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第四章 学園の闇を暴け! 百合王子の禁じ手!
王子危うし! 百合魔法が通じない!?
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「よく頭の回るガキだ。王子なんか辞めて、探偵にでもなればいい」
教師が、皮肉めいた笑みを見せる。
現行犯逮捕されて、何を強がっているのか。
「では聞こう。どうして彼が、妖刀を携帯しているとわかった?」
「普段から持っているだろう?」
すっとぼけやがって。何を言うか。
「この妖刀は、つい最近試験で手に入れたモノですよ? あなた方に報告がいきましたか?」
これは調査済みだ。
担任以外、特に把握している者はいないという。
ツンが証明済みだ。
「裏取りもできている。ライバラは辻斬りじゃない。辻斬りからあの子たちを守ったんだ!」
「嘘だ。あのとき、彼はたしかに」
教師は反論しようとした。
「本当です!」
ソフィに肩を抱かれて、二人組の女性が現れた。
以前辻斬りに襲われた女性だ。
「あのときは、彼が助けてくださったのです」
もう、言い逃れはできない。
「おのれ、こうなったら街ごと吹き飛ばしてくれる!」
歴史教諭が、跳躍した。
「先生方は市民を安全な場所へ!」
「無用です」
学園長が、足を一つ踏みならす。
ハニカム状の防御フィールドを半球ドーム型に形成し、オレたちを包んだ。
「痛って!」
飛び上がっていた歴史教諭が、ドームに頭をぶつける。
「あなた方を囲んだ方が、街にも被害が出ません。思う存分やりなさい」
これは、ありがたい!
オレたちの性格を、よく把握している。
「だったら、生徒が死ぬ様をそこで見ているのだな!」
歴史教諭が服を破り捨てた。
サイズは人間だが、黒いウロコに覆われて翼まで生えている。
亜人、それもツンと同じ、龍人族だ。
「ドラゴン?」
「そうだ。私こそ、お前が倒した魔物の本体、ファフニートなり!」
魔王の側近のおでましか。
ファフニートの両手に、ヒレ状の刃が突き出る。
どうやら、あの刃物は身体の一部だったらしい。
「学園で起きていた、一連の騒動は貴様の仕業だな?」
「そうだ。すべて私が手引きした。人間を騙すなんてチョロい。さすがに大きなトラブルまでは起こせなかったが、学園を混乱させるにはちょうどよかった!」
彼は魔王すら利用して、世界を征服しようとしていたようである。
「我ら魔族にとって、驚異なのは魔法学園だった。勇者の後継を育てる学園が、我々にとっては邪魔でしかない」
学園を失墜させる作戦は、ことごとく失敗してきた。
勇者最有力の存在は消せたが、魔族側のダメージも大きく、ようやく立て直したらしい。
「被害を街にまで及ぼしたのが、運の尽きだな!」
「やかましい! お前たちさえいなければ、『幼女百合専門レストラン』が完成したというのに!」
叫びながら、ファフニートがオレに刃を振り回す。
なんたる不穏な響きだ。
「ミルクの匂いに囲まれて、私は尊い世界で暮らすのだ。そして小さき百合の間に挟まれて、フワッフワの感触を永遠に堪能する」
聞くに堪えない淫靡な世界である。
「そんなディストピアを構築するために、魔王を利用したのか?」
「魔王は手ぬるい! 我が楽園成就のため、あやつには捨て石になってもらうはずだった。なのに、たやすく負けおって!」
「不完全な状態で送り込むからだ」
「あれは、魔王が功を焦ったからだ! 私のせいではない!」
どちらにしても、同じことだろうに。
「正体を知られたからには、私自らが出向くしかない。王子、今日が貴様の最期だ!」
「突破できるか? 【百合障壁】!」
コーヒー色の雲を全身に形成し、鉄壁のガードを作り出す。
オレも攻撃できないが、相手にとっても厄介のハズ。
「切り裂くなどできまい! おお!?」
予想外の攻撃に、オレは反応が遅れる。
トンファーを激しく振り回しながら、賊はオレのガードを切り裂いた。
クッション性の高い防御壁を、こうも簡単に。
幸い、オレはノーダメージだ。とはいえ、どこまでもつか。
ファフニートの凶刃が、オレの腕をかすめた。
上腕が切れて、出血する。
百合魔法が、通じない?
「戸惑っているな? 百合魔法といえど、属性魔法に変わりなし。波長の合うモノ同士にぶつけても、無意味!」
「お前も、百合魔法使いか」
ファフニートも、百合を愛でる者だ。
本質的には同じ思考の持ち主というワケか。
「たとえ百合を求める者でも、オレとオマエでは決定的に違う!」
「同じだよ! 貴様も貪欲に強欲に世界を百合に染めることを楽しんでいる!」
オレは、コイツなんかとは違う!
「王子、伏せてくださいませ!」
ツンが砲撃で、フォローをしてくれた。
しかし、相手は余裕の表情である。
必殺の砲弾すら、ファフニートは両断してしまう。
さすが、最上位の魔族か。
とはいえ、無傷とまではいかない。
「おのれぇ! ミケーリの子孫だけあって、やるな!」
ツンの攻撃を斬り捨てた刃物が、溶けた鉄のように泡立っていた。
「だが、ムダなこと! とどめだ!」
オレのノドへ、ファフニートの刃が接近しようとした。
防御は間に合うか? ギリギリだろう。
しかし、差し違えてでも!
「王子ムチャよ!」
ソフィの叫びが聞こえる。
だが、やらねばならぬ。
「斬!」
「っごおおお!?」
刃がオレを斬る前に、ファフニートの武器が切断される。
「ぬううう! 妖刀使いめ!」
オレをかばうように立ち塞がるのは、ライバラだった。
教師が、皮肉めいた笑みを見せる。
現行犯逮捕されて、何を強がっているのか。
「では聞こう。どうして彼が、妖刀を携帯しているとわかった?」
「普段から持っているだろう?」
すっとぼけやがって。何を言うか。
「この妖刀は、つい最近試験で手に入れたモノですよ? あなた方に報告がいきましたか?」
これは調査済みだ。
担任以外、特に把握している者はいないという。
ツンが証明済みだ。
「裏取りもできている。ライバラは辻斬りじゃない。辻斬りからあの子たちを守ったんだ!」
「嘘だ。あのとき、彼はたしかに」
教師は反論しようとした。
「本当です!」
ソフィに肩を抱かれて、二人組の女性が現れた。
以前辻斬りに襲われた女性だ。
「あのときは、彼が助けてくださったのです」
もう、言い逃れはできない。
「おのれ、こうなったら街ごと吹き飛ばしてくれる!」
歴史教諭が、跳躍した。
「先生方は市民を安全な場所へ!」
「無用です」
学園長が、足を一つ踏みならす。
ハニカム状の防御フィールドを半球ドーム型に形成し、オレたちを包んだ。
「痛って!」
飛び上がっていた歴史教諭が、ドームに頭をぶつける。
「あなた方を囲んだ方が、街にも被害が出ません。思う存分やりなさい」
これは、ありがたい!
オレたちの性格を、よく把握している。
「だったら、生徒が死ぬ様をそこで見ているのだな!」
歴史教諭が服を破り捨てた。
サイズは人間だが、黒いウロコに覆われて翼まで生えている。
亜人、それもツンと同じ、龍人族だ。
「ドラゴン?」
「そうだ。私こそ、お前が倒した魔物の本体、ファフニートなり!」
魔王の側近のおでましか。
ファフニートの両手に、ヒレ状の刃が突き出る。
どうやら、あの刃物は身体の一部だったらしい。
「学園で起きていた、一連の騒動は貴様の仕業だな?」
「そうだ。すべて私が手引きした。人間を騙すなんてチョロい。さすがに大きなトラブルまでは起こせなかったが、学園を混乱させるにはちょうどよかった!」
彼は魔王すら利用して、世界を征服しようとしていたようである。
「我ら魔族にとって、驚異なのは魔法学園だった。勇者の後継を育てる学園が、我々にとっては邪魔でしかない」
学園を失墜させる作戦は、ことごとく失敗してきた。
勇者最有力の存在は消せたが、魔族側のダメージも大きく、ようやく立て直したらしい。
「被害を街にまで及ぼしたのが、運の尽きだな!」
「やかましい! お前たちさえいなければ、『幼女百合専門レストラン』が完成したというのに!」
叫びながら、ファフニートがオレに刃を振り回す。
なんたる不穏な響きだ。
「ミルクの匂いに囲まれて、私は尊い世界で暮らすのだ。そして小さき百合の間に挟まれて、フワッフワの感触を永遠に堪能する」
聞くに堪えない淫靡な世界である。
「そんなディストピアを構築するために、魔王を利用したのか?」
「魔王は手ぬるい! 我が楽園成就のため、あやつには捨て石になってもらうはずだった。なのに、たやすく負けおって!」
「不完全な状態で送り込むからだ」
「あれは、魔王が功を焦ったからだ! 私のせいではない!」
どちらにしても、同じことだろうに。
「正体を知られたからには、私自らが出向くしかない。王子、今日が貴様の最期だ!」
「突破できるか? 【百合障壁】!」
コーヒー色の雲を全身に形成し、鉄壁のガードを作り出す。
オレも攻撃できないが、相手にとっても厄介のハズ。
「切り裂くなどできまい! おお!?」
予想外の攻撃に、オレは反応が遅れる。
トンファーを激しく振り回しながら、賊はオレのガードを切り裂いた。
クッション性の高い防御壁を、こうも簡単に。
幸い、オレはノーダメージだ。とはいえ、どこまでもつか。
ファフニートの凶刃が、オレの腕をかすめた。
上腕が切れて、出血する。
百合魔法が、通じない?
「戸惑っているな? 百合魔法といえど、属性魔法に変わりなし。波長の合うモノ同士にぶつけても、無意味!」
「お前も、百合魔法使いか」
ファフニートも、百合を愛でる者だ。
本質的には同じ思考の持ち主というワケか。
「たとえ百合を求める者でも、オレとオマエでは決定的に違う!」
「同じだよ! 貴様も貪欲に強欲に世界を百合に染めることを楽しんでいる!」
オレは、コイツなんかとは違う!
「王子、伏せてくださいませ!」
ツンが砲撃で、フォローをしてくれた。
しかし、相手は余裕の表情である。
必殺の砲弾すら、ファフニートは両断してしまう。
さすが、最上位の魔族か。
とはいえ、無傷とまではいかない。
「おのれぇ! ミケーリの子孫だけあって、やるな!」
ツンの攻撃を斬り捨てた刃物が、溶けた鉄のように泡立っていた。
「だが、ムダなこと! とどめだ!」
オレのノドへ、ファフニートの刃が接近しようとした。
防御は間に合うか? ギリギリだろう。
しかし、差し違えてでも!
「王子ムチャよ!」
ソフィの叫びが聞こえる。
だが、やらねばならぬ。
「斬!」
「っごおおお!?」
刃がオレを斬る前に、ファフニートの武器が切断される。
「ぬううう! 妖刀使いめ!」
オレをかばうように立ち塞がるのは、ライバラだった。
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