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第四章 学園の闇を暴け! 百合王子の禁じ手!
百合王子の推理
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「わたくしたちもいましたわ!」
当時の状況を、ツンが話した。
直接治癒したソフィが証言者でないあたりが、謙虚である。
「それは、知っています。ケガ人を治療をなさっていたと。学校へお礼にいらっしゃいました」
ツンたちに、学園長が微笑みかけた。
「王子、あなたも事件とは無関係でしょう。犯行の後だそうですし」
「それはどうも」
ようやく、場を落ち着かせることに成功した。
大事なのは、ここからである。
「当時の状況を見た感じでは、ライバラに犯行は無理です。今から説明をしたいんですがね?」
「ふむ。聞かせてもらいましょうぞ」
興味深そうに、教頭が尋ねてきた。
「まず第一に。彼の居合いは、通り魔向きじゃない」
ライバラの居合い斬りは、全身の力を最大限に発揮する。
そのため、足の踏ん張りが欠かせない。
しかし、通り魔行為は足の速さが必要だ。
居合いの達人であるライバラとは対照的な能力である。
「その二。オレはこの切れ味を持つ存在を、よく知っているのでね」
「なんですと?」と、教頭がヒゲを撫でた。
「本当です。実際オレは、そいつと一戦交えた。つい最近の話だ」
詳しい内容を、教頭に教えてやる。
「ふむ。学園内に魔物が出没した話は、我々も聞き及んでいますぞ。しかし残念ながら、それだけでは彼の容疑が晴れたとは言えませんな」
ダメか。
「何より、ライバラくんがその妖刀を持って、店をうついていたのを目撃した人がいたそうです!」
声を荒らげながら、教師の一人がそう断言する。
確か、歴史の先生だったか。
妖刀を、ねえ……。
「はっきりしましたよ、教頭。ライバラは犯人ではない」
「ほう。では、誰だというのですぞ?」
「それは、後ほどわかるでしょう。明日の夜までには」
断言して、オレは授業へ向かう。
「おいユリアン。大丈夫なのか? あんな宣言までして」
「心配はいらぬよ、トーモス」
「まるで、犯人が分かったような口ぶりだな」
「わかったのさ」
オレ以外の生徒全員が、足を止めた。
「あなた、本気で言っているの? もしデマだったら、ライバラくんがただでは済まないのよ?」
「心配ない」
相手をあぶり出すため、まだ秘密にしておくが。
「だからライバラ。お前の容疑は、必ず晴らす」
「……感謝する」
ライバラが、教室へ。
「ユリアン王子」
「なんだツン?」
みんなが教室に戻る中、ツンだけがドアの前に立ち止まる。
「ただの百合バカだと思っていましたが、あなたは弱い人に手を差し伸べる方なんですね」
「オレは、そんなできた人間ではない」
「ソフィとも話していたんです。いつもありがとうございます。王子。では、ライバラさんのことはよろしくお願いします」
「任せておけ」
学校を終えて早々、オレはさる人物に手紙を書いた。
メイを通して、そいつの家に忍ばせる。
明日の夜遅くには、犯人はオレのエサに気づくはずだ。
シビルと食べに行った喫茶店に、オレはあらかじめウワサを流していた。
「最強の百合シェフ来国!」との一報を。
今夜、その百合シェフが仕込みをすると。
「えっと、坊ちゃま。マジでこんな作戦で通り魔が捕まるんですかい?」
喫茶店の店主が、オレを心配した。
「店に迷惑は掛けない。もし器物破損があったら国家予算で弁償する」
「そんなのいいんでさあ。街の平和が保たれるなら! ですが、坊ちゃまにもしものことがあったら!」
ここに来て、オレの心配か。
「オレが好きでやっているのだ。安心するがいい。まだくたばるつもりはないさ」
友を守れるなら、オレは何も怖くない。
もっと百合を味わって、死にたいからな。
「来たな」
黒い頭巾を被った細い男が、刀を携えて現れる。
ヤツは、店長ではなく、最強のシェフ……に変装したオレめがけて襲いかかってきた。
「そうはいくかって!」
ブロードソードで、トーモスが刃物を弾く。
だが、トーモスの攻撃は当たらない。
「でたあ!」
腰を抜かして、店主が尻でズリズリと移動した。
「やべえぞユリアン、コイツ手強いぜっ!」
「トーモス、深追いするな。店長を頼む!」
「任せろ! でも、一人で平気か?」
「心配ない。心得ている!」
ソードを突き立てながら、トーモスが後ずさる。
「賊め、オレが相手だ!」
店主をトーモスに任せて、賊の前に立ち塞がった。
相手が振り回す刀は、トンファーのような形状である。
威嚇なのか、素早く振り回す。
「甘い!」
オレは聖剣で、覆面の攻撃を受け止めた。
ヤケになった賊が、オレに直接突きを浴びせてくる。
「ぬん!」
精彩を欠いたなら、相手の動きを読むのはたやすい。
腕を取って、脇固めに。
「くそお!」
「辻斬りの、正体見たり!」
賊の被っている覆面を、オレは剥ぎ取る。
「やっときたな。先生!」
やはり、覆面の正体は歴史の先生だったか。
「ユリアン王子、無事?」
ソフィたちが、先生たちを連れて駆けつけてくれた。
「やや、先生が辻斬りを?」
もっともライバラを疑っていた教頭が、顔をしかめる。
「どうして、私だとわかった?」
隠す気をなくした殺意を、歴史教師はオレに向けてきた。
「あのとき、『ライバラが妖刀を所持していた』と話したのは、あなただけだった」
当時の状況を、ツンが話した。
直接治癒したソフィが証言者でないあたりが、謙虚である。
「それは、知っています。ケガ人を治療をなさっていたと。学校へお礼にいらっしゃいました」
ツンたちに、学園長が微笑みかけた。
「王子、あなたも事件とは無関係でしょう。犯行の後だそうですし」
「それはどうも」
ようやく、場を落ち着かせることに成功した。
大事なのは、ここからである。
「当時の状況を見た感じでは、ライバラに犯行は無理です。今から説明をしたいんですがね?」
「ふむ。聞かせてもらいましょうぞ」
興味深そうに、教頭が尋ねてきた。
「まず第一に。彼の居合いは、通り魔向きじゃない」
ライバラの居合い斬りは、全身の力を最大限に発揮する。
そのため、足の踏ん張りが欠かせない。
しかし、通り魔行為は足の速さが必要だ。
居合いの達人であるライバラとは対照的な能力である。
「その二。オレはこの切れ味を持つ存在を、よく知っているのでね」
「なんですと?」と、教頭がヒゲを撫でた。
「本当です。実際オレは、そいつと一戦交えた。つい最近の話だ」
詳しい内容を、教頭に教えてやる。
「ふむ。学園内に魔物が出没した話は、我々も聞き及んでいますぞ。しかし残念ながら、それだけでは彼の容疑が晴れたとは言えませんな」
ダメか。
「何より、ライバラくんがその妖刀を持って、店をうついていたのを目撃した人がいたそうです!」
声を荒らげながら、教師の一人がそう断言する。
確か、歴史の先生だったか。
妖刀を、ねえ……。
「はっきりしましたよ、教頭。ライバラは犯人ではない」
「ほう。では、誰だというのですぞ?」
「それは、後ほどわかるでしょう。明日の夜までには」
断言して、オレは授業へ向かう。
「おいユリアン。大丈夫なのか? あんな宣言までして」
「心配はいらぬよ、トーモス」
「まるで、犯人が分かったような口ぶりだな」
「わかったのさ」
オレ以外の生徒全員が、足を止めた。
「あなた、本気で言っているの? もしデマだったら、ライバラくんがただでは済まないのよ?」
「心配ない」
相手をあぶり出すため、まだ秘密にしておくが。
「だからライバラ。お前の容疑は、必ず晴らす」
「……感謝する」
ライバラが、教室へ。
「ユリアン王子」
「なんだツン?」
みんなが教室に戻る中、ツンだけがドアの前に立ち止まる。
「ただの百合バカだと思っていましたが、あなたは弱い人に手を差し伸べる方なんですね」
「オレは、そんなできた人間ではない」
「ソフィとも話していたんです。いつもありがとうございます。王子。では、ライバラさんのことはよろしくお願いします」
「任せておけ」
学校を終えて早々、オレはさる人物に手紙を書いた。
メイを通して、そいつの家に忍ばせる。
明日の夜遅くには、犯人はオレのエサに気づくはずだ。
シビルと食べに行った喫茶店に、オレはあらかじめウワサを流していた。
「最強の百合シェフ来国!」との一報を。
今夜、その百合シェフが仕込みをすると。
「えっと、坊ちゃま。マジでこんな作戦で通り魔が捕まるんですかい?」
喫茶店の店主が、オレを心配した。
「店に迷惑は掛けない。もし器物破損があったら国家予算で弁償する」
「そんなのいいんでさあ。街の平和が保たれるなら! ですが、坊ちゃまにもしものことがあったら!」
ここに来て、オレの心配か。
「オレが好きでやっているのだ。安心するがいい。まだくたばるつもりはないさ」
友を守れるなら、オレは何も怖くない。
もっと百合を味わって、死にたいからな。
「来たな」
黒い頭巾を被った細い男が、刀を携えて現れる。
ヤツは、店長ではなく、最強のシェフ……に変装したオレめがけて襲いかかってきた。
「そうはいくかって!」
ブロードソードで、トーモスが刃物を弾く。
だが、トーモスの攻撃は当たらない。
「でたあ!」
腰を抜かして、店主が尻でズリズリと移動した。
「やべえぞユリアン、コイツ手強いぜっ!」
「トーモス、深追いするな。店長を頼む!」
「任せろ! でも、一人で平気か?」
「心配ない。心得ている!」
ソードを突き立てながら、トーモスが後ずさる。
「賊め、オレが相手だ!」
店主をトーモスに任せて、賊の前に立ち塞がった。
相手が振り回す刀は、トンファーのような形状である。
威嚇なのか、素早く振り回す。
「甘い!」
オレは聖剣で、覆面の攻撃を受け止めた。
ヤケになった賊が、オレに直接突きを浴びせてくる。
「ぬん!」
精彩を欠いたなら、相手の動きを読むのはたやすい。
腕を取って、脇固めに。
「くそお!」
「辻斬りの、正体見たり!」
賊の被っている覆面を、オレは剥ぎ取る。
「やっときたな。先生!」
やはり、覆面の正体は歴史の先生だったか。
「ユリアン王子、無事?」
ソフィたちが、先生たちを連れて駆けつけてくれた。
「やや、先生が辻斬りを?」
もっともライバラを疑っていた教頭が、顔をしかめる。
「どうして、私だとわかった?」
隠す気をなくした殺意を、歴史教師はオレに向けてきた。
「あのとき、『ライバラが妖刀を所持していた』と話したのは、あなただけだった」
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