりついた雲を削ぎ落とそうとする。しかし、粘り気のある雲に悪戦苦闘していた。
「おのれ。しかし、この程度の攻撃で私を倒せるなど」
「もちろん、思っていないぞ。お前には、最強最悪の奥義を喰らわせてやる!」
コイツは浅い。ただかわいい女子がいればいい、ただの幼女趣味である。いや、幼女好きの風上にさえ置けないヤツだ。実に思考が短絡的すぎる。
「お前を一生、百合を謳歌できない世界へいざなってやる! オレの禁断魔法で!」
「禁断魔法だとぉ?」
ギャハハと、ファフニートが高笑いをした。
「頼みの百合魔法も利かず、何が奥義だ? 禁断の術だ? 笑わせてくれる」
そういってバカにできるのも、今のうちだ。
お前にとって、最も恐ろしい技をお見舞いしてやる。
「ライバラ、妖刀を貸せ!」
合図をすると、ライバラはオレに妖刀を投げ渡した。
できれば、この技は使いたくない。
オレの気分まで影響が及ぶからだ。
コーヒー色の雲を、オレの周辺に呼び出す。
十分な濃度になったところで、オレは妖刀を地面に突き立てた。
「百合……反転!」
オレは、魔力を解放する。
コーヒー雲が、異質な形を取り始めた。
「ぬうう、これは!?」
相当の危機を感じ取ったのだろう。
ファフニートが本能のままに急ブレーキをかけた。しかし。
「もう遅い!」
茶色い雲は、腕の形となってファフニートの翼を掴み取る。
「は、離せ!」
「ムダだ。こうなった以上、オレの意志でもどうにもならん!」
百合成分を反転させてしまったのだ。地獄のショーが始まる。
「開け冥界の門! 薔薇花園《マッスル・キングダム》!」
オレは、両腕に力こぶを作った。
同時に、コーヒー色の雲が分散し、マッチョな体型のオトコたちとなる。
「ぎいい!」
群れを成したマッチョ雲が、ファフニートを取り囲む。
フンフンと言いながら、ファフニートを抱きしめた。
「ひいいいいいい! 寄るなあ、暑苦しいいいっ!」
武器を失ったファフニートに抗う術はない。
そもそも、オレ自身にもこのマッチョ共は制御できないのである。オレのコントロールを離れてしまったから。
男色に偏見はない。
だが、幼女百合好きには正反対の属性だ。
さぞ、キツい花園だろうて。
「汗の臭いがぁ! ヤロウのゴツゴツ感が気持ち悪いぃ!」
百合の悪党にとって、マッチョは対極に位置する存在だ。
やはり、苦手だったらしい。
「どうして、貴様がマッチョ魔法なんぞ!」
「オレの父親の属性なのだ」
オヤジを嫌っている最大の理由は、あのマッチョ思考だ。
本質的に、筋肉的発想はオレの求める考えではない。
百合の天敵とも言えた。
そのため、血筋によって会得していたマッチョ魔法は「禁じ手」として、長年使用していなかったのである。
とはいえ、同属性の敵が相手なら、使わざるを得ない。
「おのれ。私が最も忌み嫌う魔法で倒されるとは!」
「質問に答えたら、もっと楽に倒してやらんでもない」
絶望に満ちていたファフニートの視線が、オレに向けられた。
「お前のバックには、誰がついているのだ?」
解放を条件に、ファフニートを脅す。
こうしている間にも、マッチョはファフニートをグングンとプレスしていた。もはや、息もできまい。
「さあさあ、もう時間がないぞ。百合に挟まれるではなく、マッチョに挟まれて死にたくはあるまい」
まあ、こんなヤツと協力する賊の目星は付いているが。
「へへ。教えてたまるか! 私も地獄に落ちるが、お前たちも茨の道を進むのだ! のたうち回るがいい!」
いさぎよく、ファフニートはマッチョの死神に押しつぶされる。
「てえてくねえええええ!」
ファフニートは、潰されて消滅した。
百合の味がしない汗臭い世界へと旅立ったろう。
「貴様には、男だらけの楽園がお似合いだ」
「助かったぞ」
ライバラがいてくれなければ、オレは首をはねられていてかもしれない。
「後はオレがやる」
「王子!」
「心配無用だ」
オレは、ライバラを下がらせる。
「これで終わりだファフニート! 貴様に、百合を語る資格はない!」
「百合を愛でるのに資格など、必要なし!」
断たれたトンファー型カギ爪を、ファフニートが再生させた。
「いいか。百合とは自然発生するモノだ。自然と巻き起こる偶発的な百合にこそ、ロマンがあるのだ。お前のように、イヤイヤ強要するモノではない!」
このドラゴンは、何も理解していない。いかに百合が深い存在か。
「しかし、相手は手強いぞ!」
「まあな」
堅牢な懐に飛び込むのは、勇気が要りそうだ。
「と、普通の人間は考えるだろう」
だが、オレは百合王子。百合魔法の前に敵はない!
再び百合障壁を、コーヒー色の雲を呼び出した。
「また雲のバリアか。さっき通じなかったことを、もう忘れたのか? 死ねえ!」
ファフニートが、トンファーで突きにかかる。
ご丁寧に、わざわざ敵はツッコんできてくれるじゃないか。これから何が始まるかも知らずに。
「想定内の動きだ! 【百合粘着《リリー・アドヒジョン》】!」
相手のトンファーにも、仕掛けを施す。こちらが防げないなら、相手の武器に雲を付着させてしまえばいい。
賊もオレの意図に気づき、綿菓子状にへばりついた雲を削ぎ落とそうとする。しかし、粘り気のある雲に悪戦苦闘していた。
「おのれ。しかし、この程度の攻撃で私を倒せるなど」
「もちろん、思っていないぞ。お前には、最強最悪の奥義を喰らわせてやる!」
コイツは浅い。ただかわいい女子がいればいい、ただの幼女趣味である。いや、幼女好きの風上にさえ置けないヤツだ。実に思考が短絡的すぎる。
「お前を一生、百合を謳歌できない世界へいざなってやる! オレの禁断魔法で!」
「禁断魔法だとぉ?」
ギャハハと、ファフニートが高笑いをした。
「頼みの百合魔法も利かず、何が奥義だ? 禁断の術だ? 笑わせてくれる」
そういってバカにできるのも、今のうちだ。
お前にとって、最も恐ろしい技をお見舞いしてやる。
「ライバラ、妖刀を貸せ!」
合図をすると、ライバラはオレに妖刀を投げ渡した。
できれば、この技は使いたくない。
オレの気分まで影響が及ぶからだ。
コーヒー色の雲を、オレの周辺に呼び出す。
十分な濃度になったところで、オレは妖刀を地面に突き立てた。
「百合……反転!」
オレは、魔力を解放する。
コーヒー雲が、異質な形を取り始めた。
「ぬうう、これは!?」
相当の危機を感じ取ったのだろう。
ファフニートが本能のままに急ブレーキをかけた。しかし。
「もう遅い!」
茶色い雲は、腕の形となってファフニートの翼を掴み取る。
「は、離せ!」
「ムダだ。こうなった以上、オレの意志でもどうにもならん!」
百合成分を反転させてしまったのだ。地獄のショーが始まる。
「開け冥界の門! 薔薇花園《マッスル・キングダム》!」
オレは、両腕に力こぶを作った。
同時に、コーヒー色の雲が分散し、マッチョな体型のオトコたちとなる。
「ぎいい!」
群れを成したマッチョ雲が、ファフニートを取り囲む。
フンフンと言いながら、ファフニートを抱きしめた。
「ひいいいいいい! 寄るなあ、暑苦しいいいっ!」
武器を失ったファフニートに抗う術はない。
そもそも、オレ自身にもこのマッチョ共は制御できないのである。オレのコントロールを離れてしまったから。
男色に偏見はない。
だが、幼女百合好きには正反対の属性だ。
さぞ、キツい花園だろうて。
「汗の臭いがぁ! ヤロウのゴツゴツ感が気持ち悪いぃ!」
百合の悪党にとって、マッチョは対極に位置する存在だ。
やはり、苦手だったらしい。
「どうして、貴様がマッチョ魔法なんぞ!」
「オレの父親の属性なのだ」
オヤジを嫌っている最大の理由は、あのマッチョ思考だ。
本質的に、筋肉的発想はオレの求める考えではない。
百合の天敵とも言えた。
そのため、血筋によって会得していたマッチョ魔法は「禁じ手」として、長年使用していなかったのである。
とはいえ、同属性の敵が相手なら、使わざるを得ない。
「おのれ。私が最も忌み嫌う魔法で倒されるとは!」
「質問に答えたら、もっと楽に倒してやらんでもない」
絶望に満ちていたファフニートの視線が、オレに向けられた。
「お前のバックには、誰がついているのだ?」
解放を条件に、ファフニートを脅す。
こうしている間にも、マッチョはファフニートをグングンとプレスしていた。もはや、息もできまい。
「さあさあ、もう時間がないぞ。百合に挟まれるではなく、マッチョに挟まれて死にたくはあるまい」
まあ、こんなヤツと協力する賊の目星は付いているが。
「へへ。教えてたまるか! 私も地獄に落ちるが、お前たちも茨の道を進むのだ! のたうち回るがいい!」
いさぎよく、ファフニートはマッチョの死神に押しつぶされる。
「てえてくねえええええ!」
ファフニートは、潰されて消滅した。
百合の味がしない汗臭い世界へと旅立ったろう。
「貴様には、男だらけの楽園がお似合いだ」
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