最強のVRMMOプレイヤーは、ウチの飼い猫でした ~ボクだけペットの言葉がわかる~

椎名 富比路

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第四章 オフ会のお誘い

第33話 オフ会終了

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 ギルドに戻って、報告をした。

「はい。たしかに、【ホーンテッド・パレス】の攻略を確認しました。ありがとうございます。これで、街がオバケに脅かされる心配はないでしょう」

 ジャラジャラと、ボクの冒険者証に報酬が振り込まれる。

 いただいた報酬は、みんなで均等に山分けした。

「さて、お店に行くよー」

 トワさんのお店で、ドロップアイテムの加工を行うことに。

 自分の定位置だと言わんばかりに、すしおくんはお店のカウンターに鎮座する。
 すしおくんが座った途端、NPCやらお客さんやらが殺到した。まさに招き猫ではないか。大人気だね。
 
 さっそく、イチさんがゲットした【銅のかけら】と【サファイアの眼】を、トワさんが加工する。

「あと、銃も強化できるようになったよー」

 トワさんは鍛冶レベルが上がり、さらなる武器の加工が可能になったという。

「じゃあトワ、お願い」

 ベルさんは、自身の銃と手持ちの素材すべてをトワさんに託す。

「もらったアイテムは、それぞれで分担しよう」

 トワさんが加工をしている間に、イチさん先導で報酬のアイテムを分け合うことに。

 ボクは報酬のお金と、盾に魔除け効果をもたらす【退魔の十字】をもらう。

「こんないいもの、もらっていいんでしょうか?」

 第一、ボクは今回、なにもしていない。
 アイテムをもらっていい立場じゃ、ないんだけどな。
 
「構わない。ケント氏が陰ながら前衛として、我々を守ってくれていたのはわかっているなり。目立たないと思っていたら、おおまつがい」

 ちゃんと、イチさんはボクの動きを見てくれていたのか。

「そうよ。ことあるごとに前に出て、支えてくれていたのは知っていたわ。どうしてもビビちゃんのほうが目立つけど、だからってケントがいらないなんてのはありえないわ。ケントががんばっているから、ビビちゃんも自由に動き回れるんですから」

 ベルさんも、ボクの行動を評価してくれた。 
 
 ビビには、【古のロザリオ】が渡される。魔力を少しずつ回復する効果が、あるそうだ。おそらくこれで、火力にさらなる余裕が生まれるだろう。

 ボクがロザリオを首にかけてあげると、ビビはうれしそうに『にゃーん』と鳴いた。

「ホントに、うれしそうね」

 ベルさんが、幸せそうなビビにうっとりしている。

「ウチも、そっちがいいかなー」

 十字もロザリオも、それぞれ二人分あった。

 トワさんも、ボクと同様のアイテムを受け取る。

「では我々は、こちらを」

 遠距離攻撃型の二人は、【霊感スコープ】というアイテムを受け取った。対アンデッド効果ないアイテムでも、ダメージを与えられるようになる。

 ナインくんとホクサイくんは、【破邪の篭手】というアイテムを装備した。アンデッドがもたらす毒などのデバフを、受け付けない。 

「装備が完成したよー」

 銅のかけらは、イチさんの装備に変わった。【鎮魂のカギ】という、ミミックを撃退できるアイテムだ。宝箱探索の、要になるだろう。

 サファイアの眼は、【八方美人の杖】という杖に。
【スプリット・レイ】という、拡散攻撃魔法を撃てる。威力こそ本家より低いが、魔力を消耗しない。

「すばら。見事な手際である。感謝」

「ありがとー」

 イチさんが、トワさんの技術を称賛する。

「できたよー。【トールハンマー】って銃だよー」
 
 トワさんの手で、ベルさんの銃が【ハンドキャノン】という武器種に変わった。拳銃の、強化版である。連射はできなくなったけど、溜め撃ちができるために一撃が大きい。対ボス用の武器といえばいいかな。
 
 しかしこのトールハンマーは、拳銃モードとハンドキャノンモードとを切り替えられるのだ。普段の雑魚戦では拳銃で連射を、ボス戦でハンドキャノンで溜め撃ち、という具合である。

「ありがとう。すごい仕事をするのね」

「レベルが上がったからだよー。みんなのおかげだよー」

 トワさんが謙遜した。

「えっと、本来ならここからホーンテッド・パレスの原因となったヴァンパイアを倒すミッションがスタートする。だが、今回はもうお時間が来てしまった」

 外を見ると、すっかり暗くなっていた。まだ、夕方なのだが。
 やはり、冬が近い。

 ゲームを終えて、軽くお茶で一休みする。

 次回、今度はオンラインで落ち合うことにした。

「ボクはこの時間なら、半休ですね。ビビのごはんが済んだら、お昼からインできますよ」

「助かる。では、この日で」

 ボクたちは、次の待ち合わせを話し合う。

「では、本日のオフ会はここまでにするお。ありがとだおね」

「ごちそうさまでした。ありがとうございます」

 ボクは、ビビをボックス型のケージに入れる。

「じゃあねー」

 トワさんは、迎えの車に乗って帰っていった。これから、周辺の観光らしい。

「あの、ケントさん」

 さてボクも、と思っていたら、鈴音りんねさんがボクのそばにやってきた。

「なんでしょう?」

「いっしょに、帰りませんか?」

「あ、はい。そうですね」

 もう、外も暗い。女性一人では、犬を連れていても危ないだろう。

「あたしの家は、駅の近くなので、そこまで」

「はい。いっしょに帰りましょう」
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